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このガイドでは、「エンジニアリング」という言葉の意味や、このカテゴリの種類などを解説します。エンジニアリングの定義が明確になると、企業に出す履歴書の志望動機なども書きやすくなります。
また、人気と注目度が非常に高いITエンジニアリングの特徴もご紹介しますので、気になる方はぜひ当ガイドをチェックしてみてください。
エンジニアリングとは?
エンジニアリングとは、科学技術の応用によって物品を生産する技術や、それらを研究する学問の総称です。ちなみに、engineeringという英単語の直訳は、工学になります。
日本におけるエンジニアリングの定義や範囲
国内におけるエンジニアリングは、工学を意味する欧米のエンジニアリングと比べて遥かに広い意味で使われることが多いです。一部の業界では、理学分野も含む概念で用いられています。
大学では、自然科学と数学を基礎とし、時には人文社会科学の知見を使って、公共の安全や福祉、健康などのために快適な環境や有用な事物を構築するための学問と定義されることもあります。
そんな工学分野から生み出された人工物は、限りありません。たとえば、情報機器や家電、医療機器といった製品の他に、それらを活用する交通、通信、電力といったインフラや、環境システム、ネットワークを生み出すことも、エンジニアリングの大事な役割です。
そして工学や技術の仕事に従事する知的専門職従事者を、エンジニアと呼びます。
全人類に共通するテーマに取り組むエンジニアリング
世界のエンジニアリングに共通する目的は、次の社会を創ることです。一般的には、生活を支えるインフラや、経済発展につながる産業施設を生み出すイメージがあると思います。ですが実際は、以下のように人類社会が直面する問題解決に取り組むこともあります。そしてこれが、エンジニアリングにおける大事な役割となっているのです。
≒ 砂漠を草原に生まれ変わらせる緑化プロジェクト
≒ 発展途上国でも安心して水を飲める仕組みづくり
≒ 環境に負担をかけないクリーンなプラントづくり など
また、近年の日本で増加傾向にある野菜工場などは、農業地の災害から生じる食糧危機の備えになることもあるでしょう。

日本にはどのぐらいの種類のエンジニアリングがあるの?
エンジニアリングには、以下のように非常に多くの種類があります。
≒ ITエンジニアリング
≒ 機械エンジニアリング
≒ プラントエンジニアリング
≒ シビルエンジニアリング
≒ 化学エンジニアリング
≒ レコーディングエンジニアリング など
文部科学省の大学学科系統分類表を見ると、驚くほどたくさんの工学が並んでいることに気付かされます。たとえば、中分類の機械工学関係には、以下のようなものを中心に50種類以上の学科が並んでいます。
≒ 機械工学
≒ 生産機械工学
≒ 機械エネルギー工学
≒ 人間機械工学
≒ 機械情報システム工学
≒ 応用機械工学 など
こうして日本の大学に存在する学科を並べてみると、機械エンジニアリングと他分野の合成で新たなカテゴリが生まれることがわかります。また、先述のとおりエンジニアリングが全人類に共通する課題に取り組む特徴を考えると、今後も新たな工学分野が生まれる可能性は非常に高いでしょう。
そのため、エンジニアリングの種類や数は、現段階においても数え切れない規模になっています。

ITエンジニアリングの特徴と役割
数ある工学のなかで特に注目度が高いのは、ITエンジニアリングと呼ばれる分野です。ITエンジニアリングとは、Information Technology(情報技術)に関係する産業や工学の総称となります。そして近年では、スマートフォンなどの普及によって、これまで以上に目まぐるしい発展や進化が続く分野となっているのです。
ITエンジニアリングの役割
そんなITエンジニアリングの役割は、大きく分けて2つあります。まず、情報システムの運用・利用をするときに、機械的機構のなかに用いられる点です。すなわちそれは、いま話題のビッグデータなどの情報収集や蓄積、処理、伝達などをするうえで、最新のITエンジニアリングが不可欠であることを意味します。
もう一つの役割は、情報システムなどの技術開発において、作業を誘導する治工具として使われることです。たとえば、お客様が求めるCRMシステムを作る場合、その要件定義のヒアリングでZOOMなどのコミュニケーションツールが使われることがあると思います。
情報技術の分野から生まれたこのツールは、システム開発を含めたビジネス面のサポートをする役割を担います。また、作ったプログラムの管理に使うデータベースも、ITエンジニアリングから生まれた製品という側面もあるでしょう。
ITエンジニアリングによる人や社会への影響
ITエンジニアリングが人や社会にもたらす直接的な影響は、以下の3つです。
1. 作業効率アップ
2. 利便性アップ
3. 時空間の制限がないコミュニケーション
情報技術が社会に浸透すると、まず人々に時間のゆとりが生まれます。その結果、たとえば非効率的な仕事によって生じていた残業が減り、充分な睡眠時間の確保といった健康の好循環も生まれやすくなるのです。また、アプリ開発の治工具として用いられる各種ITツールを使えば、空いた時間を上手に活用して新たな創造も可能となるでしょう。
ITエンジニアリング業界で注目されるキーワード
近年のIT業界で特に注目されるキーワードは、以下の3つです。
1. IoT
2. AI
3. ビッグデータ
これらの概念は、それぞれ補完関係があります。たとえば、人工知能であるAIには、IoTなどから収集した大量のデータを取り込むことで、特定分野に特化した高性能コンピュータを誕生させられるという特徴があります。IoTのビッグデータをAIが自動解析すると、ビジネスに必要な知見を見出すスピードも劇的にアップできるようになります。

ITエンジニアの将来性
ここからは、ITエンジニアの将来性を解説していきます。
人材供給が追いつかない業界である
IT業界には、多くの職種において慢性的な人材不足が生じています。2019年をピークに産業人口が減少に転じるITエンジニアは、2025年までには約43万人にまで人材不足が拡大すると言われています。そして経済産業省では、この頃に生じる人材不足などの諸問題を「2025年の崖」と呼んでいるのです。
出典:https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-1.pdf
こうした状況は、ITエンジニアが就職・転職しやすい売り手市場をもたらします。また、人手が足りない市場で優秀な人材を獲得したい企業は、賃金などの好条件を提示する傾向もあるのです。
求められるエンジニアに変化が生じる
近年のクラウド化によって、サーバーやネットワークを自社保有する会社が減少するようになりました。その結果、インフラ系エンジニアの需要は減少し、クラウドを専門的に使える人のニーズが高まり始めています。
また、2025年の崖では、基幹系システムの約6割が21年以上の利用期間に達することから、古いプログラミング言語を知る人材の供給不足についても問題視されるようになりました。類似の現象が生じているアメリカでは、大手IT企業のIBMが、今から半世紀以上前に活躍したプログラミング言語COBOLを扱える人材の募集と育成を発表しています。
このようにITエンジニアの需要は、最先端技術だけなく古い時代に導入されたシステムやデバイスによっても大きく変わる傾向があります。この業界で長く好条件で働き続けるには、ITエンジニアリングにおける動向もしっかり確認しておく必要があるでしょう。
横断的なIT知識や技術が求められる時代に
IoTやAI、ビッグデータといった補完関係のある最先端技術の登場により、近年では従来型の1分野に特化したスキルや知識だけでなく、横断的に設計や提案のできるエンジニア需要が高まるようになりました。
また、IoTのようにさまざまなモノとつながる仕組みの場合、ネットワークやセキュリティといった技術的なものだけでなく、公共サービスや乗り物、医療などの産業面の業務知識を持っていたほうが、より具体的な提案のできる技術者になれるでしょう。
まとめ
エンジニアリングとは、科学技術の応用によって物品を生産する技術や、それらを研究する学問の総称です。工学と訳されるエンジニアリングは、日本国内において理学分野も含む広い意味合いで使われることの多い概念となっています。
エンジニアリングの一種となるITエンジニアリングは、IoTやAI、ビッグデータの普及で注目される分野です。将来性も非常に高いこのカテゴリでは、慢性的な売り手市場が生じています。好条件で働ける求人を求める方は、ぜひITエンジニアリングのなかで自分に合った職種を探してみてください。

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