更新日:
PMO(Project Management Office)の年収は、責任の重さや専門的なスキルに比例して高い水準に設定されることが一般的です。ITプロジェクトが増える現代において、PMOの需要は急速に高まっており、それに伴い年収の増加傾向も見られます。
本記事では、PMOの年収の目安や必要なスキル、年収アップのためのポイントなどについて詳しく解説します。
PMOの年収は?
PMOの年収は、雇用形態や経験、スキルによって異なります。以下で企業に勤める場合とフリーランスとして活動する場合の年収について、説明します。
企業に勤めるPMOの年収
企業におけるPMOの年収は、ポジションや所属する企業によって幅がありますが、一般的に、企業で正社員として働く場合、年収は400万円から700万円程度が相場です。経験豊富なPMOや高度なスキルを持つPMOは、600万円から800万円に達することもあります。
企業の規模や業界によって変動しますが、PMOは一般的には高いレベルの経験とスキルが要求されるため、高年収が期待できる職種と考えられています。
なお、2017年に発表された経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によれば、PMOと関連が深いPM(プロジェクトマネージャー)の平均年収は、891万5,000円です。国税庁発表の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると全職種の平均年収が458万円ですので、一般的にPMOやPMといったプロジェクト管理の専門職は、全職種の平均年収と比較しても高い水準にあるといえるでしょう。
フリーランスとして活動するPMOの年収
フリーランスPMOの年収は、案件単価によって大きく変動しますが、1,000万円を超えるケースも珍しくありません。一般的なPMOの単価相場は、1件あたりの報酬が80万円から100万円です。さらに高スキルが必要となる案件の場合には、200万円近くになることもあります。フリーランスエンジニアのエージェントサービスであるPE-BANKには、1件あたりの報酬が50万円から190万円と、幅広い単価の案件が紹介されています。
こちらもチェック:
フリーランスエンジニアの単価相場は?言語・業界・職種別に解説
PMOの単価や年収アップに必要なスキルセット
PMOとして年収を上げるには、必要なスキルセットを重点的に高めていくことが重要です。以下で、PMOの単価や年収アップに必要なスキルセットについて解説します。
顧客との調整能力
顧客との調整能力は、PMOにとって重要なスキルのひとつです。プロジェクトに関わるステークホルダーの要求や期待を適切に管理し、バランスを取ることが求められます。顧客の要望とプロジェクトの制約の間で最適な解決策を見いだす能力が重要です。これらのスキルを磨くことで、プロジェクトの円滑な進行と顧客満足度の向上が実現し、その結果として単価・年収アップにつながります。
問題解決能力
PMOには、高い問題解決能力が必要です。プロジェクトマネジメントにおいて問題が発生した際には、その状況を正確に理解し、影響の範囲や大きさを迅速に把握する能力が求められます。問題の根本原因を特定し、複数の視点から柔軟に考えた上で、新しい解決策を模索して最適な手段を選択する能力が必要です。
コミュニケーション能力
円滑なコミュニケーション能力は、PMOにとって欠かせない基盤となる能力です。リモートワークの普及により、プロジェクトマネジメントの難度はさらに高まりました。そのため、特にオンラインでの高いコミュニケーション能力は、プロジェクト全体の円滑な進行につながり、PMOの評価を高めます。
システム開発スキル
プロジェクト進行においては技術的な知識やスキルが要求されるため、システム開発に関する知識とスキルは重要です。ウォーターフォールやアジャイルなどのさまざまな開発手法に精通していることや、技術トレンドの把握も、システム開発スキルに含まれます。技術的な観点からプロジェクトを適切に管理できる人材は、より高度な案件を担当することが可能です。
ドキュメント作成スキル
PMOの役割にはプロジェクトの進捗状況や成果を報告するためのドキュメント作成が含まれるため、ドキュメント作成スキルも不可欠です。複雑な情報を整理し、わかりやすく構造化するための論理的な文書構成力や、図表やチャートを効果的に活用するビジュアル化スキルなど、高品質なドキュメントを作成できる能力はPMOにおいて重宝されます。
こちらもチェック:
PMOとは?向いている人と向いていない人の特徴を解説
PMOにおすすめの資格
PMOに資格は必須ではありませんが、資格を取得することでスキルや知識の証明となり、案件獲得の確率が上がります。また、資格取得を通じて体系的な知識を習得することも可能です。以下で紹介する資格を積極的に取得することをおすすめします。
こちらもチェック:
PMOにおすすめの資格とは?取得のメリットや勉強方法も解説
プロジェクトマネジメント・アソシエイト™認定資格(NPMO認定PJM-A™)
プロジェクトマネジメント・アソシエイト™認定資格(NPMO認定PJM-A™)は、一般社団法人日本PMO協会が認定する資格です。プロジェクト現場での管理に必要な基本的な知識とスキルを証明でき、試験は選択式問題に解答する形式で、オンラインで行われます。
NPMO認定PJM-A™は、プロジェクトマネジメントの基礎知識を学びたい初心者に最適な資格です。この資格を取得することで、プロジェクトマネジメントの基本をしっかりと学ぶことができ、PMOとしてのキャリアをスタートさせる土台を築くことができます。また、この資格を取得後には、さらに上位の資格に挑戦するとよいでしょう。
PMOスペシャリスト™認定資格(NPMO認定PMO-S™)
PMOスペシャリスト™認定資格(NPMO認定PMO-S™)は、一般社団法人日本PMO協会が認定する、組織内でのプロジェクトマネジメントを支援するために必要な知識を証明する資格です。試験はオンライン形式で、選択肢から解答を選ぶ形式です。
PMOスペシャリスト™認定資格は、PMOの基礎知識を証明するPMOスペシャリスト(★)™、PMOマネジャーレベルの知識と技術を証明するPMOスペシャリスト(★★)™、最高レベルのPMOスペシャリスト(★★★)™の3つのレベルに分かれています。ただし、 PMOスペシャリスト(★★★)™は最高レベルの資格ですが、現在策定中で受験はまだできません。
NPMO認定PMO-S™を取得することで、PMOとしての専門的なスキルを客観的に証明でき、キャリアアップにもつながります。
PMOになるためのキャリアパス
ここからは、PMOになるための主なキャリアパスを解説します。これからPMOを目指す方には、以下のようなキャリアパスが考えられるでしょう。
SE(システムエンジニア)からキャリアチェンジ
SE(システムエンジニア)としての経験を活かし、プロジェクト管理のスキルを習得することでPMOとしてのキャリアを築くことができます。SEからPMOへのキャリアチェンジは、社内異動や転職を通じて実現するケースが考えられます。
未経験からのポテンシャル採用
未経験からPMOになるには、ポテンシャル採用を目指す方法があります。ポテンシャル採用とは、応募者の現在のスキルや経験よりも、潜在的な能力や将来の成長可能性を重視して採用する方法です。インターンシップやアシスタント業務の経験、プロジェクトマネジメントの基礎知識の習得、さらにプロジェクトマネジメントに関連する資格の取得をすることで、採用の可能性を高めることができます。
フリーランスとして独立
十分な経験とスキルを持つ場合、フリーランスとして独立することも可能です。フリーランスPMOは、企業に所属せずに独立して業務を請け負う働き方です。フリーランスとしてのキャリアは高収入を目指すだけでなく、自身のスキルを最大限に活かし、柔軟な働き方を実現するための魅力的な選択肢となります。
フリーランスとして独立するためには、人脈作りと案件獲得の方法を確立することが重要です。エージェントを活用すれば、案件の紹介や契約交渉をサポートしてもらうことができます。
PMOに将来性はある?
IT人材の不足が続く中、PMOの需要は今後も高いと予想されるため、PMOには将来性があるといえます。
経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、IT人材不足は今後ますます深刻化する見込みです。2015年の人材不足は約17万人でしたが、2030年には約59万人に達するとされています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や労働人口の減少により、IT人材の需要は増加の一途を辿るでしょう。そのため、PMOの役割はますます重要となることが予想されます。
今後のIT人材の不足状況
※参考元:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(2016年6月発表)
IT人材の不足に加え、ITプロジェクトの多様化と複雑化に伴う需要の増加も見込まれます。特に、DXや技術の進歩により、プロジェクトマネジメントがより高度で専門的なものとなり、企業は複雑化するプロジェクトを効率的に管理するため、専門知識を持つPMOの導入を進めています。その結果、PMOの需要は今後も安定して高い状態が続くと考えられるでしょう。
また、PMOには高いスキルが求められる一方で、それに見合った高い年収が期待できます。特にフリーランスとして成功した場合、企業に所属するよりも高収入を得る可能性があります。
高年収のPMOを目指すならフリーランスという選択肢もある
PMOは、企業においてもフリーランスとしても高い年収を得られる職種のひとつです。必要とされるスキルを磨き、資格を取得すれば、さらなる年収アップも期待できます。企業に属するPMOとしてのキャリアも魅力的ですが、フリーランスとして独立し、自由な働き方と高収入を目指すことも有力な選択肢です。
フリーランスのPMOとして成功するためには、スキルアップを怠らず、常に最新の知識を身につけることが重要ですが、このような努力を継続できる人材は将来性も明るいといえるでしょう。
「PE-BANK」は、フリーランスをサポートするエージェントとして、本来の仕事に注力できるよう、案件の提案から事務作業まで一括して請け負います。フリーランスのPMOという働き方に興味がある方は、お気軽にPE-BANKにご相談ください。