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IT革命が起きた2000年代初めのITエンジニア達が、今ちょうど30代の半ばを過ぎた時期にさしかかっています。
フリーランスとして活躍するエンジニアが約2,000名在籍するPE-BANKのエンジニアの平均年齢は41歳。
IT革命を体感してきたエンジニアがフリーランスとしてIT業界で活躍しています。
一方で、IT業界では「ITエンジニア35歳定年説」という言葉が使われていた時代がありました。
今でこそ、この言葉はあまり使われなくなりましたが、30代の半ばを過ぎて市場から必要とされなくなってしまうエンジニアがいるのも事実です。
それまで卓越した技術を持って、IT業界で活躍していたエンジニアが、現在そしてこれから市場で必要とされ続けるか、必要とされなくなるかの違いはどこにあるのでしょうか。
ここでは、なぜITエンジニアは30代後半を過ぎるとどのような変化があるのかを検証し、それを踏まえてITエンジニアが身につけるべき知識やスキル、仕事への姿勢や必要とされるための戦略を明らかにしていきます。
ITエンジニアが30代後半になって起こる変化
この説の真偽を考えるために、そもそもなぜこのような定説があるのかということから考えてみましょう。
変化1――加齢による体力の低下
エンジニアは厳しい環境下での過酷な労働を強いられ、そのうえ賃金が低いと言う状況から体力的な限界が訪れるというのが、この定年説の1つ目の根拠です。若い頃のように、大量の仕事をこなせなくなってくるというわけです。
これは残念ですが、その通りと言わざるを得ないかもしれません
変化2――加齢による脳機能の低下
脳の働きも加齢に応じて衰えます。たしかに年をとるにつれて忘れっぽくなり、暗記力の衰えは誰もが実感すること。再生不可能な脳のニューロンは、毎日10万から20万が死滅していると言われていますので、そういった中で満足のいく知的作業が行えなくなっていきます。だから35歳で定年である、というわけです。
しかし、これはいかがでしょうか?
年齢を重ねるに応じて確かに暗記力こそ落ちますが、逆に人間関係のやりくりや社会的な経験は成長を続けているのも事実です。また、自分の長所や短所も客観的に捉えられるようになるので、学習する技術やテクニックも高くなります。そのため、脳機能の低下という視点から、30代後半がエンジニアとしての能力の限界点とは一概に言えません。
変化3――上級職へ進む日本の習慣
日本の習慣として、30代以降は管理職としての働きを期待されることが多いです。つまり、現場レベルのエンジニアのままでいることは、日本の習慣とそぐわないため、この定年説があるのです。
しかし、あくまでこれは習慣に過ぎません。管理職になるのも、技術の専門家を目指すのも、30代後半で絶対に決めなければならないわけではないですし、30代後半の時点で決めても遅くないでしょう。定年説の根拠としては、こちらも弱いと言えます。
ITエンジニアが30代後半になって起こる変化の対処法
35歳になると、全員が必ず限界を迎え、辞めなければいけないというのは言い過ぎでしょう。原因がはっきりしていれば、覆せないことはありません。
たとえばその方法は以下4つです。
30代後半のITエンジニアが社会で必要とされる方法その1――向上心を持ち続ける
加齢に伴って体力が低下してしまうのは仕方ありません。とはいえ、向上心と年齢は反比例しません。重要なのは、わずかな発見でも、その一つ一つを大切にしていくこと。完全にやり慣れてしまった仕事も、視点を変えて眺めてみるなどすれば、新しい発見はできます。
年齢を重ねると若い頃に感じたみずみずしい感動は少なくなってきますが、それでも小さな発見を大切にしながら毎日を過ごしていくことによって、向上心を保ち続けることができるのです。
30代後半のITエンジニアが社会で必要とされる方法その2――人脈を広げる
人脈を広げれば、良い仕事を回してもらえるきっかけになります。苦手な人とも接触することで、あなたの生活に刺激を与え、加齢による様々な悪影響をもろに受けずに済むという利点もあります。
時には、まったく自分の知らない人とも話しをするように心がけて、人脈を広げることに努めましょう
30代後半のITエンジニアが社会で必要とされる方法その3――日々の自己管理
若い頃は睡眠時間を削り、食事も削り、不眠不休で仕事に打ち込むことができた人でも、30代になるとなかなかそうもいきません。体がなによりの資本であることを、忘れてはいけません。睡眠時間をしっかり確保し、日々の食事管理をしっかり行うように心がけましょう。ジム通いやジョギングなど、定期的な運動を心がけることも大切です。
30代後半のITエンジニアが社会で必要とされる方法その4――営業力も身につけてみる
上記の人脈を広げるという話に近いですが、せっかく30代まで働いてきた実績や経験があるのですから、それを他の人にアピールできるような営業力を身に付けられればもっと有利になります。たとえ営業が苦手だと思ってエンジニアの道を進んでいた人でも、年月を経て、社会で十何年も生き抜いてきた経験によって、格段に世間と上手に接することができるようになっているはずです。是非本やセミナーなどを活用して、営業力を上げてみることも考えてみましょう
30代後半のITエンジニアが社会で必要とされる方法その5――フリーランスになる
30代後半で、ITエンジニアとして生き残りたいのであれば、フリーランスになることをおすすめします。フリーランスの契約形態は様々です。プロジェクト毎の契約で企業に雇用されて働く人もいますし、自分でプロジェクトを起こす人もいます。フリーランスは忙しさの調整もしやすいですし、体力に合わせて働くことができます。企業と一線を引いた立場になるので、社内の人間関係に翻弄されることもありません。
これまで培ってきた経験や技術を、フリーランスになることで十分に活かすことができます。
技術面ではもちろん、経営や税金などの知識を勉強する必要はありますが、自由度が高い働き方の魅力は抜群です。フリーランスには定年はありません。生涯現役ITエンジニアでありたいという人におすすめできる働き方です。
まとめ
年齢とあなたの性格に応じ、最適なスタイルを見つけ出そう
年齢を重ねることで体力的に衰えることはもちろんなのですが、多くの経験から培ってきたスキルや人脈はなくなるものではありません。
大切なのは若い頃と同じように、日々の研鑽を忘れずに小さな発見を続けるモチベーションの管理と、そして年齢を重ねているからこそわかるあなたの性格に応じた、無理のない働き方を見つけ出すことです。
そうすることで、30代後半を過ぎても市場から必要とされるエンジニアであり続けることが出来るのです。