PMとPLの違いとは?役割や年収、キャリアパスを解説

IT業界でキャリアを積んでいく中で、「PM(プロジェクトマネージャー)」と「PL(プロジェクトリーダー)」という役職の違いについて悩んだ経験はないでしょうか。どちらもプロジェクトの成功に不可欠なポジションですが、その役割や視点、求められるスキルは大きく異なります。
本記事では、PMとPLの違いをはじめ、具体的な仕事内容、必要なスキル、キャリアパス、年収の傾向について解説します。自分に合った進路を見極めるヒントとしてご活用ください。
PMとPLの違いは管理対象と責任範囲
PMとPLの大きな違いは、管理対象と責任範囲です。PMは「プロジェクト全体」を管理し、プロジェクトの成否に責任を持つ立場です。一方、PLは「担当チーム」を管理し、チームの目標達成に責任を持つ役割を担います。
以下の表で、PMとPLの違いを整理してみましょう。
■PMとPLの違い
項目 | PM(プロジェクトマネージャー) | PL(プロジェクトリーダー) |
---|---|---|
責任範囲 | プロジェクト全体の成否 | チームの目標達成 |
主な役割 | プロジェクト全体の計画・統制・調整 | チームの実行・進捗管理 |
管理対象 | プロジェクト全体(複数チーム) | 担当チーム(メンバー) |
必要な視点 | マクロ・外部志向(経営・事業) | ミクロ・内部志向(現場・実務) |
配置人数 | 1プロジェクト1人 | 1プロジェクト複数人 |
PMは「プロジェクト全体の責任者」
PMはプロジェクト全体を統括し、最終的な成果に対する責任を負うポジションです。QCD(品質・コスト・納期)の達成が最大のミッションであり、これらの要素をバランスよく管理しながらプロジェクトを成功に導くことが求められます。
PMの重要な役割のひとつは、クライアントや経営層、関連部署といったプロジェクト外部のステークホルダーとの交渉・調整です。時には利害が対立する状況でも、プロジェクトの目的を達成するための合意形成を図る必要があります。また、プロジェクト全体に関わる重要な意思決定を下すのもPMの責任です。
PMは単なる管理者ではなく、プロジェクトの方向性を決定し、チーム全体を正しい方向へ導くリーダーとしての役割も担っています。プロジェクトの成否は、PMの手腕に大きく左右されると言っても過言ではありません。
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PLは「現場チームの責任者」
PLは、プロジェクトを構成する各チームのリーダーとして、チームをまとめ、計画通りにタスクを遂行させる実行部隊のトップです。PMが策定した計画を実際の作業に落とし込み、チームメンバーと協力して目標を達成することが主な役割です。
PLの業務は、現場のオペレーションが中心となります。メンバーのタスク管理、進捗確認、技術的な問題解決など、日々の作業を円滑に進めるための実務的な管理を行います。PMの意思決定を現場に落とし込み、チームとして成果を出すことが求められる役割です。
PLには、リーダーシップも重要な要素です。チームメンバーのモチベーションを維持し、チーム全体の士気を高めながら、一丸となって目標に向かって進む環境を作り上げることが必要となります。
【仕事内容】PMとPLの具体的な業務を解説
PMとPLの役割の違いを理解したところで、それぞれの具体的な仕事内容について詳しく見ていきましょう。
PMの主な仕事内容:計画立案・予算管理・ステークホルダーとの調整など
PMの業務は多岐にわたりますが、主要な仕事内容は以下のとおりです。
■PMの代表的な業務
業務項目 | 内容 |
---|---|
プロジェクト計画書の作成 | 目的・スコープ・体制・スケジュール・リスク計画を明確にし、全体のロードマップを作成 |
予算・コスト管理 | 人件費や外注費などのコストを管理し、予算内での運営を調整。定期的なコストレビューによる予算超過の防止 |
外部との調整・交渉 | クライアントや経営層との進捗共有、仕様変更対応、他部署との調整を通じた合意形成と信頼構築 |
リスク管理・課題解決 | 想定されるリスクへの対策計画と、問題発生時における迅速な分析・対応による安定したプロジェクト運営の実現 |
PLの主な仕事内容:タスク管理・進捗管理・メンバーのサポートなど
PMがプロジェクト全体の計画と運営を管理するのに対し、PLはその計画を現場に落とし込み、メンバーの行動に結びつける役割を果たします。主要な仕事内容は以下のとおりです。
■PLの代表的な業務
業務項目 | 内容 |
---|---|
タスクの分解と割り当て | WBSなどを活用して作業を細分化し、メンバーのスキルや稼働状況に応じて業務を割り振る体制の構築 |
進捗管理とスケジュール調整 | 日次・週次での進捗確認と、遅延発生時の原因分析およびリカバリ対応を通じたスケジュールの最適化 |
技術支援とメンバーサポート | 技術的な課題への対応や相談対応を通じて、現場での問題解決を図るとともに、働きやすい環境を整備 |
チームビルディング | 情報共有や信頼関係の構築を通じた、メンバー間の連携強化とモチベーション向上を目的としたチームづくり |
【求められるスキル】PMとPLに必要な能力の違い
PMとPLはともにプロジェクトを前に進める役割を担いますが、求められるスキルセットには明確な違いがあります。
それぞれの役職に必要とされる代表的なスキルは以下のとおりです。
PMに必要なスキル:マネジメント能力・交渉力・課題解決能力
PMは経営的な視点も含めた戦略思考が重要です。フリーランスとしてPMポジションを担う場合には、これらのスキルに加え、信頼性と再現性のある成果を提示できる実績が求められます。
■PMに必要なスキル
スキル項目 | 内容 |
---|---|
プロジェクトマネジメント力 | QCD(品質・コスト・納期)をバランスよく管理し、計画通りにプロジェクトを遂行するための統括スキル |
ステークホルダー調整力 | クライアント・経営層・他部署など、関係者と合意形成を図るための交渉力・調整力、多様な意見の中での意思決定力 |
課題解決力 | 想定外のトラブルや仕様変更に対し、迅速かつ柔軟に対応できる分析力と判断力 |
全体俯瞰力 | プロジェクト全体を見渡し、影響範囲を見極めて優先順位をつけながら意思決定を行う視野の広さ |
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PLに必要なスキル:リーダーシップ・技術的知見・コミュニケーション能力
PLにとって最も求められるのは、現場で信頼される存在であることです。フリーランスのPLとして働く場合、クライアントからは「すぐにチームを回せる人材」として即戦力を期待されるため、技術力と人間力の両立が重要になります。
■PLに必要なスキル
スキル項目 | 内容 |
---|---|
リーダーシップ | チームをまとめ、メンバーを導く力。目標達成に向けて士気を高め、主体的な行動を促す役割 |
技術的知見 | 自身の担当分野における専門知識と、メンバーからの技術的な質問や課題に対応する能力 |
コミュニケーション力 | メンバーの状況把握やフィードバック、指示出しに不可欠な、チーム内外との円滑なやりとりを支える力 |
メンバー育成力 | 経験値に応じた指導やサポートを行い、チーム全体の成長と安定稼働につなげるスキル |
【キャリアと年収】PMとPLのキャリアパスと年収相場
PMとPLの違いを把握した上で、今後のキャリアをどう描いていくかは、エンジニアとして重要な視点です。ここでは、一般的なキャリアパスと年収傾向について見ていきましょう。
キャリアパスはPLからPMが一般的
IT業界では、まずプログラマーやSE(システムエンジニア)としてキャリアをスタートし、一定の経験を積んだ後にPLを任されるケースが一般的です。その後、複数のチームをまとめる経験を通じて、プロジェクト全体を管理するPMへとステップアップしていく流れが王道とされています。
■プログラマーやSEの代表的なキャリアパス
フェーズ | キャリアの進み方 |
---|---|
初期フェーズ | プログラマー/SEとして開発実務を担当 |
中堅フェーズ | PLとしてチームリーダーを経験し、マネジメント力と技術力を強化 |
上位フェーズ | PMとしてプロジェクト全体を統括。戦略視点とビジネススキルも習得 |
ただし、キャリアは一方向ではありません。PL経験を活かして技術スペシャリストやアーキテクトの道へ進む人もいますし、PMとしての経験をもとにコンサルタントやPMOとして活躍するケースも増えています。
フリーランスの場合もこの流れは変わらず、PM、PLとしての実績を積みながら、自身の志向に応じてキャリアの幅を広げていくことが可能です。
PMとPLの年収の違いと今後の展望
PMとPLでは、責任範囲の広さに応じて年収にも明確な差が見られます。PMはプロジェクト全体に対して意思決定を行う立場であり、PLよりも高い報酬が設定されるケースが一般的です。
経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査」によると、プロジェクトマネージャーの平均年収は約891.5万円です。一方で、PLに相当するリーダー層の年収は約726.1万円とされており、約150万円前後の差があります。
■PMとPLの年収の違い
職種 | 平均年収(目安) |
---|---|
PM(プロジェクトマネージャー) | 約891.5万円 |
PL(プロジェクトリーダー) | 約726.1万円 |
今後の展望 DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が加速する中、プロジェクトを成功に導くPMの需要は非常に高まっています。特に、IT技術と業務知識を兼ね備えたPMは、多くの企業で引く手あまたの状況です。
PLについても、現場の中核として技術的な課題解決とチームマネジメントの両方を担える人材として重要視されており、将来性は明るいといえるでしょう。AI技術の発達により一部の業務は自動化されるものの、人間の判断力や創造性が求められる領域では、PMとPLの価値はさらに高まると予想されます。
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PM・PLへのキャリアアップを目指すなら
PMはプロジェクト全体の管理と意思決定を担い、PLは現場チームをまとめてタスクを遂行する役割を持ちます。責任範囲や求められるスキルには明確な違いがあり、自身の志向や強みに合わせたキャリア選択が大切です。
日々の業務で経験を積みながら、自分に合った働き方を模索していくことが、キャリアアップへの第一歩となります。特にフリーランスという選択肢を視野に入れることで、より柔軟な働き方が可能になるでしょう。
PE-BANKは、フリーランスエンジニアが本来の業務に集中できるよう、案件のご紹介から契約・事務処理までを一貫してサポートしています。スキルアップやキャリア設計に関する相談にも対応しており、エンジニアが長期的に安心して働ける環境づくりに力を入れています。自由な働き方を続けながら将来に備えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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