AIエンジニアの年収はどれくらい?年齢や雇用形態の違いを解説

AI技術があらゆる業界に広がる中、AIエンジニアは社会的にも高い需要を誇る職種です。高度な専門知識とスキルが求められる分、年収も比較的高めとされていますが、実際の収入は年齢や雇用形態、企業規模、地域、保有スキルなどによって大きく変わります。
本記事では、AIエンジニアの平均年収と年齢、経験による年収の違い、正社員、派遣、フリーランスなど雇用形態ごとの収入の特徴のほか、収入を上げるために必要なスキルや資格などを解説します。
AIエンジニアの平均年収と年齢、経験別の年収推移
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、AIエンジニアの平均年収は628.9万円です。これは、ITエンジニア全体の平均年収と比較しても高水準であり、スキルと専門性が報酬に直結している職種であることを示しています。
また、年収は年齢や経験、担う役割によっても大きく変動します。20代の若手エンジニアと、40代でマネジメントを兼ねるベテランとでは、年収レンジに2倍以上の差が生まれることもあるでしょう。
以下では、具体的な統計とともに年収の推移や傾向を見ていきましょう。
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年齢、経験別の年収推移の具体例
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」を見ると、AIエンジニアの平均年収は年齢が上がるにつれて伸びていき、50代後半でピーク(830.92万円)を迎えます。

年齢とともに収入は伸びますが、60代以降は年収が大きく下がる傾向にあります。
月給レンジと給与分布の実態
AIエンジニアの基本給や定時内手当を含む月額給与である所定内給与の分布を見ると、以下のような二極化した傾向になりました。

最も多いのは月26万~27.9万円、次に多いのが45万〜49.9万円の層です。そのほかにも、33.83万円、22.4万円付近の層に一定の分布が見られます。
この分布から見えるのは、初級~中堅層に集中しつつ、上位層との収入格差が大きいことです。AIエンジニアは実力主義の色が強く、同じ職種でも「基礎実装のみ」か「設計~運用まで担えるか」で収入に数百万円以上の差が生まれます。
つまり、年収アップには単なる経験年数ではなく、役割の広さと成果の質が問われるということです。
地域別の年収
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、AIエンジニアの年収は都市部ほど高い傾向が顕著です。特に東京都、神奈川県、大阪府などの大都市圏では700万円以上の求人も多く、プロジェクトの種類や事業規模も豊富です。
一方、地方都市では求人数やプロジェクト規模が限られるため、同じスキルを持っていても年収が低めに抑えられる傾向があります。これは、企業のIT投資額や地域の市場規模に比例する面が大きく、結果として地域間で格差が生じているのが実情です。
■主な地域別の年収
| 地域 | 平均年収 |
|---|---|
| 山梨県 | 828.5万円 |
| 宮城県 | 711.3万円 |
| 東京都 | 674.3万円 |
| 大阪府 | 595.5万円 |
| 石川県 | 437.4万円 |
| 佐賀県 | 422.7万円 |
ただし、リモートワークの普及により、この差は徐々に縮まりつつあります。最近では、地方在住のAIエンジニアが、首都圏企業の高単価案件をリモートで担当するケースも増加しています。フリーランスであれば、居住地に縛られず、高報酬案件にアクセスできるチャンスが広がっているのです。
AIエンジニアと他職種との平均年収比較
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、AIエンジニア(データサイエンティストを含む)の平均年収は628.9万円で、ほかのIT職種と比べて高めの傾向にあります。
■AIエンジニアと他職種との平均年収比較
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| AIエンジニア | 628.9万円 |
| データエンジニア | 628.9万円 |
| ITコンサルタント | 752.6万円 |
| モバイルアプリケーション開発技術者 | 574.1万円 |
| システムエンジニア(基盤システム) | 752.6万円 |
※参考元:厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」
AIエンジニアは、高度な数学的知識、統計分析、プログラミング能力、AIモデル構築能力を総合的に求められるため、専門性の高さが年収に反映されています。加えて、AIを事業価値に結びつけられる人材は、より高い評価を受けやすいのが特徴です。
AIエンジニアの将来性
AIエンジニアの年収は、今後も安定した上昇が見込まれています。背景には、生成AIや大規模言語モデルLLM、自動化ツールの進化があり、AIの導入が業界を問わず加速しているという社会的な流れがあります。
さらに、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進が進む中で、AI人材の需要は今後10年で一層拡大する見通しです。
中でも、研究と開発の両方に対応できるT型人材や、AIシステム全体を設計、運用まで見渡せるエンジニア、そして事業課題を正しく理解し、AIを実践的に活用できるビジネス視点を持った人材の市場価値が高まっています。
こうした背景から、AIエンジニアは技術職でありながらも、企業戦略を支える専門職としての期待が高まっており、今後の年収増加が十分に見込まれます。 継続してスキルを磨き続ければ、将来的に1,000万円を超える年収も現実的なキャリア選択となるでしょう。
AIエンジニアの年収アップに必要なスキル
AIエンジニアが年収を上げていくには、実装力だけでなく、成果を出す力、ビジネスへの貢献、チーム内での役割の広がりなど、複合的なスキルと実務力が求められます。
ここでは、年収アップに直結する具体的なスキル領域を紹介します。
開発、実装スキルで収入の基盤を築く
Pythonを中心に、PyTorchやTensorFlowなどのライブラリを活用したモデル構築スキルは、AIエンジニアとしての出発点です。加えて、NumPyやPandasなどによるデータ処理、API連携、SQLの知識も現場での信頼につながります。
また、単にモデルを作るだけでなく、ビジネス課題に最適化したチューニングや精度改善ができる実装力が、高年収への第一歩です。
MLOpsとクラウド運用が単価を押し上げる
近年、AIモデルの継続運用が当たり前になり、CI/CDやモデル監視、再学習パイプラインの構築といったMLOps領域の知識と実装力が収入に直結するようになっています。
また、AWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)、Azure(Microsoft Azure)などクラウド環境での開発、運用経験は、高単価案件を狙う上で非常に有利に働くでしょう。
数理と評価設計力がプロとしての信頼を高める
線型代数、確率統計、最適化理論といった数理の基礎を理解しているかどうかは、AIモデルの信頼性と改善力に直結します。
また、精度やF1スコアなどの評価指標を適切に設計、調整できる力は、データにもとづいた改善提案を可能にし、ビジネス側からの信頼にもつながります。
ビジネス視点と提案力が上流工程につながる
どれだけ優れた技術を持っていても、それが誰のどんな課題をどう解決するのかを説明できなければ、高単価ポジションにはつながりません。
技術の背景や意思決定の根拠を明確に伝える力、プロダクト全体の価値を設計できる力があれば、上流工程やリーダー職に抜擢され、年収アップにも直結します。
AIエンジニアの年収アップに役立つ資格
AIエンジニアとしての実力を証明する手段として、資格の取得は有効なアピールポイントになります。特に転職やフリーランスとしての案件獲得において、専門性やスキルの裏付けとなる資格を保持しているかどうかは、クライアントや採用側からの信頼に直結します。
ただし、資格はあくまでも「入り口」であり、実務での成果やポートフォリオとセットで提示することが重要です。
ここでは、年収アップを目指すAIエンジニアにおすすめの資格を紹介します。
AI・機械学習系の主な資格
AI領域において知識と実装力を証明する代表的な資格は以下のとおりです。
■AI・機械学習系の主な資格
| 資格名 | 内容、特徴 |
|---|---|
| G検定(ジェネラリスト検定) | AIの基礎理論、法律、倫理、応用事例を広くカバー。未経験からの入り口として最適 |
| E資格(エンジニア資格) | ディープラーニングの実装力を証明する上級資格。JDLA認定講座の修了が必要 |
これらの資格は、AI人材育成を目的とした一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が運営しており、国内でも広く認知されています。
クラウドプラットフォーム系の主な資格
クラウドサービスの活用が当たり前となった今、クラウドプラットフォームの資格を持っていることは信頼の裏付けになります。
特に実務経験とセットであれば、スキルアピールとして効果的なので、取得しておくのがおすすめです。
■クラウドプラットフォーム系資格
| 資格名 | 内容・特徴 |
|---|---|
| Professional Machine Learning Engineer認定 | GCP上でのAI開発スキルを証明。設計、構築、運用に対応 |
| AWS Certified Machine Learning – Specialty | AWS環境での機械学習設計、実装力を示す専門資格 |
| マイクロソフト認定: Azure AI エンジニア アソシエイト | AzureでのAIモデル開発、統合スキルを証明。企業導入にも強み |
これらの資格は、クラウド上でのAIモデル開発、運用スキルを証明できるだけでなく、クラウドベンダーとの技術的な共通言語としても機能します。特にフリーランスとして活動する際には、即戦力としての信頼性を高める材料になります。
そのほかの有用資格、補足スキル
AIに直接関連しないものでも、基礎力や応用力を証明できる資格は年収アップにもつながるため、ここでいくつか紹介しましょう。
■そのほかの主な有用資格
| 資格名 | 内容、特徴 |
|---|---|
| Pythonエンジニア認定試験 | Pythonの文法や基本構文の理解を証明 |
| 統計検定(2級以上) | 統計的思考、知識の理解度を客観的に示す資格 |
| 応用情報技術者試験 | IT全般の基礎、設計力を広く網羅する国家資格 |
特に、AIエンジニアを目指す初学者にとっては、これらの資格を通じて自分のスキルの土台を固めることが重要です。
年収アップを目指す具体的な行動とキャリア戦略
AIエンジニアとして高年収を実現するには、日々のスキル習得だけでなく、どう見せるか、どう働くかという戦略的なアクションも欠かせません。ここでは、年収アップにつながる具体的な行動と、中長期的なキャリア設計のポイントを紹介します。
スキルと実績を可視化する
自分のスキルや実績は、ただ持っているだけでは評価されません。第三者に伝わる形で明示することが、年収アップの第一歩になります。
例えば、GitHubやポートフォリオサイトを通じてコードの質や成果物の具体性を公開すれば、技術力への信頼を高めることができます。特にリードポジションやフリーランスとして活動する際には、どのような開発経験を持ち、どのような技術で課題を解決できるのかを、具体的に提示することが重要です。
また、技術ブログの執筆やカンファレンス登壇、論文実装の共有など、外部に向けたアウトプットを積極的に発信することも、自身の専門性を高める効果があります。アウトプットの質が高ければ、同業者や採用担当者からの評価につながりやすくなります。
さらに、成果を定量的に表現する工夫も有効です。例えば「モデル精度を92%から96%に改善」「処理速度を30%短縮」といったように、改善内容を数値で示せば、実績のインパクトを客観的に伝えられます。
このように、スキルや実績を可視化することで、転職活動やフリーランス案件の獲得時に、自分の市場価値を的確にアピールできるようになります。
フリーランス活動で市場価値を上げる
年収アップを目指す上で、働く環境を見直すことは非常に効果的です。特にフリーランスとして独立することで、自身の得意領域に特化した働き方や、稼働量、単価の最適化による収入アップが現実的な選択肢となります。
フリーランスは、自分のスキルと実績を武器に、柔軟な案件選定や働き方のコントロールが可能です。会社員時代よりも自由度が高く、うまく条件を整えれば、収入もそれに比例して伸ばせます。
その一方で、案件単価や契約条件を適切に交渉する力も欠かせません。特に初期のうちは、遠慮や不安から単価を抑えてしまいがちですが、自己評価を数字や実績で裏付けながら主張できれば、長期的な収入増加や案件継続にもつながります。
また、定期的に自身の市場価値を確認することも重要です。案件内容や報酬の相場を把握し、自分のスキルセットとのギャップを見直すことで、常に成長し続ける状態を維持できます。フリーランスとして活躍し続けるには、変化の早い技術環境に対応し、自分自身をアップデートし続ける姿勢が欠かせません。スキルや知識を磨き続けることが、継続的な案件獲得や高収入の維持につながります。
AIエンジニアの収入と働き方の選択肢を考える
AIエンジニアは、技術職の中でも高い年収水準を誇る専門職で、平均年収は628.9万円とIT業界の中でも上位に位置します。ただし、その収入には年齢、経験、スキル、雇用形態、地域差など、さまざまな要因が影響しており、必ずしもすべてのAIエンジニアが高年収を得ているわけではありません。
特に、フリーランスは働き方の自由度が高く、高単価案件に直接参画できる魅力的な選択肢です。とはいえ、営業や契約、税務などのハードルもあるため、独立初期は不安を感じる人も少なくありません。
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