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AIスキルは標準装備の時代へ ~自動運転と、いまそこにあるAI~ イベント開催レポート


2019年6月25日、東京渋谷の「TECH PLAY SHIBUYA」にて、セミナー「AIスキルは標準装備の時代へ 自動運転と、いまそこにあるAI」を開催いたしました。

今、あらゆる分野でAI技術が大きく注目を集めています。AIによってあらゆる業種・業態がソフトウェア産業化するとも言われておりその代表格が自動運転。そこで本セミナーでは、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」を運営する株式会社ストロボの代表取締役社長下山 哲平氏と、株式会社コンピューターマインドでAI開発現場に携わる岩間 裕久氏、渡邉 有洋氏、吾妻 千織氏の4名に方に、AI・自動運転とその周辺産業の未来、そしてAI領域に参画するために学ぶべきポイントについて解説していたただきました。

第1部 自動運転・MaaS市場の衝撃 ~21世紀最大のソフトウェア&サービス産業の登場~

下山氏の講演は、自動運転の現状についてからスタート。まず自動運転にはレベル1から5でまであり、安全補助装置的なレベル2はすでに利用されているということ。そして、2020年には、その上のレベル3が現実のものとなるということが紹介されました。さらに「特定の条件下で完全自動運転が可能となるレベル4も2020年にはお披露目される、2025年には現実のものとして走りだします!」と下山氏。自動運転は未来の技術ではなく、目前に迫った現実であると強調します。

「遠い未来の技術なら、今飛び込んでも活躍できないと思うかもしれません。でも半年後にはもう現実のものになります。そして、このマーケットは車両だけで22兆円規模とされているのです」。自動運転こそ、エンジニアとして今後取り組むべき課題であることを示唆する下山氏。さらに「自動運転、モビリティ領域は、ほぼすべてがソフトウェア産業になります。AIというスキルを武装したエンジニアが飛び込むうえで、一番魅力的なマーケットなのです」と強く訴えます。

車がスマホに変わる最も接触時間の長いデジタルデバイスとなる

自動運転社会によって様々なサービスが生まれ、市場が形成されていく。中でも注目されているのが広告市場だと下山氏。「運転しなくていいのですから、車のウインドウは360度全てがメディアになる。つまり最も接触時間の長いデジタルデバイスとなるのです」とその可能性の大きさを語ります。具体的な例をいくつもあげ、自動運転社会では自動車を作ることよりも、車内で提供されるメディアや、新たに生まれるサービスこそが主役になるということを解説していただきました。

そして、自動運転では車の所有が個人ではなくサブスクリプション化される。そして稼働状況や走行データ、リスク状況がクラウドに集められ、リアルタイムで判断され可視化されることになる。そこで求められるのがAIの技術なのだと下山氏。しかし、今、課題となっているのが、そのためのAIエンジニアが圧倒的に不足しているという点。つまりそこにチャンスがあるのだと下山氏は強く訴えます。

自動運転領域はエンジニアがキャリアとして狙っていくべきマーケット

自動運転業界が求めているのは、自動運転の知識があり、AIの技術を持ったエンジニア。「自動運転領域は2030年代には400兆円、2050年には770兆円規模と、戦後生まれたあらゆる産業の中でも最も大きな産業になるでしょう。つまり大きなチャンスであり、キャリアとしても狙っていくべきマーケットなのです」と、今後の可能性を訴える下山氏。
「このようなセミナーに参加し、自動運転の領域を積極的に勉強してください。そのようなエンジニアにはチャンスがあるはずです。頑張ってください!」と参加者の皆さんにエールを送り、下山氏は講演を結びました。

第二部 AI時代を生き抜くために必要なスキルとは

第二部では、コンピューターマインドの岩間氏、渡邉氏、吾妻氏から、AI開発の現場ではどのような人材が求められ、どんなスキルが必要とされているのか具体的なお話をうかがいました。
まず、平間氏によるコンピューターマインド社の実績が紹介され、次に渡邉氏が、企業が求めるAI技術には大別して2つのパターンがあると解説。「一つがAI技術を利用して何かソリューションを作りたいというもの。もう一つがAI技術そのものを掘り下げ、最新の手法を実装して自社の売りにしたいといったようなもの」。では、それぞれに共通して求められるスキルや知識は何なのか。「第一にAI関連技術の基本的な知識。ディープラーニングや強化学習、そしてそれ以前の機械学習の手法について、概要を知っておくべきでしょう」と渡邉氏は続けます。

LinuxやUbuntuの基本的な使い方の習得は必須

さらに、もっと基礎的なこととしてLinuxの基本的な使い方を習得することも必要だと渡邊氏。その理由はAI関連の技術はLinuxやUbuntuでの開発が主流になっているため。また、海外の最新の技術を試す場合にも基本的にLinuxの知識が求められるので、AIエンジニアにとって、どちらもなくてはならないスキルだと語ります。
そうしたAIの基礎を学ぶため、実際に渡邉氏が役に立ったという書籍が4冊ほど紹介されました。

「AIの開発環境の主流はUbuntuです。AIについて学ぶならまずUbuntuは使えるようにしておくべきです」とUbuntuの重要性について再度強調する渡邉氏。そしてUbuntuの環境構築のポイント、必要なライブラリーや、OS保護するための仮想環境構築のツールなど、実践的な内容についても紹介していただきました。

AI開発現場では英語力や数学力も求められる

次に吾妻氏が登壇すると、今度はアプリ開発と研究共通のスキルではなく、それぞれに必要となるスキルが紹介されます。「結果をアプリとしてお客さまに提供するには基本的なソフトウェアの開発能力が必要です」そのため.NetやC++といった通常のソフトウェア開発に必要な言語の習得やLinuxやウィンドウズなどOSの違いの理解求められるといいます。またGPGPUを用いたコーディングができればそれは大きな武器になるとのこと。

AIの研究開発現場では最新トレンドの把握や数式の理解も必須と吾妻氏。さらに最新論文を読むための英語力や微分や確率統計など数式も理解しておくべきだといいます。そして、試したいことを実現するためには当然実装力も欠かせず、Pythonの学習も必要と説明します。

「研究の分野ではアウトプットが報告書となる場合が少なくありません。すなわち相手に理解してもらえる報告書を作るスキルも重要」と指摘します。仕事を依頼した側の知りたい情報を把握し、わかりやすくまとまった報告書として提出すれば高く評価され、また信頼も得られるのだと強調。最後に、AI開発に今現在携わるベテランと新人2名の、リアルな現場の声などが紹介され、講演は終了となりました。

自動運転とAI技術の現在と未来、そして需要が拡大するAIエンジニアの可能性が示された今回のセミナーは、AIや自動運転の領域に挑戦しようと考えているエンジニアの方々ににとって有益なものとなりました。セミナー後の懇親会ではAI技術や自動運転について学びたいという参加者の方から熱心な質問も飛び交い、AI技術と自動運転に対する注目度の高さをあらためて実感することができました。

「ANKET」では、今後もこのようなセミナーを通じて、各地のITエンジニアを対象にスキルアップの機会を提供してまいります。皆様のご活用、ご参加を是非お待ちしております。

登壇者紹介

株式会社ストロボ
代表取締役社長
下山 哲平(しもやま てっぺい)氏


大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。
2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。

株式会社コンピューターマインド
開発第2Gr 次長
岩間 裕久(いわま ひろひさ)氏


1978年生まれ 40歳 山梨県出身
システムエンジニアとして、組み込み系開発や金融システム開発、Webシステム開発など多分野でのシステム開発に従事。
現在はマネジメントを行いながら、ITコンサルティングや人材調達を担当。

株式会社コンピューターマインド
開発第2Gr.第3Sc.主任
渡邉 有洋(わたなべ ともひろ)氏


1990年生まれ 29歳 静岡県出身
システムエンジニアとして、組み込み系開発や、医療系システムなど、多種の業務に従事。
現在はAI技術の研究開発、およびソフトウェアへの組み込みを担当しながら、AI開発の実体験を伝える講演を大学や専門学校などで開催する。

株式会社コンピューターマインド
開発第2Gr.第3Sc.
吾妻 千織(あづま ちおり)氏


1992年生まれ 27歳 山梨県出身
システムエンジニアとして、他分野でのシステム開発に従事した。
近年はDeep Learningを中心としたAI研究開発を行っており、Deep Learningの技術的な解説や、AI開発の実体験を伝える講演を大学や専門学校などで開催する。

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