プロエンジニアカンファレンス@WEST 2016 ~秋の大勉強会
2016年11月26日(土)、PE-BANK関西支店にて、所属プロエンジニアの皆さんが主体となって企画立案したプロエンジニアカンファレンスが開催されました。PE-BANK所属のプロエンジニアや、外部のITエンジニア含め、全国から約40名が参加。2016年度、各支店で実施された勉強会の総括や、個人活動の成果発表が行なわれ、情報交流やディスカッションの場として大いに盛り上がりました。
(※プロエンジニアとは、PE-BANKに所属するフリーランスのITエンジニアのことです)
プロエンジニアカンファレンスとは?
勉強会イベント開催の経緯
「1年間の成果を、もっと発表できる場を!」
「プロエンジニアカンファレンス」は、関西支店のプロエンジニア木村憲規さんが発起人となって、第1回目の開催に至りました。毎年、リゾートホテルで開催される「プロエンジニアフェスティバル」や「プロエンジニアフォーラム」でも各所で行なわれている勉強会や個人活動についての成果発表の場はありましたが、慰労や懇親を主目的にしたイベントのため、「1年間の成果を、もっと時間をたっぷり使って、発表・共有できる場が欲しい」という思いから発足されました。PE-BANK所属のプロエンジニアが主体となって行なわれる勉強会イベントは、関西では今回が初。プロエンジニアによる講演ステージを中心に、まさに丸1日を発表・共有の場にあてるスタイルで密度の濃い時間となりました。
ITエンジニアなら誰でも参加可能
PE-BANK所属のメリットも体感できる
勉強会の活動に興味があるすべてのITエンジニアが参加対象で、プロエンジニアにとっての情報・ノウハウ共有の場であることはもちろん、フリーランスへの転身や、今後PE-BANKへの所属を検討している方にとっても、「どのような仲間作りができるのか?」「スキルアップできる土壌はあるのか?」を知る機会となりました。実際、外部の参加も数名あり、現在会社員でフリーへの転身を考えている男性は、「議論のレベルが高くて圧倒された。講演内容もユーモラスで非常に興味深く、紹介されたアジャイルの書籍などは帰りに買おうと思った」と語っていました。
セッションエリア レポート
セッションエリアでは、勉強会主催者による総括や、エンジニア個人の活動報告のほか、自由なテーマでプレゼンを行なう飛び入り歓迎のライトニングトーク、好きな本を紹介し合う読書会などが催されました。技術的な質問が飛ぶこともあれば、講演者の軽妙なトークで会場が爆笑の渦に巻き込まれる一幕もありました。
アジャイルで解決する夫婦喧嘩 ver.1.1
関西支店 藤井聰勇さん
短期間で作業を行ない、リスクを最小化するアイデア手法「アジャイル」。藤井さんからは、プロジェクト進行で起こりがちな問題を夫婦喧嘩にたとえて、解決に導くためのさまざまなアジャイルが提案されました。開発にしろ、夫婦生活にしろ、どういう理念をもって互いが行動しているのか理解する重要性などが説かれ、時折笑いがおきながらも、参加者たちは納得の表情で聞き入っていました。
開発合宿の報告
関西支店 木村憲規さん
発表内容は、三重県津市の温泉宿で7月に行なわれた3日間の開発合宿について。「集中して開発を進めたい」思いを持つ参加者12名が集まり、各自の作業を持ちよって進めるスタイル。顔を初めて合わせるメンバーも、寝食をともにして絆を醸成。今後、常駐から一括受注体制も増えることが想定される中で、横の繋がりを増やすことができる有益な場となったと報告されました。
ライトニングトーク
自由なテーマで、5分程度の短いプレゼンテーションを行なうライトニングトーク。「ITエンジニアを目指したきっかけ」を語った中部支店の平岩明憲さんのトークから始まり、栄養士の仕事からITエンジニアに転身した関西支店の藤井光晃さんは、過去の体験から「好きを仕事にすると、工夫のレベルが一段あがる」と発表。
関西支店の長澤さんは、「ひでかず君と学ぶはじめてのjava勉強会へのお誘い」として、これまでCOBOLしか知らないjava初挑戦の田中秀和さんが理解できるまで説明するプロセスを落とし込んだ勉強会を案内。「自分も参加したい」との声があがりました。
PE-BANK営業担当の山下知成さんは、麻雀から得られる情報分析力、人間観察力について独自の考察を披露。
飛び入りで手を挙げた東京本社の柘植英一さんは、「つり部をはじめます」と告知。「勉強会という場だと、どうしても支店で固まったり、技術のジャンルで分かれたりするが、カテゴリを取っ払って全国のプロエンジニアが親睦を深められるコミュニティを作りたい」と熱く語られました。
最後は、木村憲規さんから、プロジェクトマネジメントの本質とは何かのプレゼンがあり、「単に進行管理をすることではなく、目的を達成するために計画をメンテナンスし続けることである」、と定義の再確認が説かれました。
SAITO CONFERENCEの紹介
中部支店 山崎英之さん
人脈の育て方、客先の振る舞い、スキルアップの方向性など、フリーランスとしての悩みはつきもの。それを解消する手段の一つとして、大手自動車メーカーを経て会社経営の経験も持ち、現在は中部支店のシニアアドバイザーである斎藤礼三郎さんによる「SAITO CINFERENCE」が案内されました。豊富な経験からのアドバイスは大好評で、回を重ねるごとにクチコミで参加者が増えているそうです。
グループウェア勉強会 成果報告
関西支店 長澤久紀さん
2015年、ITを用いたよりよい情報共有と共同作業のあり方を模索することを目的立ちあがったグループウェア勉強会は、発足から丸3年。近年、グループウェアツールの市場がNotesからSharePointへ大きく移行する中で、その機能理解やカスタマイズを行ない、現場に即した適切なツールを選定できる目を磨いています。「勉強会の開催自体もトレーニングになる」と、積極的な主催を勧められていました。
3Dプリンタ勉強会/Swift勉強会 成果報告
関西支店 藤井光晃さん
藤井さんからは、月1度開催されている「自作3Dプリンタ勉強会」についての総括が発表されました。3Dプリンタはオープンソースで公開され、使用料不要で自由に個々で作成が可能。各メーカー販売のキットを持ちこんで組み立てていくワークショップ形式で開催しており、名古屋や岡山、九州など遠方からの参加もあるそうです。
Swift勉強会は、幾通りものコードの書き方があり難解なSwiftを実務で扱う方の参加が中心で、「この時の設定はどうすれば」など業務に即した質問が飛び交い、非常に有益な情報交換の場になっていると報告されました。
リアル桃鉄参加を通した通知ハブを利用した位置ゲーの着想について
広島支店 徳岡真一郎さん
通信ハブを利用した位置ゲー作りに向けた、企画構想や市場調査について報告がありました。位置情報と関連付けたゲームとして、「リアル桃太郎電鉄広島編」にも参加。観光施設との絡め方やターゲット感について掴めた体験となったそうです。このイベントからヒントを得て、今後は第一段階として、QRコード方式を利用した切り口で開発を進めたいとお話しされました。
MS厨房のためのASP.NET帳票作成に関する考察
九州支店 白銀太可志さん
Microsoftオンリーで帳票(印刷物)を作成する手段として、Excelを用いて、Open XML SDKとADO.NETで作業を進める方法についての考察が述べられました。デモ結果を交えた詳細な説明に対して、発表後はプロエンジニアの皆さんから、「この方法ならどうか?」といったアイデアや「ここでその手法を用いたのは何故か」など、疑問が飛び交い、密度の高い技術情報交換が行われました。
3D物体転送装置を作ったり、Pepperのアプリを作ったり、秘密基地を作ったりした話!+裏話
岡山支店 田中夏樹さん
2016年のチャレンジを発表。中でも、日刊工業にも掲載されたソフトバンクの人型感情認識ロボット「Pepper」が操作者と同じ動きをするアプリ開発の報告に対しては驚きの声があがりました。また、岡山には、東京のようなものづくりのコミュニティがないことから、一軒家を秘密基地にリノベーションし、地域住民が集える拠点作りの構想を発表。2017年の1月のオープンに向け準備を進めていると報告がありました。
読書会【テーマ】とんでもない本
中部支店 平岩明憲さん
テーマに沿って各人が好きな本を持ちよってプレゼンし、意見を交換し合う読書会。今回は、「とんでもない本」をテーマに、参加者の皆さんが実際に読書会を体験しました。3名が発表し、「タイトルにだまされた」「前半は理論が面白いのに後半はスピリチュアル」「シリーズものなのに主人公が消えた」など、それぞれが感じた“とんでもない”を発表。その場で紹介書籍をネット購入する参加者も出てきたり、文中の名台詞から皆さんの持論が展開されたりと、会場は熱気に包まれました。
講師を務められた皆さんへのミニインタビュー
成果の場があれば、張り合いが出る
関西支店 長澤久紀さん
木村憲規さんと一緒に、今回のプロエンジニアカンファレンスを立ち上げた経緯は、「せっかく、みんな日々勉強会をやっているのだから成果発表の場があるべき」という思いからです。例えば、書道や絵などの文化活動も、それらを発表する文化祭やコンテストがありますよね。そういう場があると、みんな張り合いがでるでしょう。講師一人だけで進めるより、色んなフィードバックをもらえると中身もブラッシュアップされていくと思います。
技術分野関係なく、交流できる会を
中部支店 平岩明憲さん
私が主催している読書会は、もともとはサブプライムローン問題を発端に、「フリーランス同士が、技術の縛りなく互いの悩みごとを話せるようなコミュニティ作りがしたい」というのがきっかけで2012年に始まったものです。例えば「マグロ漁船のチームワーク」と「ソニー開発者のサクセスストーリー」など一見全く異なる本も、ひも解いていくとトップダウンではなくボトムアップの組織だった、など共通しているものがあり、面白いですよ。
やってみると意外と面白い、講師役
関西支店 藤井光晃さん
講師をすると、色んな人に会えて世界が広がります。僕も3Dプリンタ勉強会を通して、池澤あやかさんに出会えて(笑)、CADも使えるようになって技術の幅も広がりました。「まさかオープンソースで作れるなんて」「えっハコ型じゃなくてこんな形状なの?」なんて生徒さんたちの反応も楽しい。それらも含めて総決算として伝えたい、という思いで今回ワンコーナーもらいました。ぜひ皆さんも、講師にチャレンジしてみて欲しいと思います。
展示エリア
展示エリアでは、関西支店の藤井光晃さんが実際に勉強会で組み立てた3Dプリンタの動作デモや、中部支店の大橋由幸さんの遠隔操作で水やりを可能にするオリジナル装置、ユーザの音声やスマホで操縦する小型ロボットなどが出品されました。参加者たちも興味津々に、開発秘話や技術ポイントなどを質問していました。また中部支店の酒井宏幸さんによる、音楽理論がわからなくても曲作りが可能となるブレークビーツデモンストレーションのコーナーや、レトロゲームをひたすらプレイするゲーム談話室からもたびたび歓声が上がるなど、終始和気あいあい且つ熱気に包まれた一日となっていました。
3Dプリンタの部品を生みだすことができる、自己複製型の3Dプリンタ
海外にいても、遠隔操作が可能な水やり装置
天気情報のお知らせや目覚まし機能も音声認識で動作する小型ロボット
来年度以降の継続開催を目指して。
クロージングでは、発起人の木村さんと共に本イベントを企画した関西支店の長澤久紀さんが、「ぜひ来年度も継続的に開催したい、他の支店も続いてくれたら嬉しい」と締めくくりました。懇親会は約半数が参加し、仲間との絆が深まったひとときに。プロエンジニアにとっては刺激の場となり、また今後フリーとしての働き方を考えているITエンジニアにとっても、次への一歩を踏み出すきっかけとなったイベントとなりました。
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