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データサイエンティストは、IT業界の中でも年収が高いとされる職種です。近年では、ビッグデータや機械学習を用いたビジネスが普及しており、データのスペシャリストであるデータサイエンティストの需要が高まっています。
そこで本記事では、データサイエンティストの年収、仕事内容や、必要な知識・スキル、今後の将来性などを解説していきます。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストの仕事内容は、データを活用し、ビジネスの成果に結びつけることです。まずはより具体的な仕事内容をみていきましょう。
データ分析
データサイエンティストの主な職務は、企業がビジネス活動を通じて蓄積した大量のデータを分析し、ビジネスに役立つ情報に変換することです。これによって、業務改善やサービス価値の向上に貢献します。
近年では、企業が大量のデータを保持する重要性が強調されていますが、データは保有しているだけでは価値がありません。分析を通じてそこから知見を得ることで、初めて価値が生まれます。そして、その主な役割をデータサイエンティストが担っているのです。
ビジネス環境が大きく変化している中で、価値創出のために不可欠なプロセスを担っているといえるでしょう。
市場分析
データサイエンティストにとって、市場分析は重要な業務のひとつです。市場分析とは、業界動向、競合情報、顧客状況などを多角的に調査し、解析することです。マクロな情報を分析することで、企業の価値向上につなげる重要な役割が期待されます。
分析データの活用方法の提案
データサイエンティストの職務は、単にデータの分析にとどまらず、その活用方法の提案にも及びます。データ分析は手段であり、企業のビジネスにおける課題解決や新たな価値を生み出すための実行可能なビジネス戦略や改善策を提案することもデータサイエンティストの重要な役割です。
このような提案を行うためには、クライアント企業や自社の業務特性、ビジネスモデルへの深い理解が欠かせません。したがって、データサイエンティストには、単なる技術的な分析能力だけでなく、ビジネスに関する知見も求められるといえます。
分析基盤環境の構築
データサイエンティストの仕事には、専門知識のないユーザーでもデータを活用できるような基盤環境の構築が含まれます。例えば、セールスメンバーが顧客情報を抽出したり、カスタマーサービスが問い合わせデータを確認したりするなど、さまざまな部署でデータの活用が必要です。
こういったニーズに応えられる環境を整えることは、ビジネスの競争力を高める重要な役割を果たします。
データサイエンティストの年収
一般社団法人データサイエンティスト協会発表の資料によると、2020年度の平均年収は791万円です。2016年度の726万円から大きな伸びを示しています。このことから、データサイエンティストの需要が増加し、その価値が高まっていることがうかがえます。
データサイエンティストの年収(2016年と2020年の比較)
※参照元:一般社団法人データサイエンティスト協会「データサイエンティストのリアル」(2021年4月発表)
また、年齢層に着目すると、30~40代がデータサイエンティストの中心となって活躍している点も特徴です。若い世代であるにもかかわらず、比較的高い年収を得やすいこともデータサイエンティストの魅力のひとつといえます。
データサイエンティストの年齢層(2016年と2020年の比較)
※参照元:一般社団法人データサイエンティスト協会「データサイエンティストのリアル」(2021年4月発表)
経済産業省発表の「我が国におけるIT人材の動向」では、データサイエンス、AIなどの先端的なIT業務に従事する人材を含む「先端IT従事者」の最も多い年収区分は1,000万~1,500万円で、全体の15.2%の人がこの区分に該当しています。
先端IT従事者と先端IT非従事者の給与分布
※参考元:経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」
さらに、先行するアメリカなどの海外では、AIやデータサイエンスなどの分野において高いスキルを持つ人材の採用に際して、高額な報酬を提示する傾向が増加しています。その結果、日本でもデータサイエンス領域で高い技術を持つ新卒に対して、年収1,000万円以上の報酬を提示する企業が増えているという背景があります。
データサイエンティストの将来性
データサイエンティストは現在高い需要がありますが、その傾向は今後も続くといえます。なぜデータサイエンティストの将来性が高いといえるのか、将来性が高い理由を説明します。
ビッグデータとAIによる市場の広がり
データサイエンティストの将来性が高い理由のひとつは、ビッグデータとAIという目覚ましく発展している領域と関連性が高いことです。
近年、AIサービスが急速に発展し、音声認識、画像認識、文章理解、分析など、多方面での普及が見られます。自動運転や店舗の無人化など、大規模なサービスの導入も控えており、AIのさらなる広がりも期待されています。AI技術の進化の背景には、ビッグデータによる機械学習技術が欠かせません。ビッグデータは日々生成される膨大で多様なデータを指し、これらを効果的に活用することでAIの精度が飛躍的に向上します。
そしてビッグデータの活用とAI技術の発展には、データを分析・活用するデータサイエンティストの役割が不可欠です。AIがさらに広がり、ビッグデータの活用が進むほど、データサイエンティストの需要は高まると考えられます。
データサイエンティストの不足
データサイエンティストの需要に対して供給が追いついていないことも、データサイエンティストの将来性が高い理由です。
経済産業省の資料によると、データサイエンティストを含むAI人材について2018年時点での総需要は4万4,212人で、需給差が3万3,516人に達しました。さらに、2020年時点では総需要が8万3,265人に増加し、不足数が4万4,857人に拡大すると予測されていました。AIの発展なども考慮すると、今後もこの不足傾向は続くと考えられます。
AI 人材全体の需給傾向
※参考元:経済産業省「-IT人材需給に関する調査-調査報告書」
データサイエンティスト以前に、AI人材自体が不足しているのが日本の現状です。この状況で、高度な技術を要求されるデータサイエンティストの不足はより深刻です。データサイエンティストにとって人材不足は追い風となり、将来的にも需要と重要性が高まることが予想されます。
データサイエンティストに必要なスキル
データサイエンティストは非常に高待遇の職種といえますが、その分さまざまなスキル、知識が求められます。データサイエンティストとして活躍する上で、特に求められる代表的な4つのスキル、知識を紹介します。
統計学の知識
データサイエンティストにとって、統計学の知識は重要なスキルです。ビッグデータの分析・活用に、統計学は欠かせません。統計学には、確率や統計、微分・積分などの知識も必要で、高い数学能力が求められます。そのため、データサイエンティストを目指すなら、少なくとも高校卒業レベル(数IIIC)の数学力が必要です。
データを可視化する技術
分析したデータをわかりやすく伝えることも、データサイエンティストにとって極めて重要です。高度な分析技術を駆使しても、その成果を直感的な図やグラフとして表現できなければ、その努力は報われません。
データビジュアライゼーションは、依頼者の要望に応じて分析結果を理解しやすい形にするスキルです。データの専門家でなくとも、誰でも結果を理解し、活用することが可能になります。この能力は、企業が市場での競争優位性を獲得する上で不可欠です。
ビジネススキル
データサイエンティストとして成功するためには、単なるデータ分析能力だけでなく、幅広いビジネススキルも重要です。経営層やクライアントと直接コミュニケーションを取る場面が多いため、基本的なビジネスマナーやコミュニケーション能力が求められます。
また、分析したデータは現場の意思決定や経営戦略に活かせるため、現場の業務やサービス理解、ビジネス市場の理解といったビジネススキルも必要です。
プログラミングスキル
データサイエンティストとしては、プログラミングスキルも必要となります。特に、機械学習やディープラーニングを行う際には、PythonやR言語などのプログラミング言語の知識が必要です。プログラミングは必ずしもデータサイエンティストの業務ではなく、データエンジニアといった職種が担当する場合もあります。それでも、みずからコードを書く能力があれば、大量のデータ処理を効率化するなど、業務において有利に働くことがあります。
そのため、より市場価値の高いデータサイエンティストを目指す場合、プログラミングスキルも高めておくとよいでしょう。
データサイエンティストの年収を上げる方法
データサイエンティストとして、より高い年収を目指すためにはどうしたらいいのでしょうか。最後に、働き方を変えることで年収を上げる方法を紹介します。
大手企業や外資系企業に転職する
高い年収を目指すならば、大手企業や外資系企業への転職が有効な手段のひとつです。大手企業では、豊富なデータを保有しており、その活用によるメリットが大きいため、データサイエンティストの専門性を高く評価する傾向があります。
また、海外を絡めたビジネス展開を行う外資系企業では、扱うデータの量と種類が膨大であり、より高度な技術が求められます。さらに、外資系企業は実力主義が強く、成果を出せば出すほど年収を上げることが可能です。そのため、若いうちから高い年収を得るチャンスがあるといえるでしょう。
社内での昇進を目指す
データサイエンティストとしての経験は、社内での昇進につながる可能性があります。具体的には、PM(プロジェクトマネージャー)やチームリーダーといったポジションが挙げられます。これらのポジションはデータをもとに、意思決定や経営層とコミュニケーションする機会が多く、データサイエンティストとしての経験を活かしやすいためです。
データ面だけでなく、チームやプロダクト全体へと責任範囲は拡大しますが、充実感とともに高い収入を期待できるでしょう。
フリーランスとして独立する
データサイエンティストとしてフリーランスで活動することは、自身のスキルを活かして高年収を目指す上で有効な働き方のひとつです。フリーランスなら、受注する案件を自分で選び、報酬も個人の収入として得ることができます。また、自分の裁量で年間の案件数を決める自由もあります。
自分の実力をフルに発揮して、理想的なキャリアを築きたいなら、フリーランスのデータサイエンティストとして独立することも検討してみてください。
働く環境を変えながら、より高収入なデータサイエンティストを目指そう
データサイエンティストはより高い収入を目指せるチャンスが多くあります。所属先やポジションを変えることは年収を大きく上げる有効な手段のひとつです。その際に企業内で働き続けるのではなく、自由でやりがいのあるフリーランスとして活躍することを目指してみてはいかがでしょうか。 ただし、フリーランスは自身の技術を高く評価するクライアントを見つける必要があります。営業活動も自己責任で行わなければなりません。
「PE-BANK」は、フリーランスをサポートするエージェントとして、本来の仕事に注力できるよう、案件の提案から事務作業まで一括して請け負います。フリーランスデータサイエンティストという働き方に興味がある方は、PE-BANKにご相談ください。