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本作りの愛情が伝わってくる”飯テロ本”!?~ヒミツがまる見え!「おいしい!」の断面 | ITエンジニアのための情報コンテンツANKET

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I->Read(Books); 〜とあるフリーランスIT技術者の本棚〜

本作りの愛情が伝わってくる”飯テロ本”!?~ヒミツがまる見え!「おいしい!」の断面

突然ではありますが、「飯テロ」という言葉をご存知でしょうか。

この言葉の出所は知りませんが、おそらくネットスラングの類だと思われます。
くわしくは、これらのサイトをご覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C8%D3%A5%C6%A5%ED
http://dic.nicovideo.jp/a/飯テロ
今回紹介する本は、読むタイミングによっては十分に飯テロになり得る内容です

ヒミツがまる見え! 「おいしい!」の断面

 ヒミツがまる見え! 「おいしい!」の断面
 著者: TDK(食べもの断面協会)
 発行: サンクチュアリ出版
 (引用元: http://www.sanctuarybooks.jp/book-details/cate00054/book919.html)


その名前のとおり、とにかく食べ物の断面写真がたくさん載っています。

断面の撮影は、徹底しています。
たとえば、さきほどの引用元を見ていただくと書籍の表紙が見られますが、ここにカップ麺の断面図が載っています。

容器までばっさり断たれており、「この写真を撮るのは大変だっただろうなぁ」という印象ですが、同様な印象を受ける写真が他にも多数あります。

とはいえ、この本に載っているのは食べ物の断面図だけではありません。
この本を紹介しようと思った理由は、実はその情報の質と量にあります。

カップ麺の1分後と3分後の断面!


断面に加えて、それぞれのメニューについての美味しい作り方や、そのメニューについてのうんちくが、これでもかとばかりに記されているのです。それも、単にたくさん記しているわけではありません。

おそらく読者として想定しているであろう、日本での生活が身にしみた人たちにとって、どれだけ身近な食べ物かという観点で、その情報の質と量がうまくコントロールされている印象です。
読んでいて心地が良い情報の詰め込み方といったところでしょうか。

たとえば、本のはじめの方に載っているメニューは、さきほども紹介したカップ麺、おにぎりとおむすびというように、コンビニで毎日目にするようなメニューから始まります。
読者に興味をもって読んでもらう上では、このメニューのチョイスは絶妙だと思います。

また、たとえばカップ麺ひとつとっても、1分後、3分後の断面を載せてその違いを示し、なぜカップ麺ができあがるまでの時間が3分なのかについてのうんちくも記されています。

一方で、読者にあまり馴染みがないであろうチーズの断面を紹介したページでは、エメンタールチーズという穴が空いたチーズの断面を載せているのですが、ここに割くページ数は少なく、断面よりもうんちくを多めに掲載しています。

他には、メンチカツであれば、ただメンチカツの断面を乗せるだけではなく、おかず系メンチカツとおやつ系メンチカツを区別してそれぞれ断面を掲載していたり、はたまたメンチカツのお供であるソースについて、各地域で好まれる銘柄を掲載したりしています。

出版社の想いが伝わる


最初は軽い興味から「どんな断面が載っているのだろう」と断面だけを見るつもりで買ったのですが、断面といっしょに記された情報が多くてかつ面白く、思っていた以上に長い時間をかけて読むことになりました。

本に限らず、何らかの商品に払った対価を100とすると、それによって得られた何らかのメリットが100であると感じれば「値段どおり」、101以上であれば「得した」と思えるのではないでしょうか。
この本は、情報の選び方、密度、表現(紙や写真、イラストなど)という点において、筆者のなかでは101は軽く超えています。

古典や名著と言われているものを除いて、買った本の中で心底「買って得した」と思える本は100冊に1冊といったところでしょうか。意外なところに、その1冊があった印象です。

この本をとりあげた理由は、もうひとつあります。

この本を読み進めてしばらくしたときに、発行元であるサンクチュアリ出版のフライヤーが本に挟んであることに気づきました。

フライヤーには、どのような想いで本を出版しているのかについて記されていました。
これはフライヤーの別々の場所から抜粋した文です。

・私たちは他の出版社がやらない自分たちだけのやり方で、時間と手間と愛情をたくさん掛けながら、本を読むことの楽しさを伝えていけたらいいなと思っています。
・サクンクチュアリ出版の刊行点数は少ないですが、その分1冊1冊丁寧に、ゆっくり時間をかけて製作しています。

この本で使われている紙や情報量から受けた印象は「ものすごく良い本だと思うのだけど、正直これで採算が取れるのか?」という心配でした。

採算が取れているかどうかについては知るすべがありませんが、上の2つの文が言っていることは本を手にすると十分に伝わります。

今回紹介した書籍は、まさに出版社の思想どおりに仕上がっており「こういう出版社さんが増えるといいな」と感じたため、取り上げました。

今後、サンクチュアリ出版の他の本も読んでみようという気になった一冊です。

平岩 明憲

平岩 明憲

フリーランスのIT技術者です。業務系システム開発をメインにしています。有限責任事業組合アプライトネスのメンバーです。とあることがきっかけで「IT技術者が、さまざまなことについて、いろいろな人と話し会える場が必要だと」と思い立ち、読書会を立案。2012年に「伏見なんでも読書会」をはじめました。