Bコラム〜ビジネスマン(技術者)への応援メッセージ〜
『 格差について考える 』
はじめに
毎日の様に、マスメディアには格差の文字が溢れています。裕福な人と貧困に喘ぐ人を比べて、格差の実情を報じています。経済的な格差が取り上げられ、結果だけに焦点があります。
様々な事情やプロセスがあって、結果として格差が生じたことは否めません。
誰もが、貧困にはなりたくないし、豊かになることを望んでいます。それでも格差が生じてしまうのは、何故なのでしょうか? 豊かな生活や望ましい状況になるには、何が必要かを考えてみたいと思います。
格差の意味すること
勝ち組とか負け組に分ける云い方もあります。その場合は、必ずしも経済的なことだけでなく、何かに「恵まれた」或いは「恵まれていない」状況を指しますが、酷な云い方です。
しかし誰に何と云われようとも、自分は自分の価値観で行動している、生きている。
そんな開き直りもある気がします。他人との比較で生きている訳ではないのだから。
それでも尚、自分自身が満足の行く仕事や生活を望む時、人並みの努力とか行動、気配りは必要だろうと思います。別の観点で考えると、周囲の人からの信頼を得ることによって、満足感は高まるのです。そんなことは関係ない・・・と思うのは、全くの独りよがりです。
格差の意味することは、現時点の単なる比較だけではなく、将来に向かっての可能性も含めた、現在の状況を他者が見た評価なのでしょう。
より良い仕事、生活を目指して、日々、行動しているならば格差など無関係です。
格差に至るプロセス
経済的な格差に留意することは、要するに「カネの使い方」に注意を払うことと同義です。
その前に「カネを稼ぐ」ことにも真剣に対処することは、当然のことですが。
格差を広義に捉えると、カネや資産だけでなく、健康や知識・ノウハウ、人脈、将来への計画、社会貢献など多面的なことが思い浮かびます。
例えば、健康について考えると、20代では格差を感じられないものの、40代・50代になると、病気がちな人や薬に頼っている人が多くなる一方、健康そのものを謳歌している人も沢山います。恐らく健康な人は、遺伝的なこともあるでしょうが、運動習慣を継続しているとか、食事などにも気を付けているに違いありません。
IT技術者の場合、知識・経験の豊富な人は、意識を持って毎日の仕事を懸命にこなし、仕事をしながら、学ぶ姿勢を持続している気がします。無意識の内に、人並み以上の知識が身に付くとは思えません。結果として差が付くのでしょう。健康も同様です。
要するに、格差を生じる要因は、様々な面において存在すること必定です。
毎日の積み重ね
何年か前にテレビで見て感動したことがあります。ある中学のバレーボール部にコーチが就任しました。コーチは部員たちに、練習の際にも、試合同様の真剣さを求めました。
それまでは練習だからと、ある意味、適当にやっていたのです。当然、地区の大会などでは負けるばかりでした。ところが毎日の練習の中で、試合と同じくらいの取り組みをした結果、めきめきと実力を上げ、地区の大会に優勝したのです。
仕事にも通じます。いや適当に仕事をやっていると指摘したいのではなく、今日の仕事に全力を尽くす、持てるノウハウを絞り出して仕事に取り組む。そんな姿勢で仕事をしているならば、否応なく、実力は上がって行くと思うのです。
毎日・毎日は、昨日と今日の差は、さほどないのかも知れませんが、今日は今日なのです。
今日一日に、全力を尽くす。云うほど容易ではないことを承知で云いますが、今日の差が、何年かの間には格差にもつながることなのでしょう。
より良い仕事、生活のために
残念ながら、共産主義の社会(人々に格差のない理想の社会)は、実現していません。
自由主義・資本主義の社会では「神の見えざる手」が作用し、社会全体の富がそれぞれに行き渡ると云われていますが、現実は、かなり富は偏在しています。更に、経済的な格差は広がる気配です。各人の置かれた立場や仕事内容、収入、知識やノウハウ、人脈など諸々は多様なものです。今をスタート地点と考えると、これからの行動如何で、数年後の状況は変わります。今よりも多くのもの・ことを手に入れるか、失うかは、行動次第です。
より良い仕事を安定的に確保するためには、より豊かな生活を望むならば、今日の行動の積み重ねが結果を生み出します。心身の健康をベースに行動しているならば、幸いです。
いよいよ本格的な情報&ネット社会が始まります。その基盤を支える技術者には、またとない絶好の機会になります。格差など吹き飛ばして、格差など意識もせずに、今日一日を懸命に仕事する、生活を楽しみながら、過ごしたいものです。
斉藤 礼三郎
コンピュータやネットワークに関わり半世紀近く。T自動車の情報部門にて、約20年間、DBやNWの企画・設計を担当した。その後、独立し名古屋にてシステム会社を20年ほど経営する。
現在は「PEーBANKのシニアアドバイザー」の立場で活動中。