Bコラム〜ビジネスマン(技術者)への応援メッセージ〜
『 愉しむに如かず 』
はじめに
論語には、多くの格言が満載です。 小生の好きな格言の1つを紹介しながら解釈します。
「出来るから行う、好きだから行う、その上に、愉しいから行う」という格言があります。
愉しいとは、いつまでやっていても愉しいから、持続出来ることと解釈しています。
出来ることだけではマンネリになってしまうし、好きだから行うことは疲れてしまいそう。愉しいから行うこととは、意味深いものを感じます。
オーナー企業のトップと接していて感じることは、仕事を愉しみながらやっている姿です。
多くの意味を含んでいると思いますが、ビジネスマンにも参考になる要素があります。
IT技術者にとっても、仕事を愉しみながら行うとは、何なのか? 考えてみます。
愉しむことの必要条件
幼い子供は、何度でも同じ絵本を読めと要求して来ます。お母さんが疲れてしまうほどに。
子供は愉しくて仕方ないのです。その中に愉しむことの本質がある気がします。
きっと「興味を持つ」、「継続する」、「熱中する」、「ひたむきになる」などでしょうか。
ビジネスマンにとって、仕事でも趣味の世界でも、夢中になって取り組んでいる時には、
時間を忘れてしまいます。愉しむとは、少し違う感覚かも知れませんが、いい状況です。
ポジティブ心理学で云う「フローな状況※」です。 ※WEBで確認して下さい。
真剣に取り組み・継続して行い・興味が増して、ひたむきになれることは愉しいのです。
ここで大事なことは、真剣に取り組むことです。真剣さが、次なる興味を湧き立たせます。
同じことを継続して行っている時に、真剣さがあると、更に上を目指したくなるのです。
スポーツ選手の場合の、更に良い記録を目指すことと似ている気がします。
IT技術者の愉しみ
どの様な仕事にも、苦労はつきものですが、真剣に取り組み、仕事を終えた時の達成感は
格別です。IT関係の仕事には、設計レベルの仕事も、プログラム作成の時にも、他の人には頼れない自分との闘いが続きます。最良のシステム構築を懸命に目指している時には、
無我夢中で仕事に取り組んでいる気がします。テスト段階では、思わぬバグが生じてアタフタすることもあります。どちらにしても真剣に取り組んでいるからこその苦労です。
しかし、IT関係の仕事には、常に新しい技術やフレームワークがあって気が抜けません。
見方を変えると、自分自身が新しいことに取り組んでいるという「成長している感」が、
あります。毎年、毎年、連続的に新たなことに挑戦しているに違いありません。
このことを苦労と思うか、成長し続けている証と思うか? 大きな違いです。
IT技術者の新たなことへの取り組みは、真剣さ度合いが、愉しみ度合いに直結します。
働く中の愉しみ
個人のレベルだけでなく、社会の動静も、1日の連続であり、今日の状況は明日につながります。特にIT関連の情報は1日ごとに目新しいこと満載で、その情報を更に倍加するほどに世界を駆け巡っています。 アメリカの状況は、素早く日本にも中国にも伝えられ、
新技術、新サービスも次々に生まれている感があります。
1日1日、目を離せないIT業界の変化は、止まることなく、今後も続きます。
毎日、目を凝らしてIT関連情報を集めても、焦点を絞らないと、情報の渦に巻き込まれるばかりです。確かなのは、1日は連続して1年になり、3年、10年になって行きます。
経済社会は、損得で動いている気もしますが、社会の仕組みは、損得だけではなく、多くの要素が関係しあって成り立っています。それでも1日は世界共通で、同じ条件です。
企業レベルでは、如何に素早く新たな技術を確立し、製品にするとか、サービスを開始するなどの鎬(しのぎ)を削っています。
世の中の原理原則も、1日1日の繰り返しの中で、進む方向を見失わぬ様、毎日を重ねて
いるのです。それぞれの立場の人たちが、懸命に1日を有意義にするべく行動しています。カネを得るために働く。その一面は確かにあります。
と云ってカネだけのために働く訳ではないことも事実です。何がしかの満足を得るために、
働いている。やりたくない、苦労ばっかり、身体が壊れそう・・・な働きは最悪です。
理想論ですが、働きながらカネは得られるし、技術や人脈も得られるとしたら有り難い。
ましてや愉しみながらの働きは、いつまでも疲れを知らずに働けそうです。
恐らく、どの様な仕事にも工夫の余地はありますし、愉しみを見い出すことは可能です。
その為には、1つの条件があります。自分の仕事として真剣に取り組むことです。
当たり前過ぎかも知れませんが、よく見かけるケースは、仕事は与えられ仕方なくやっている人、云われたことだけをやっている人が多い。
自分の仕事として真剣に取り組んでやっているか、どうか? 自問自答してみて下さい。
自分の仕事として、更に少ない手間でやるとか、少ない時間で対応するには、どうするか?
IT技術者であれば尚更に、工夫の余地は多々あります。
クイズなどにある「まちがい探し的」な、仕事を良くする「工夫探し」が出来ると、仕事への興味は倍加します。その中に愉しみが見つかるのです。
新たな技術を吸収した、人と出会えた、難しい課題を解決したなどは愉しみです。
今日一日の愉しみ
仕事に限らず、今日一日が愉しい一日だった・・・ら、素晴らしいことです。
逆に、みじめな一日だった・・・としたら、何かを変える必要があります。
実際には、一日の中で、良いこと・悪いこと、愉しいことも嫌なこともあるでしょう。
何年か前、TVのアニメ「ポリアンナ」では『良かった探し』なる言葉がありました。
苦労や大変な状況の中にも、一条の光の様に、良かったことも見つかるとか。
子供向けアニメでしたが、大人にも通じることと感じました。
良かったを、愉しみに置き換えても同じことです。逆に、愉しみは自ら探さないと、向こうからは来てくれないのです。このことは重要な法則に思えてなりません。
今日一日の繰り返しが、1年になり、10年にもなります。
仕事の場は、愉しみ探しの場でもあるのです。バーやキャバレーだけではありません。
ついては、どの様な仕事も自分の仕事として、真剣に取り組むことが条件になります。
今日一日の中に、愉しみを見つけられたら大したものです。明日も愉しくなります。
斉藤 礼三郎
コンピュータやネットワークに関わり半世紀近く。T自動車の情報部門にて、約20年間、DBやNWの企画・設計を担当した。その後、独立し名古屋にてシステム会社を20年ほど経営する。
現在は「PEーBANKのシニアアドバイザー」の立場で活動中。