Bコラム〜ビジネスマン(技術者)への応援メッセージ〜
『 技術の棚卸し 』
はじめに
世の中の様々な技術は進化し続けています。とりわけIT技術は進化のスピードが顕著です。
又、IT技術はハード、ソフトに分けられますが、双方の進化は相乗効果を上げ加速しています。
AI(人工知能)は、まさに相乗効果の恩恵を受けている技術です。
IT技術者にとって、今、自分自身の技術を見直し棚卸しすることは、技術進化の真っ只中で、
今後も役立ちそうな技術と、役割を終えそうな技術かを見極める大事なことと思えます。
販売会社では、通常、決算時期に商品棚卸しをして、保有している商品の金額的な確認とともに、その商品が売れるか、売れないかの選別もします。 売れそうにない商品はデッドストックと呼ばれ格安で売却されるか、廃棄されます。
商品と技術を同格に見るのは、無理なことですが、「売れるか・売れないか」の観点で見ると、
共通する何かがありそうです。
技術の内容
IT関連の技術に絞り、内容を確認します。内容はハード、ソフトに分けられますがソフト系の
技術を中心に考察します。
Java、C言語系、.net などWEB関連の言語技術。データベース構築の技術。ネットワーク
構築の技術。 セキュリティー関連の技術。或いは、インフラ系のサーバー構築技術。
COBOLやRPGなども、まだ使われてる言語ですが、やや減少気味の傾向です。
まだ分類される技術もあるとは思いますが、それぞれの技術も詳しく見ると、更に細分化されそうです。 観点を変えると、プロジェクト管理も技術(ノウハウ)と言えそうです。
拡大解釈するならば、業務に精通している自体を技術とは言いませんが、IT技術者にとっては、
必要なノウハウです。
要するに、技術や技術に関係する周辺のノウハウも含め、IT技術者として、自ら保有する技術の内容を確認することは決してムダになりません。
年に1回程度、「売れる技術か、売れなくなる技術か」を見定めるのは、サバイバル技術です。
棚卸しの意味合い
2つの意味合いがあります。 1つ目は、技術の評価です。どれほどのバリューがあるか?
持てる技術の価値の大きさを知ることです。とことん専門的に精通している技術か、知っている程度の技術なのか? 商品で言えば金銭的な価値を確認することです。
2つ目は、技術の将来性です。持てる技術を客観的に見ると、需要(仕事の質量の増減)は、
増えるか、減るか・・・の見通しを判断することです。
例えば、単純にあるプログラム言語技術を得意にしていることと、AIについて勉強もしていて
実際の仕事にも関わっていることでは、将来的に、どちらの需要が大きいかは自明です。
最新ニュースでは「ディープラーニング技術者」を、3万人程度、育てるプランが発表されました。IT技術は、年々、凄まじいスピードで進化しています。技術の棚卸しは必要と思います。
売れる技術
IT技術は、今、どの技術も売れている技術に違いありません。 それほどにIT技術者は不足
しているのが現状です。しかし、技術の程度(より高いレベルの技術か、どうか?)や技術内容によって、高く売れている技術なのか、そこそこに売れている技術なのかに分かれます。
1年、2年程度では、技術の動向や変化に大きな違いを見出すことは難しいかも知れませんが、
仮に、40代の技術者の立場で考えると、まだ20年以上もの間、仕事を続ける必要があるので、
5年、10年の長期スパンで技術の動向を見抜くことが出来れば良いと思います。
しかし、技術動向に無関心だと、売れる技術とか、売れなくなりそうな技術とかを分別できず、
「ゆでガエル」状態に陥るリスクがあります。
自分自身の持てる技術を、より一層、或いは継続的に売れる技術にするためには、技術動向を
良く知ることが重要です。場合によると、技術内容を変える決心が必要かも知れません。
技術の棚卸しの先に
持てる技術を棚卸しすることは、何かを得るためか、何かを失わないための手段です。
巷間、言われている「強いものが生き残るのではなく、状況の変化に対応したものが生き残る」。
まさしく技術の棚卸しは、生き残るための手段、方策なのです。
別の言い方をするならば、持てる技術を再確認すること、これからも売れる技術かを確認することです。T型(幅広い技術の中に、より深い得意技術を持っている)人間は優位です。
IT技術を鳥瞰図的に見ると、技術そのものが、幅を拡大し奥行きを深めていて、T型の膨張を
加速している気がします。
IT技術の世界で仕事していることは幸いです。 他の業種には、先行きの見通しに暗雲が漂っているビジネスもあります。IT関連のビジネスは、当分の間、拡大することはあっても、減少
することは考えられません。
だからと言って安閑としてはいられません。技術は年々、進化し続けているから、技術を売りにしているIT技術者は、技術の棚卸しをして、売れる技術を確認し、確保することが必要です。
IT技術は膨張しています。今までになかった技術も現れていますし、実用化も実験が進んでいます。技術の棚卸しは、生き残るための一里塚です。今日の仕事に集中するためにも持てる技術を確認し、技術の変化・進化に対応しましょう。
斉藤 礼三郎
コンピュータやネットワークに関わり半世紀近く。T自動車の情報部門にて、約20年間、DBやNWの企画・設計を担当した。その後、独立し名古屋にてシステム会社を20年ほど経営する。
現在は「PEーBANKのシニアアドバイザー」の立場で活動中。