3Dプリンタは作れる! -オープンソース3Dプリンタのススメ-
組み立てキットを購入するには?
みなさんこんにちは。PE-BANKプロエンジニアの藤井光晃です。
先日、株式会社PE-BANK関西支店で開催されたエンジニアの文化祭「プロエンジニアカンファレンス」に参加してきました。
プロエンジニアカンファレンス @WEST 2016~秋の大勉強会~
https://pe-bank.jp/anket/event/20161126
そこでは、「3Dプリンタから作った3Dプリンタ」を展示してきました!
ホームセンターや秋月電子さんなどで購入した木材・部品と、3Dプリンタから出力した部品をつかって組み立てています。
3DプリンタでポピュラーなPrusa i3のボックスフレームというもので、木工が必要ですがCNC等の特殊な機材がなくとも作ることができるのが特徴です。
木製でも3Dプリンタとして動くというところを披露することができて、来ていただいた方からさまざまな感想をいただき、非常に刺激になりました。
どのタイプの3Dプリンタキットがいいか?
さて今回は、組み立てキットをどのように購入するべきかについて解説していきたいと思います。
販売されている3Dプリンタのキットでは、主に2つのタイプがあります。
Prusa i3タイプ
キットで最もポピュラーなタイプです。
Josef Prusaさんが開発したPrusa i3ものをベースに、変更を加えたものが多く売られています。
X,Y,Z方向用にそれぞれモーターがついていて、ベルトまたはネジで動くようになっています。
商品が豊富で情報も多く、調整などもやりやすいようにできています。
Kosselタイプ
デルタ型とよばれるもので3つの柱にそれぞれモーター・キャリッジがついていて、伸びているアームを動かすことで、アームの先に固定されているホットエンドがX,Y,Z方向に動く仕組みです。
調整が難しく、印刷可能なサイズが同じクラスのPrusa i3より小さい傾向にあります。
しかし、動きが面白く、設置面積が少ないのが特徴となります。
最初に購入する際にオススメなのは、Prusa i3タイプです。
3Dプリンタは調整しないと使えませんが、その調整が比較的容易にできるようになっています。
また、情報も多いのでトラブルなどが発生しても対応しやすくなっています。
3Dプリンタキットの入手先
RepRapの3Dプリンタはオープンソースのため自由に作れるので、様々なキットがいろいろなところから多数発売されています。
基本的に日本のメーカーからはあまりキットは発売されておらず、また高価です。
そのため海外から取り寄せるのがオススメです。
海外製キットは下記のようなところから購入できます。
– AliExpress
– http://ja.aliexpress.com/
– eBay
– http://www.ebay.com
– Amazon
– http://www.amazon.co.jp/
– Prusa Research
– http://shop.prusa3d.com/en/
この中からオススメを紹介します。
お手軽に手に入れたいならばAmazon
最もお手軽なのはAmazonからの購入です。
Amazon
– http://www.amazon.co.jp/
普通にAmazonでネットショッピングをする感覚で購入することができます。
価格は後に紹介するAliExpressよりもあがってしまい、執筆時点では最安値でも3万円台となっています。
それでも3万円代なので十分安価と言えるでしょう。
商品によってはAmazonの倉庫から発送されるものもあり、他の手段とは違い国内発送になるものもあるので、その場合は配送が早いです。
しかし、一部は海外から発送されるものもあるので、急ぐ場合には注意が必要です。
価格・品質・保証のバランスで世界の多くのメーカーズ御用達のAliExpress
価格・品質・保証のバランスでオススメなのはMakers御用達のAliExpressです。
AliExpress
– http://ja.aliexpress.com/
AliExpressは中国のアリババグループが海外向けに販売することを目的に展開するショッピングサイトです。
自動翻訳ではありますが、ある程度は日本語で対応可能です。
しかし、トラブルなどがあった場合のショップとのやりとりは英語を使う必要があります。
商品の価格はドルベースでつけられておりドル:円の為替レートによって価格が変動します。
価格は安いものでは2万円代からあり、同じクラスのものをAmazonより安く購入できます。
執筆時点で、決済はクレジットカードでPayPalは使えません。
クレジットカードでの支払いが不安な場合はデビットカードなどを用意しておくと安心です。
発送は中国からになるので時間がかかります。商品に配送目安が書かれていますが、筆者が利用したときの経験では、3Dプリンタは10日ほとで到着することが多いです。
また、海外のサイトでもあり、様々な販売元が販売しているモールなので、それなりのリスクもあります。
「商品が届かない」「商品が違う」など、日本のネットショップではあまり無いようなことが時々あります。
そういった不安を解消するために、商品が到着した後にAliExpressの注文管理画面で承認するか一定時間を経過しないと販売者に代金は支払われず、購入者に払い戻しするシステムを採用しています。
そういった保証があってもショップ選びは評価などをみてしっかり行い、無用なトラブルは避けましょう。
こういったいろいろなことを体験しながら学ぶ必要があるので、そういった面では学習コストの高い購入方法だと思います。
購入は全て自己責任ですので、価格・品質・保証のバランスで世界の多くのメーカーズの方が利用されていますが、リスクとメリットと手間についてよく検討して利用しましょう。
高品質なキットが欲しい場合はOriginal Prusa i3 MK2 kit
また、コストがかかっても高品質なものが欲しい場合は、英語ですがPrusa i3を開発したJosef Prusaさんが作っているOriginal Prusa i3 MK2 kitもオススメです。
Prusa Research
– http://shop.prusa3d.com/en/
3Dプリンタで作った部品が使われていて、それら部品の3Dデータはオープンソースで公開されています。
そのため仮に部品が破損しても自分で予備を出力しておけば、修理することができます。
GitHub – prusa3d/Original-Prusa-i3 at MK2
– https://github.com/prusa3d/Original-Prusa-i3/tree/MK2
また調整が自動でおこなえる特別設計のベッドがあるモデルや、4色カラーに対応できるモデルもあります。
サイトが英語のみなので、ハードルは高いですがここにしかない価値があります。
自分に合った購入方法を選びましょう
様々な購入方法をご紹介してきましたが、どれも一長一短があります。
それらを考慮して、自分にフィットする方法を選ぶことが大切だと思います。
– 学習コスト・手間がある程度かかってもよく、価格・品質・保証のバランスがとれているAliExpress
– 多少高いがお手軽なAmazon
– 高品質なオリジナルのOriginal Prusa i3 MK2 kit
一番に自分合う方法で購入し、満足のいくスタートを切れるかが第一の関門です。
次回は、商品が届いたら何をするべきか説明していきたいと思います。
藤井 光晃
PE-BANKで開催されている「自作3Dプリンタ勉強会」の講師。ここ数年はiOS/Androidのアプリ開発と講師をメインに活動しているフリーのソフトウェアエンジニア。技術に関しては雑食系で、過去には銀行向けの業務系システムや、DVD/カメラ向けファームを書いていたり、動画コーデックの研究開発とかもやっていた。動画情報サイトLaccel も運営している。10年くらいLinuxがメインOS。