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サーバーやネットワークの設計、構築、運用、保守を担当するインフラエンジニアの平均年収は、どのくらいなのでしょうか。平均年収と年収アップの方法を紹介します。
インフラエンジニアの仕事とは?
インフラエンジニアとは、コンピューターやOS、ミドルウェア、サーバー、通信回線、ネットワークなどのITインフラを構築・整備・運用する専門職です。これらのITインフラは、日常生活においても同様に不可欠な要素であり、インフラエンジニアはこれらを支える重要な役割を担っています。
インフラエンジニアの主な役割は、ITインフラの設計、構築、運用、保守です。ITシステムの要件定義をし、必要な機器を調達して、設置や通信ケーブルの配線を行います。構築した後のシステムは常時稼働するため、トラブルや障害が発生した際の監視と対応も重要な業務です。
加えて、ユーザーサポートや障害対応、新しいシステムへの移行も担当します。最近では、クラウドサービスの普及に伴って、クラウド上でのサーバー構築や運用も、インフラエンジニアの主要な仕事になってきています。
インフラエンジニアの平均年収はどれくらい?
気になるインフラエンジニアの平均年収は、どれくらいなのでしょうか。経済産業省の2017年の調査では、基盤設計担当のITエンジニアは平均年収778万2,000円と、ほかのエンジニアやプログラマーなどの職種の中でも年収が高くなっています。2017年における全職種の平均が432万円のため、インフラエンジニアの平均年収は高いといえるでしょう。
ただし、インフラエンジニアは個人のスキルや経験が重視される専門職です。そのため、スキルや経験によって、年収の差は大きくなりやすい傾向があります。平均年収以上の給与を目指す場合は、転職やスキルアップに励むなど、主体的な取り組みが必要といえます。
参照元:国税庁「平成29年分 民間給与実態統計調査」
参照元:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」
インフラエンジニアのキャリアプラン
具体的にはどのようなステップでキャリアを積んでいくのでしょうか。キャリアプランの一例を、年齢ごとの働き方で紹介していきます。
インフラエンジニアの20代の働き方
20代の場合、新入社員やIT未経験でインフラエンジニアをはじめる人が大半です。そのため、20代は通信やネットワーク、サーバーなどインフラの全領域のITスキルを伸ばしていくことが求められます。一般的には、既存サービスの運用、保守を通して経験値を高めていきます。
インフラエンジニアの30代の働き方
既存サービスで経験を積んだ後は、新規サービスのインフラ構築を任されることがあります。一からサービスに応じて最適なインフラを構築する必要があるため難易度は高く、総合的な力が求められるでしょう。また20代でさまざまな役割を担うことで、30代では自分の得意とする領域や方向性が徐々に見えてきます。特定の領域を深めたスペシャリストになるのか、マネジメントに向かうのか、別の職種と掛け合わせるのかなど、さまざまな方向性があります。いずれにしても、できるだけ早い段階で方向性を見極めて、経験を積んでいくことが大切です。
インフラエンジニアの40代の働き方
40代では、30代で決めた方向性が実現していることが多いでしょう。マネージャーや管理職に就いているケースが多く、チーム全体の成果に責任を持つ、やりがいのあるポジションを任せられることが一般的です。 マネージャーにならず、特定の領域を深めたスペシャリストになった場合も、後輩を指導するなど責任ある役割を任せられることがあります。また、独立してコンサルタントやフリーランスになる人もおり、多様な働き方が可能になる年代です。
インフラエンジニアの年収に影響する要因
インフラエンジニアはほかの職種と比べ、経験やスキルが年収に影響する技術職です。どのような要素が年収に影響するのかを具体的に見ていきます。
IT関連資格
インフラエンジニアに関連した資格は無数にあります。その中でも、未経験からインフラエンジニアに転職するなら、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する基礎レベルの「ITパスポート試験」と「基本情報処理技術者試験」を取得すべきでしょう。
さらにキャリアアップを目指すなら、上位試験への挑戦も検討してください。IPAでは、「応用情報処理技術者試験」「ネットワークスペシャリスト試験」といった上位試験が用意されています。
ほかにも、Linux技術者認定の「LinuCレベル3」やシスコ技術者認定の「CCIE」などもスキルの証明におすすめです。さらに、近年のインフラエンジニアはクラウドの知識・スキルも必要なため、「AWS認定」や「Microsoft Azure」の認定資格の取得も目指すとよいでしょう。
対応案件の難易度
年収は、基本的に単価の高い仕事を多く請け負うことで上がっていきます。どのような仕事であれば単価が高くなるのでしょうか。
エンジニアの仕事は基本的に企業規模と開発規模が大きくなればなるほど、仕事の難易度が上がっていきます。なぜなら、大きなシステムほどお互いに干渉し合うなど、小さなミスの影響範囲が大きくなってしまうからです。
また役割によっても、難易度は大きく変わってきます。一般的には運用や保守よりも、新規開発の構築のほうが難易度は高まる傾向です。運用や保守はある程度マニュアル化されていてルーティンで対応できることもありますが、新たにインフラを構築するとなるとゼロから考えることを多く求められます。既存サービス開発時にはなかった、新しい技術の導入を検討する必要もあるでしょう。
こういった難易度の高い仕事を任せられるには、相応の経験とスキルが必要です。しかし、IT人材の不足が叫ばれている中、そういった人材は限られているため、作業単価が高くなる傾向にあります。一方で小規模な案件であれば、対応できる人材も比較的多くなるため、作業単価は抑えられます。
そのため、企業規模と開発規模の大きさが年収を左右する要因になるのです。
業界規模
国内のIT業界の市場規模は、2018年度が12兆4,930億円だったのに対して、2021年度は13兆5,500億円になっています。前年度比でも毎年伸びていて、コロナ禍でもプラスの伸び率を見せました。
またAIやメタバースなど新しい技術も次々登場していて、今後の伸びも期待ができる数少ない業界といえます。所属する業界が拡大傾向にある場合、一般的には関連職種の年収の伸びも期待できる可能性が高いため、定期的にIT業界の現状と今後の業界規模の予測をチェックすることをおすすめします。
参照元:株式会社矢野経済研究所「国内企業のIT投資に関する調査(2022年)」
正社員やフリーランスなどの雇用形態
インフラエンジニアとして働く場合、アルバイトや正社員、フリーランスなどさまざまな雇用形態があります。通常、アルバイトやインターン、派遣社員といった形態よりも、正社員のほうが安定した高収入を得やすいといわれていますが、会社によっては正社員だと長時間労働や残業などハードな働き方が求められる場合もあります。
一方で、フリーランスはその人のスキルや能力に応じて、正社員より稼げる場合もあればそうでない場合もあります。実力次第ではありますが収入以外にも働き方の自由度などメリットは多くあるため、一度フリーランスとして働くことを検討するのもよいでしょう。
専門領域
一口にインフラエンジニアといっても、「サーバーエンジニア」なのか、「ネットワークエンジニア」なのかで、専門領域は大きく変わってきます。基本的にはトレンドの領域や難易度の高い領域のほうが年収は高くなるといえます。
近年でいえば、例えばクラウド技術などはどの企業も関心が高く、ニーズが高い専門領域です。年収が気になる方は自身の専門領域を変えることを検討してもよいかもしれません。
個人のスキル
インフラエンジニアは技術職のため、最終的には個人のスキルによって年収は大きく変わります。なぜならエンジニアの年収は、個人が持つ技術的能力、経験、専門知識の深さに直結しているからです。高度なスキルや特定の技術領域における専門性を持つエンジニアは、より複雑で要求レベルの高いプロジェクトに参画し、それに見合った報酬を得ることができます。
またIT業界は目まぐるしく変化しているため、最新技術の情報収集を行って、常にスキルをアップデートすることが求められます。高い年収を求める場合は、スキルを高め続ける相応の努力が必要といえるでしょう。
プログラマーが年収アップする方法
最後に、どうすれば年収をアップさせられるのか、下記で紹介します。まずは現在の環境を詳細に分析し、キャリアの見直しを行いましょう。
キャリアアップしてマネージャー、ITコンサルタントになる
同じ企業で働く場合、キャリアアップすると年収も上がります。一般的に、プレイヤーから、人やプロジェクト全体を見るマネージャーになると年収は上がりやすいものです。
ただし仕事の難易度は上がり、チーム全体を管理して指揮するために求められるスキルも幅広いものになります。IT技術だけでなく、コミュニケーション能力や視野の広さ、リーダーシップとメンタルの強さも必要です。
また、ITに関する豊富な知識をもとにクライアントへの指導をするITコンサルタントも高い年収が期待できるでしょう。
コンサルタントとしての職務を担うには、プレイヤーを超える豊富な経験と知識が求められる上に、高い難易度の業務をこなす能力が必要です。
専門的な知識やスキルを身につけ、スペシャリストになる
マネージャーやコンサルタントにならなくても、インフラエンジニアスキルを極めていく、スペシャリストという道もあります。最近はクラウドやAIなど、技術が複雑化しているため、特定の分野に深い理解を持つスペシャリストのニーズが高まっています。
特定の領域に自分の興味関心が強くあり、勉強していても苦にならないような方は、特化スキルを育ててスペシャリストを目指すのが有効かもしれません。自身の適性を踏まえて、方向性を模索するとよいでしょう。
より高い年収が見込める企業への転職をする
同じ社内でどれだけ実績を積んでも、会社の都合上、期待するほど年収が上がらない場合もあります。その場合は、思い切って転職を考えるのもひとつの手段です。
基本的には、対応する案件の企業規模と開発規模が大きい会社であれば年収が上がりやすいといえます。またベンチャー企業など売上が大きく伸びている会社は、変化が大きいため求められるものは多く、年収は上がる可能性があります。
新しい環境に挑戦する苦労はあるかもしれませんが、現状に満足しない場合は思い切ってチャレンジすることを検討してみてください。
高いスキルを持つフリーランスになる
そもそもひとつの会社に属さず、フリーランスになって個人でやっていく道もあります。インフラエンジニアは技術職のため、高い能力があればフリーランスとしてもやっていける職種です。
年収だけでなく組織内の人間関係に悩まされることなく、自由に仕事ができるという大きな魅力もあります。しかし、フリーランスは自分で案件を獲得する難しさがあります。そこでフリーランスの案件紹介サイトなども活用し、実績を積んでいくとよいでしょう。
フリーランスの契約状況
参照元:経済産業省「労働市場の構造変化の現状と課題について」
経済産業省の調査では、情報・通信業の業種ではフリーランスの活用率が40.6%と、多くの企業で活用されているという結果がでています。フリーランスのエンジニアに仕事を依頼することが一般的となっている現在、多くの企業が優秀なフリーランスエンジニアを求めています。
インフラエンジニアとしてのキャリアを考えよう
インフラエンジニアの年収は、スキルセットや経験はもちろん、所属する組織や雇用形態などによって変わります。収入アップを目指すなら、自分がどういった働き方をしたいのかを考え、計画的に自身の市場価値を高めていく必要があるでしょう。その際に今いる企業内で働き続けるのではなく、自由でやりがいのあるフリーランスとして活躍することも選択肢のひとつとして検討をおすすめします。
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