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「#人工知能とIT技術者の未来」イベント開催レポート

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2017年7月4日、東京都港区高輪の「AP品川」にて、イベント「#人工知能とIT技術者の未来」が開催されました。

今、自動車の自動運転やAIスピーカーなど、私たちのライフスタイルを大きく変える身近なテクノロジーの登場を機に、あらゆる分野でAI(人工知能)技術が大きく注目を集めています。同時に、こうしたAI技術の開発が進むなかで、ITエンジニアの仕事も大きく変化するだろうと言われています。

「AI技術が劇的な進化を遂げると社会はどのように変わるのか? 」
「エンジニアとして、AI技術の開発にどのように対応したらよいのか? 」
「そもそもAI技術とはどのようなテクノロジーなのか?」

エンジニアであれば、様々な疑問をお持ちのことだと思います。

そこで今回の「ANKET」イベントでは、講師に丸山 不二夫(まるやま ふじお)先生をお迎えし、「#人工知能とIT技術者の未来」をテーマにセミナーを開催。
AIを中心とする最新のIT技術を紹介する「マルレク」と、学生に無償でディープラーニングの学習・開発環境を提供する「MaruLabo」の二つを中心に活動している丸山 不二夫先生に、AI技術の進歩と、それに伴う新たなITエンジニアの未来像をお話いただきました。

画像認識や音声認識でAI技術の基本を学ぶ


セミナーは、画像認識技術や音声認識技術など、最近主流のAI技術の解説からスタート。画像認識技術については、画像認識を学習させる手法・過程を具体的に紹介。ご自身の顔写真が北米大陸(!!)と認識されてしまった失敗例なども交え、現状の画像認識技術が得意とするところ、不得意とするところをわかりやすく解説し、今後の課題を示してくださいました。

AIスピーカーの登場で急速に注目を集めている音声認識技術では、AmazonやGoogleなどが開発したデバイスを例にその仕組みを解説。「知能」を備えたマシンとのインターフェースとしてこれからは音声入力が中心になるだろうと、丸山先生も大きな期待を寄せていました。
さらに、テスラなどやGoogleなどの自動運転からセンサーを備えた自律的マシンまで、AI技術を利用したさまざまな事例を紹介してくださいました。

機械学習からディープ・ラーニングまで 現在のAI技術の主な流れ


ときには笑いを交え、わかりやすく話してくださる丸山先生。AI技術の基本を教えていただいた後は、いよいよAI技術の核心へと話は進んでいきます。
丸山先生から、「大量のデータの統計的分布を基にした機械学習技術」「アドホックに構築された推論・対話システムであるボイス・アシスタント・システム」「ニューラル・ネットワークの手法を用いて生物の感覚や運動能力を機械上で実現するディープ・ラーニング」「言語能力を実現した機械による自然言語理解」「論理的な推論能力」という、現在のAI技術を構成する複数の流れをひとつずつ解説していただきました。

現在、クラウドで提供されている大部分の「機械学習機能」については、決定論的アプローチより統計的アプローチが優位であり、それがAI技術の進歩に大きな影響を与えているなど、エンジニアにとって興味深い話が満載。
今後、活発に研究と応用が進むであろうディープ・ラーニングの解説では、非言語コントロールであるニューラル・ネットワークについて、神経やニューロン、シナプスなど人間の脳の仕組みも交えて解説。AIのハードと人間の脳のエネルギー効率の違い(ちなみに脳のエネルギー効率が圧倒的に高いそうです)まで、他ではなかなか聞けない話を披露してくださいました。

来るべきAI新時代はエンジニアにもチャンス


「機械学習の基本は、人間の知識を機械に移転すること」と定義する丸山先生。そのためには、単にマシンと大量のデータがあればよいのではなく、正確にラベルが付けられた学習データの作成と蓄積が重要であり、人間の根気強い組織的な取り組みが必要となるそうです。
そして、「人間には容易でも機械には難しいこと」「機械には容易でも人間には難しいこと」があり、学習データ作りはまさに前者。AIに学習データを与える仕事こそ、エンジニアの重要な仕事になるだろうと丸山先生は語りました。

丸山先生は、AI技術がもたらすエンジニアの将来像について「我々がそれぞれのドメインで持つ知識をきちんとデータ化すること、優れた質のデータを持つこと。その準備ができていれば、AIの応用領域の数だけチャンスは存在している。また、モバイルとクラウドの時代が始まり10年ほどになるが、次の10年はAIが技術の中核となるだろう。とくに、ディープ・ラーニングに必要なニューラル・ネットワークはほとんどのエンジニアにとって新しい技術であるため、来るべきAI新時代に向けて学ばなくてはならない。それは課題でもあるが、大きなチャンスでもあるだろう。」と結んでくださいました。

ともすると万能のテクノロジーとして漠然と捉えてしまいがちなAI技術ですが、丸山先生の話を聞くことで、AI技術にも様々な構成や方向性があり、大きな可能性を秘めていると同時に、課題も少なくない事がわかりました。そして、その進歩にはエンジニアの存在が不可欠であることも理解できました。


予定時間をオーバーしての丸山先生の熱心な講義が終了した後、ささやかではありますが懇親会を開催いたしました。ここでも、参加者から問いかけられた様々な質問に、丁寧に答える丸山先生の姿が印象的でした。同時に、これから圧倒的な進化を遂げるであろう最先端のAI技術に携わっていこうとするエンジニアの意欲を強く感じたイベントでした。