身近なBLEビーコン活用例 | ITフリーランスエンジニアの案件・求人はPE-BANK

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IoTモノ語り

身近なBLEビーコン活用例

これまで、堅い話が続いてきました。今回は、BLE絡みではありますが、ちょいと視点を変えた柔らかめなお話もお届けします。

Tappiness

BLEビーコンを実体験できる実例を探してみることにしました。

実用例の紹介はいくつかネット上でも見つけられると思うのですが、その中でも、
比較的身近、かつ全国レベルで実体験可能な、飲料水自動販売機 「Tappiness」(以下Tappiness)を取り上げたいと思います。

Tappinessは、飲料メーカーKIRINとSNSプロバイダーLINEとのコラボレーションとして実現された、販促サービス搭載のベンディングマシンです。(図1)

支払いが、現金に加えて、Suicaをはじめとする電子マネー、Line Payなどで可能です。(選択できる支払い方法は自動販売機によって異なります)

支払いの際、LINEアプリが搭載されたスマートフォンを自動販売機にかざすことで、ポイントが溜まり、溜まったポイントに応じて特典が得られる仕組みになっています。

詳しくは、Tappinessのサイト(http://www.kirin.co.jp/company/about/kirinbeverage/expansion/jihanki/tappiness/)をご覧ください。



Tappiness
図1:左:【タピネス対応自動販売機】右:【Tappiness(タピネス)ロゴ】
(画像はすべてキリンビバレッジバリューベンダー株式会社のWEBサイトならびにニュースリリースより)


気になる設置場所ですが、LINEアプリから確認できるほか(図2)、WEBサイトからも確認することができます(図3)i 。皆さんのお近くに設置されていますでしょうか。



スマフォLINEアプリからのTappiness設置場所確認
図2 スマフォLINEアプリからのTappiness設置場所確認



図3 Kirin Tappiness自動販売機詳細サイト
図3 Kirin Tappiness自動販売機詳細サイト

LINE Beacon


Tappinessは、LINE社が開発したLINE Beaconを搭載しています。

LINE Beaconは、Bluetooth4.0準拠のBLEビーコンなのですが、Advertier’s Dataフィールドの書式がiBeaconのそれとは異なります。独自仕様のLINE Simple Beaconとして書式情報が公開されています。
(https://github.com/line/line-simple-beacon/blob/master/README.ja.md)

仕様書を元にAdvertier’s Data部のみ図式してみます。



図4 LINE Simple Beacon ADストラクチャ
図4 LINE Simple Beacon ADストラクチャ


さらに、3番目のADストラクチャは、同仕様書では図5の様に定義されています。



図5 LINE Simple Beacon Frame書式
図5 LINE Simple Beacon Frame書式

ビーコン観測


仕様を整理したところで、Tappinessが発しているPacketを実際に捕捉してみましょう。使用するツールは、nRF Connect for Mobile(Android版)です。

図6は、近辺のTappiness10カ所程度を観測した内のひとつの観測画面です。

図6右は、LINE BeaconをADストラクチャ表示させてものです。



図6 Tappines 観測時のBLEビーコン捕捉画面
図6 Tappines 観測時のBLEビーコン捕捉画面


仕様書どおり、3つのADで構成されていることが確認できます。

第2ADのVALUE値が、0x6FFE なので、LINE Simple Beaconであることはほぼ間違いありません。

気になる点は、第3ADの7byte目が、仕様上では0x7fと固定としている様ですが、0x7fが観測されてない点です。該当するフィールドは、電波強度用途なので、機器にあわせて変更させていのかも知れません。(あくまでも推測です)

iBeaconも?


観測して気づいたことなのですが、Tappinessは、LINE Beacon書式のパケットに加えて、iBeaconタイプのパケットも送出している様です。当初は、LINE Beaconの近くに、iBeaconフレームを送出するビーコンが偶然存在しているだけのことと考えていたのですが、複数のTappinnesで捕捉してみると常にiBeaconが観測されるのです。

そして、iBeaconフレームの内容をよく見てみると、



図7 Tappiness観測時捕捉されたiBeacon
図7 Tappiness観測時捕捉されたiBeacon


なんと、Major/Minor値こそ異なれど、UUIDは、どれも”d0d2ce24-9efc-11e5-82c4-1c6a7a17ef38” となっているのです。
UUIDは、ビーコン種別ごとで同じ値であることが多いことから、Tappinessに紐付けされているのかと推測します。

実際、Tappinessマシンに近づくと、図8の様に“Tappinessが近くにあるよ”表示が現れるのですが、BLE Beaconが捕捉される前に表示されるので、近接表示をiBeaconを使って行っているのではないかと見ています。ii



図8 Tappiness近接表示
図8 Tappiness近接表示


今回のアプローチ如何でしたでしょうか。
実際に観測してみて、思わぬ気付きが得られ、確かめてみることの面白さを味わえました。


i 設置位置の情報は、LINEアプリの方が最新の様に思われます。
ii TappinessとiBeaconの関係について触れている文書を見つけることができていませんでした。あくまでも個人的見解となります。

IoT研究会レポート


年越しとなりましたが、IoT研究会6月会のレポートをお届けまします。
今回のテーマは、BLE。担当は、遠藤さんです。


今回はBLE(Bluetooth low energy)のワークショップが開催されました。

<BLE講座>

・BLEは比較的短距離・長時間運用を想定したもので、バッテリを長く持たせる必要の
あるモノのインターネット (IoT)アプリケーショ ンに最適。
・クラシックBluetoothとBLEの違いは低い消費電力(Low Energy)。

BLE講座01


・無線機器には認可が必要で、「PSoC 4 BLE」は技適マークが付いるのでそのまま使用することが可能。


BLE講座02


・BLEの接続形態 (トポロジー )には、ブロードキャスト型とコネクション型がある。



BLE講座03
今回の実習ではブロードキャスト型について行う。


・一方的に発信する通信モードを ブロードキャスト型トポロジーといい、一方的に発信する側をブロードキャスター、 受信する側をオブサーバーという。

クーポン配信サービスや位置情報に基づく情報配信に利用されるビーコンがこの接続形態に該当。
ビーコンがBroadcasterになり、スマートフォン等の情報端末がObserverになる。


<BLE実習>

・「PSoC 4 BLEがBroadcaster」と「PSoC 4 BLEがObserve」の2パターンでブロードキャスト型について実習を行った。


BLE講座04


■実習1
・サンプルソースをベースに「PSoC 4 BLE」へBroadcaster機能を実装し、手持ちのスマートフォンでパケットをキャッチする。
・サンプルソースはPSoC3.3_Day009_Dynamic_Broadcasterを使用。


BLE講座05


①スマートフォンの設定
スマートフォンにBLE受信機能のアプリ(BLE Scanner)をインストールした。

BLE講座06


②PSoC Creatorの設定

・回路図

BLE講座07


・回路図のBLE コンポーネント設定

BLE講座08


BLEのDevice nameに任意の名称を設定する。

BLE講座09


③実行した結果
・「PSoC 4 BLE」から発信したデータをスマートフォンのアプリ(BLE Scanner)が受信できていることを確認した。
※実習参加者の「PSoC 4 BLE」デバイス名も受信されていることが確認できた。
BLE講座10


■実習2
・サンプルソースをベースに「PSoC 4 BLE」へObserve機能を実装し、サイプレスのBLE温度センサをブロードキャスターとして、受信した結果をUART出力する。

・サンプルソースはPSoC3.3_Day010_Observerを使用。

BLE講座11


①PSoC Creatorの設定

・回路図

BLE講座12
②実行した結果
・「サイプレスのBLE温度センサ」から発信したデータを「PSoC 4 BLE」が受信できていることを確認した。

※実習参加者の「PSoC 4 BLE」でも同じ内容が受信されていることが確認できた。

BLE講座13


<最後に>

今回のIoT研究会のレポートは遠藤が担当しました。フリーランスになって早いもので20年ほどになります。主に業務(販売管理、会計管理、物流管理)系のシステム開発を行ってきました。

物流(WMS)に関連したシステムが5年ぐらいつづいており、最近ではタブレットとカートを利用したピッキングシステムの開発を行いました。
さらに便利なピッキングシステムをIoTの中から見いだせればと思いIoT 研究会で勉強させて頂いています。

今後はIoT研究会で身につけた知識を現場に活かせる様展開していきます。

飯田 幸孝

飯田 幸孝

ソフトウエアエンジニア。名古屋出身。
計測機器開発メーカ、JAVA VMプロバイダの2社を経て2007年独立。
組込機器用F/W開発に多く従事。2015年より新人技術者育成にも講師として関わる。
モノづくりが好きと宇宙から地球を眺めてみたいという思いが高じて、2009年より宇宙エレベータ開発に手弁当にて加わる。その実現に今後の人生を掛ける。
宇宙エレベータ開発のご縁で静岡大学の衛星プロジェクトStars-Cに参画。2016年秋、担当ユニットが、自身の分身として、一足先に宇宙に行き地球を眺める。

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