【IT×スポーツ】第3弾「#サッカーにおけるデータ活用とIT その現状と未来」イベント開催レポート | ITフリーランスエンジニアの案件・求人はPE-BANK

フリーランスの案件・求人TOPITエンジニア独立ガイドレポート【IT×スポーツ】第3弾「#サッカーにおけるデータ活用とIT その現状と未来」イベント開催レポート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【IT×スポーツ】第3弾「#サッカーにおけるデータ活用とIT その現状と未来」イベント開催レポート

039_RC5_2525_ex


2017年8月4日、「ANKET(アンケット)」の大人気イベント【IT×スポーツ】の第3弾となる「サッカーにおけるデータ活用とIT その現状と未来」が、宮城県仙台市の「INTILAQ東北イノベーションセンター」で開催されました。

ベガルタ仙台や東北楽天ゴールデンイーグルス、仙台89ERSなど地元ファンに愛されるプロスポーツチームを擁する仙台は、【IT×スポーツ】のテーマにぴったり。
また、仙台での初開催となる今回は「INTILAQ東北イノベーションセンター」が会場。参加者のみなさまに、東北の未来を担う起業家を育成支援する拠点として2016年に設立された「INTILAQ東北イノベーションセンター」の施設や雰囲気を体験していただきました。

今回の第3弾「サッカーにおけるデータ活用とIT その現状と未来」は、Jリーグを中心とするサッカー界でどのようにITが活用されているのかを紹介しご好評をいただいた【IT×スポーツ】第1弾の内容をアップデートしたもの。講師には前回と同じく、データスタジアム株式会社 フットボール事業部 兼 新規事業推進部アナリスト 加藤 健太(かとう けんた)氏をお迎えし、1時間以上に渡り、お話をうかがいました。

プレーデータとトラッキングデータの取得・分析


加藤氏の講演は、データの収集・分析の基本となる「プレーデータ」と「トラッキングデータ」の説明から始まりました。
「プレーデータ」は、試合映像を見ながら専属スタッフが選手のプレーを判断し、専用の入力ソフトでデータ入力するというもの。データスタジアム株式会社では、J1、J2、J3の各リーグをあわせ、年間1000試合以上のプレーデータを収集・分析しているそうです。実際に使用しているプレーデータ入力ソフトと、そのプレー入力時に必要な判断基準のチャートを見せていただきましたが、非常に複雑なチャートで構成されたもの。1試合のプレーデータ入力に 11 時間以上かかるというお話にも納得です。

一方の「トラッキングデータ」の取得は、2015年から運用が始まりました。現在はJ1リーグのみで取得されています。画像認識技術でボール・選手・審判の動きを自動追尾するシステムで、選手の走行距離やスプリント回数、トップスピードなど様々なデータをリアルタイムで取得することができるそうです。しかし、ゴール前の混戦など選手ひとりひとりの認識が難しくなる場面もあり、人によるリアルタイムの補正が必要なケースもあるそうで、サッカーというスポーツにおけるデータ収集の難しさがうかがえました。

こうして得られたデータは、監督やコーチはもちろん、中長期の戦略や運営を考えるクラブチームのGMやチーム編成部で利用されるほか、一部はメディアやサポーターのためにも提供されています。

どのようなITのスキルを持った人がサッカーとつながっていくのか? ここ数年がチャンス


講演の後半は、サッカーにおける今後のデータ活用へと話が進みました。「プレーデータ」と「トラッキングデータ」の組み合わせにより、さらに詳細なデータの分析が可能になった現在、「これからはチームがどのようなスタイルやプレーを目指していくのか、その達成のために、より積極的なデータ活用が求められるのではないか」と加藤氏。こうした新たな試みのひとつとして、データスタジアムでは「Football LAB(http://www.football-lab.jp)」において、「チームスタイル指標」というデータを公開しています。その「チームスタイル指標」を算出するための基本的なフローも教えていただきましたが、データの正確さのためには、プレーをひとつひとつ細かく明確に定義づけする必要があるそうで、ここでもサッカーのデータ分析の難しさを実感しました。

また、テクノロジー面ではAIや選手のバイタルやパフォーマンスなどを計測するセンシング技術がより積極的に導入されるだろうと加藤氏。とくにAIは、映像から自動でプレーを判定してデータを取得したり、選手の成長予測や編成シミュレーションに活用されたりするのではと、期待を寄せていました。

講演の結びで「データはあくまでもサポートツールであり、主役ではない。実際に勝敗を分けるのは選手である」としながらも「これからのクラブチームは、中長期的なデータの収集・分析・活用でどれだけ優位に立てるかが、とくにチームスタイルの部分で重要なファクターになるのではないか。それだけに、サッカー以外の分野の専門家と積極的に連携できるチームがリードすることになるのでは」と語る加藤氏。「ITとスポーツの関わりが大きくなるなかで、どのようなITのスキルを持った人がサッカーとつながっていくのか、なかなか予測できません。今は関わりのないみなさんも、これから数年のうちに、サッカーあるいはスポーツ分野と関わりを持つチャンスは大きいのではないでしょうか?」とITxスポーツの可能性を語ってくださいました。

ご参加くださった方の中にはサッカーファンも多く、(ここでは紹介できませんが)実際のクラブチームや選手のデータなどを実例として挙げた講演は大いに盛り上がりました。質疑応答でもサッカー通と思われる質問が多く、加藤氏のトークにも熱が入りました。懇親会でも、加藤氏を取り囲み、サッカー談義あるいはIT談義を交わす参加者のみなさんに、 ITxスポーツへの興味の高さを感じました。

「ANKET」では、ITエンジニアの皆様に様々な情報を提供すべく、今後もこのようなイベントを企画してまいります。皆様のご活用、ご参加をお待ちしております。

登壇者紹介

データスタジアム株式会社
フットボール事業部 兼 新規事業推進部
アナリスト
加藤 健太(かとう けんた)氏


1981年生まれ。東京大学卒業後、システムインテグレーターにてSEとして官公庁向けシステムの開発に従事。その後、ITベンチャー企業にてCTOとしてモバイルWebサービスの開発に携わり、2014年1月より現職。

TOP