Bコラム〜ビジネスマン(技術者)への応援メッセージ〜
『汝自身を知れ:何をしたいのか?』
はじめに
その昔(約2500年前)、ソクラテスの云った言葉は、今もって新鮮な問い掛けです。
又、いかにも哲学的な問い掛けで、どの様にでも解釈出来る問い掛けです。
狭義には、身の程を知れとか、分をわきまえる、度を超すななどと解釈されています。
しかし、広義に解釈すると奥深いものがあります。
今回は「汝自身を知れ」を、広義に解釈し、応援コラムといたします。
今までを振り返る
人は誰でも、もの心ついた頃から、自分の判断で行動しています(或いは、行動しない)。
20数歳の人も40数歳の人も、結果の善し悪しや立場の違いは別にして、今までの行動を踏まえ様々な経験を経て、現在の自分があります。
生まれ育った時代や生活環境(家族、場所、学校、友人、仕事など)は、異なっていても、
今は立派な社会人になっています。
今までを振り返ると、楽しかったこと、良かったこと、感動したことなどは数限りなく、
逆に、辛かったことや悲しいことも多々あったに相違ありません。
今までの中に、自分自身の特質があると思います。
何が楽しかったことか? 感動したことか? 辛かったことなのか?
人によって好悪や喜怒哀楽の中味は、多少、異なる気がするのです。
自分を知る一歩目は、好きなこと嫌いなことを知ることです。 人との比較でなく、個性として自分の好きなこと(楽しいこと、やりたいこと)を確認すれば良いのです。
これからを見つめる
立派な社会人として、仕事をしながら私生活も無事に過ごしていると思いますが、この先、
世の中が目まぐるしく変化することは避けられません。
とは云え、自分自身の楽しみたいこと、やりたいことが出来ない訳ではありません。
寧ろ、世の中が変わろうとも、何年か先のことを思い描き、やりたいことをするのです。
どんな仕事も厳しい場面はあるし、人には云えない辛いこともあるでしょう。
一方、少し見方を変えると、仕事の中にも楽しさは一杯あります。
予定通りにコトが進めば、やりがいを感じるし、上司や客先から感謝の言葉などがあれば嬉しいものです。或いは、仕事仲間との飲み会なども楽しいことです。
更には、仕事を通じて新たな技術とかノウハウを会得することも出来ます。
どちらにしても、これから先のことに思いを馳せ、一体、自分は何をしたいのか?
どの様な仕事を望むのか? 生活をしたいのか? とことん見つめる(考える)のです。
まさに「自分自身と向き合い、自問自答して見る」のです。
他人でなく、自分のことなので、充分に知りつくしている筈が、意外にも、不確かなことに気づき唖然とするかも知れません。
周囲を見渡す
「自分自身を知る」のは、そう容易なことではなく、これから先も不透明なことが多く、
不安な気持ちになるとしたら、正しい認識だろうと思います。
ただ天地がひっくり返ることはなく、どの様な事態になっても、何とかなるものです。
別の云い方だと、なるようになるのです。
神様がいるかどうか? 会ったことはありませんが、自分のしたいことを理解し、達成すべく行動することにより、神様が支援してくれるのです。
世の中の移り変わりや、技術や社会システムの変化を把握することは大切です。
自分のしたいことを達成する際の行動は、自分を取り巻く周囲の状況が影響するからです。
無頓着に、がむしゃらに行動するばかりでは、良い成果を得られずに苦労します。
IT関連の仕事をしている人ならば、尚更に、技術動向とか各種システムの方向性などは
しっかり掴んでおく必要があります。 自分のしたいことと技術動向のトレンドが合っているなら幸いです。 自分の立場や周囲との関係を見渡し、今、大切にしなくてはいけないことを洗い出して、毎日の行動につながると良いですね。
自分自身を知る強み
正しく自分自身を理解する。 つまり「何をしたいのか?」を明確に認識することです。
1つだけでなく、あれもこれも複数の「したいこと」があるとしたら、優先順位を意識し、
時間軸も考慮して、行動するのです。
自分自身を理解することは、当然ですが、他人には出来ないことです。
表面を飾ることも出来ない、本音の自分を知ることしか出来ません。
仕事上のこと、家庭内のこと、友人たちとの付き合いなど、多面的な顔を持って生活する中で「したいこと」を意識して行動するのです。
ただ、その場の状況に流され続けないことは肝要です。
責任として、或いは立場上の役割で「したくないこと」もやらねばならぬことは有ります。
それでも「したいこと」を常に思い浮かべながら行動していると、セレンディピティー(偶然の巡り合わせ掴む幸運/能力)を得ることが出来るのです。
漠然と、無意識に、いつも通りの仕事や生活を送るだけでなく、自分の「したいこと」を熱烈に望み、意識して行動していると、運良く叶うものです。
先ずは、自分自身をしっかり理解することです。自問自答し書き出すと良い。
「したいこと」を明確に書き出すことは、良い結果を得られる始まりになります。
自分自身を知る強みは、常に意識した行動を継続的に可能にすることです。
当然の結果として、望む「したいこと」が叶います。
2500年も前の知恵「汝自身を知れ」は、今も有効期限を保っている気がします。
斉藤 礼三郎
コンピュータやネットワークに関わり半世紀近く。T自動車の情報部門にて、約20年間、DBやNWの企画・設計を担当した。その後、独立し名古屋にてシステム会社を20年ほど経営する。
現在は「PEーBANKのシニアアドバイザー」の立場で活動中。