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“なにそれ面白そう”で広がる新たな世界~「3Dプリンター活用技術検定」 | ITエンジニアのための情報コンテンツANKET

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I->Read(Books); 〜とあるフリーランスIT技術者の本棚〜

“なにそれ面白そう”で広がる新たな世界~「3Dプリンター活用技術検定」

読者のみなさまは「3Dプリンター活用技術検定(http://acsp.jp/3dp/)」という試験をご存知でしょうか。

2017年の2月12日に第1回が実施される新しい試験ですので、3Dプリンターに興味があっても知らない方が多いのではないでしょうか。

ましてや、3Dプリンターにとくに興味がない人にとっては、その名前を耳目にする機会はまずないだろうという試験です。

この試験の概要と目的は、試験のページ(http://acsp.jp/3dp/about/)を見ていただければ分かりますが、要は「3Dプリンターについての基礎知識がひととおり、一定水準以上あるかどうかを見極める試験」です。

筆者は第1回を受験することにしたため、今回紹介するこの本を手に勉強しています。

3Dプリンター活用技術検定

 3Dプリンター活用技術検定
 著者: 一般社団法人コンピュータ教育振興協会
 刊行: 日経BP社
 (引用元: http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/store/15/266719/051000006/?rt=nocnt)


「フリーランスのIT技術者が、唐突に3Dプリンター検定を受けるとはいったいどういうことだ」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

ごもっとも。それについては、このあとに触れます。

この書籍ですが、試験のための参考書ではあるのですが、3Dプリンターについての知識が体系的にまとめられています。

「単に3Dプリンター全般について知りたい」という方が読んでも十分に役立つと思います。

とりわけ、世間で「3Dプリンター」と言うと、材料押出(熱溶解積層)法のものが取り上げられがちです。

「材料押出(熱溶解積層)法」と字面で書くとなんだか難しそうですが、溶かした材料を何層も何層も積み上げて造形物を作るということです。

ソフトクリームをコーンの上に巻き上げていくのと同じ原理で、溶かした材料を何層にも積み上げて欲しい形のものを得るといえば分かりやすいでしょうか。

図1
(図1.筆者が所持する3Dプリンターで出力する様子)

図2
(図2.材料が何層も積み重ねられた出力結果)

世の中には、これ以外にもさまざまな方法で実現された3Dプリンターがあります。

たとえば、光で固まる液体が張られた水槽に、固めたいところだけに光を当てて造形物を作る「液槽光重合(光造形)」方式や、材料の吹き付けで造形物を作る「材料噴射」方式など。

また、同じ方式でも、造形物をつくるための素材はさまざまです。

これらの手段と素材は、造形物の形や作成にかかる時間、コストなどの要因によって使い分けられます。

そうした知識が、試験のための参考書というかたちではありますが、まとめられているのがこの本です。


本そのものの紹介については、以上です。

なぜ、3Dプリンター活用技術検定を?


実は今回、この本をとりあげたのは、「なぜ受験しようと思ったか」と、それにまつわる話について述べたかったからです。書籍の紹介は、そのきっかけにすぎません。

筆者が試験を受けようと考えたのは、3Dプリンターで作りたいものがみつかったからです。

それを作るために、3Dプリンターという手段についてより多くの知識が必要になりました。結果、受験(をとおして勉強)することに決めました。

3Dプリンターを使い始めたとき、まさかそのような目的が自分の中に生まれるとは、夢にも思っていませんでした。

筆者は読書会を開催していますが、よく次のような質問を受けます。

「読書会なんかやって、なにか意味あるんですか?」

これは、筆者に限らず、主催側と参加側の間で金銭の授受が発生しない勉強会を開催してる主催者には、よく投げかけられる質問のようです。

筆者は、先ほど話題にした「材料押出(熱溶解積層)法」で造形物をつくる3Dプリンターを所有しています。

この3Dプリンターは中国から取り寄せたキットを組み立てたものなのですが、これを組み立てるきっかけになったのは、このサイトでもコラムを執筆されている藤井光晃さん(https://pe-bank.jp/anket/columnist/fujii/)のFacebookへの投稿です。

藤井さんはご自身の3Dプリンターを組み立てる様子をFacebookに投稿されていたのですが、それを読んでいた筆者は純粋に”なにそれ面白そう”と思いました。

IT技術者が忘れてはいけないマインド


そうこうしているうちに、藤井さんが3Dプリンターのキットを組み立てることを目的のひとつとした勉強会の開催を決められたため、筆者もそこに参加して3Dプリンターを組み立てました。

当初、筆者は3Dプリンターを組み立てて、あとは適当に何か出力したら飽きるのだろうなと思っていました。

なぜなら、3Dプリンターを組み立てることに興味はありましたが、3Dプリンターで何かを出力することに興味があったわけではないからです。

これはいわば、「目的はないまま、手段をだけを先に手に入れた」状態です。

ところが、筆者が3Dプリンターを手に入れたことを知ったビジネスパートナーから、「こんなものが出力できないだろうか」という相談を受けました。

それが、写真の「ニケ像」です。

図3

(図3.3Dプリンターで出力したニケ像)


最初は「楽勝だろう」と思っていたのですが、いざやってみるとなかなかうまくいかない。

この像の高さは20cmなのですが、こうした背が高くて接地面積が少ないものをちゃんと出力するには、3Dプリンター本体はもちろん、出力データを生成するソフトウェアを動かす前にもろもろの調整が必要になります。

そこで、何度もなんども調整を繰り返して、ようやく出力することができました。

筆者がトライアンドエラーの様子をFacebookに載せていたところ、今度はこちらのイベントのワークショップに使う部品を3Dプリンターで作れないかという相談をいただくきっかけとなりました。

https://www.digihakunagoya.com

(こちらの『プログラミング体験「ポチット!」』で使うパーツの加工で協力しました)

相談をいただき”なにそれ面白そう”と思ったので、二つ返事で引き受けました。たいへんなことも多かったですが、貴重かつ楽しい経験ができました。


ここまでの話をまとめるとこうです。

「とあるIT技術者が、自身にとって大切だと考える”なにそれ面白そう”に従って動いていたら、想像もしていなかった楽しい体験ができてしまった」。

この記事のメインターゲットであろうIT技術者のみなさまであれば理解いただけるものと信じていますが、未知なものと出会ったときに”なにそれ面白そう”と思えるマインドこそ、技術のトレンドを追い続けなければならないIT技術者が決して忘れてはいけないもののひとつだと筆者は考えます。

なにそれ面白そう!


話を「なぜ読書会を開催しているのか」に戻します。

筆者が読書会を開催しようと考えたのは、「技術の枠に関係なく、いろいろなIT技術者と対話する機会を設けたい」と思ったのがきっかけですが、それ以上に”読書会をやったら面白そう”と感じたからです。

結果、いろいろなIT技術者のみなさんと対話する機会はもちろん、いままでの筆者であれば読まなかったであろう本に出会い、思いもしないような視点を得ることができました。

そうした視点が、IT技術者、さらにはひとりの人間としての視野を広げることにも繋がっています。

ですので、「読書会なんかやって、なにか意味あるんですか?」とおっしゃった方に聞いてみたいのです。

「”なにそれ面白そう”と思えることに明確な目的が見出せないからといって、それをやらないという決断をしたとして、それが本当に正しいこととあなたは言い切れますか?」と。

今回の3Dプリンターに関する一連のケースでは、何になるかわからないけど、何かができる手段(3Dプリンターで出力する技術)を手に入れたら、”なにそれ面白そう”と思える目的(ワークショップへの協力)の方からこちらへやってきてくれました。

目的が見つかってから手段を手にしようとすることは、それはそれであるべき姿だと思います。

しかし、何らかの手段を欲している人が、その手段を持っている人を見い出せるSNSのような道具がある時代で、「まず手段から手に入れて、それを所持していることを欲する人に見せる」のもまた、現代においてはあるべき方法のひとつとは言えないでしょうか。

こうして筆者がコラムを書いているのも、読書会を主催していたことがきっかけです。読書会をはじめたときには、まさかこのような話をいただけるとは思ってもいませんでした。

もちろん、お話をいただいたときに”なにそれ面白そう”と思いましたので、二つ返事でお引き受けいたしました。

そして、今度はこのコラムが、読者のみなさまの”なにそれ面白そう”につながると信じて執筆しています。

平岩 明憲

平岩 明憲

フリーランスのIT技術者です。業務系システム開発をメインにしています。有限責任事業組合アプライトネスのメンバーです。とあることがきっかけで「IT技術者が、さまざまなことについて、いろいろな人と話し会える場が必要だと」と思い立ち、読書会を立案。2012年に「伏見なんでも読書会」をはじめました。