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フリーランスエンジニアの実態は?働き方とリアルな収入を解説

フリーランスエンジニアは、「自由に働ける」「満員電車に乗らずに済む」など、憧れを抱かれる職種ですが、実際の働き方や収入、生活はどうなっているのでしょうか。
特に、これから独立を考えているエンジニアや未経験からフリーランスを目指す方は、フリーランスエンジニアの実態を知っておくといいでしょう。
本記事では、フリーランスエンジニアの働き方や、正社員との違い、メリット・デメリット、年収・案件の実態、必要なスキルのほか、安定的に案件を獲得する方法を実態にもとづいて解説します。
フリーランスエンジニアの働き方の実態
フリーランスエンジニアと聞くと、自由・在宅勤務・時間に縛られないといったイメージがあるかもしれません。確かに自由度は高いものの、すべての責任を自分で負う必要があるでしょう。
ここでは、フリーランスエンジニアの働き方の実態について、3つの観点から解説します。
1日のスケジュールは多忙かつ柔軟
フリーランスの1日は、会社員のように定まった勤務時間はなく、プロジェクトの納期や打ち合わせなどに合わせて柔軟に調整されます。
自由な一方で、複数の案件を抱えている人も多く、スケジュールは、決して楽ではありません。
リランスの調査によると、1ヵ月あたり「2件」受注している人が29.32%と最多で、「3件」(19.28%)、「5件以上」(12.52%)を合わせると、約6割が2件以上の案件を並行してこなしていることがわかります。
出典:リランス「フリーランスエンジニア白書」(2023年2月発表)
一方で、平均稼働時間は1日約4.4時間と短め。これは単に余裕があるというより、集中して作業する時間と私用・休憩をうまく組み合わせた効率的な時間管理の結果です。
例えば、「午前に集中作業、昼は自己投資や外出、午後は打ち合わせ、夕方に仕事を終える」といったメリハリのある働き方が可能です。納期は厳守しつつ、日々の時間配分は自分次第。この自由な裁量こそ、フリーランスの大きな魅力です。
リモートか出社かはクライアント次第
働く場所は、自宅・カフェ・コワーキングスペースなど選べますが、実際にはクライアントの方針に影響されることも少なくありません。
リランス調査によると、「出社多め・一部リモート」が30.72%で最多。「基本的にリモート」は29.52%、「リモート多め・一部出社」は21.07%と、ハイブリッド型の働き方が主流です。
出典:リランス「フリーランスエンジニア白書」2023年2月発表)
通勤不要というリモートワークのメリットは大きいといえますが、その分、集中力や自己管理力の維持が課題になります。静かな作業環境づくりや、オン・オフの切り替えを意識する工夫が、長く働き続ける上で重要です。
収入は上がる傾向にある
独立を検討する際、多くの人が気になるのが「収入が下がるのでは?」という不安です。しかし、調査データはむしろ収入増の傾向を示しています。
リランスの調査によると、フリーランスエンジニアの平均年収は約632万円。さらに、会社員から転身した人のうち、59.5%が「収入が上がった」と回答しています。
出典:リランス「フリーランスエンジニア白書」2023年2月発表)
この背景には、複数案件の同時受注ができる点や、スキルや実績が単価に直結する環境が挙げられます。フリーランスという働き方の強みは、専門性を高めれば、それに見合う報酬が得られるといえるでしょう。
フリーランスエンジニアと正社員のエンジニアとの違い
フリーランスエンジニアと正社員のエンジニアでは、働き方や契約形態に大きな違いがあります。どちらが自分のライフスタイルや価値観に合っているかを考えることが重要です。以下では、フリーランスと正社員のそれぞれの特徴を比較して解説します。
■フリーランスエンジニアと正社員のエンジニアとの違い
項目 | フリーランスエンジニア | 正社員のエンジニア |
---|---|---|
契約形態 | プロジェクト単位の業務委託契約 | 企業との無期限の雇用契約 |
働き方の柔軟性 | 時間や場所によって案件を自由に選べる | 所定の勤務時間があり、出社が基本の場合が多い |
収入・福利厚生 | 案件により変動。保険や年金は自己手配・自己管理 | 固定給。健康保険・年金・有給などの福利厚生あり |
キャリア設計 | 自分で案件を選び、スキルアップも自己責任 | 企業の育成制度やキャリアパス支援が受けられる |
フリーランスエンジニアのメリット
フリーランスとして働くエンジニアには、会社員では得られない多くのメリットがあります。ここでは、フリーランスエンジニアが感じている主なメリットを3つの観点から解説します。
時間や場所に縛られない自由な働き方
フリーランスの最大のメリットは、働く時間や場所に縛られない自由なスタイルです。
通勤の必要がなく、午前中は自宅、午後はお気に入りのカフェで作業するなど、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。家事や子育て、副業とも両立しやすく、生活に柔軟性が生まれます。
このような自由度の高さは精神的なストレスの軽減にもつながり、自分のペースで仕事ができることで集中力と生産性の向上を実感するフリーランスも多いでしょう。
収入アップの可能性と単価交渉の自由
収入面でも、フリーランスとして働くことには大きなメリットがあります。
スキルと実績によっては、月収100万円以上を目指すことも可能です。年功序列や社内評価に左右されず、純粋に成果で評価されるため、努力が報酬に直結しやすいのも特徴です。
さらに、クライアントと直接契約できることで、単価や契約条件を自分で交渉できます。みずからの市場価値を意識しながら仕事を選び、収入を自分でコントロールできるという点も、フリーランスならではの明確なメリットです。
多様な案件と自己成長のチャンス
さまざまな業界や分野のプロジェクトに関われるのも、フリーランスの大きなメリットのひとつです。
Web開発、モバイルアプリ、AIなど、多彩な案件を通じて専門性を深めたり、新しい分野にチャレンジしたりすることができます。仕事の幅が広がることで、スキルアップはもちろん、視野の拡大にもつながります。
さらに、スタートアップや海外企業との仕事では、スピード感やグローバルな視点が求められるため、実践的な成長機会が豊富です。技術力に加え、ビジネス感覚やマネジメント力も磨ける点は、将来のキャリアにとって大きなメリットになるでしょう。
フリーランスエンジニアの課題
フリーランスエンジニアには多くのメリットがありますが、一方で見過ごせない課題も存在します。ここでは、フリーランスとして働く上で直面しやすい3つの代表的な課題を紹介します。
収入の不安定さと生活設計の難しさ
フリーランスとして働く上で最も大きな課題のひとつが、収入の不安定さです。
案件が継続しない限り、収入が発生せず、月ごとに大きなばらつきが生じることもあります。収入がゼロになるリスクもあるため、住宅ローンの審査や家族の将来設計に不安を感じる人も少なくありません。
この課題に対応するには、安定的に案件を得るための営業力やネットワークづくりが不可欠です。また、収入が多い月にお金をしっかり貯めて、少ない月を乗り切る資金管理の工夫も求められます。波のある収入とどう向き合うかが、フリーランスとして継続できるかどうかの大きな分かれ道になります。
孤独感と自己管理のプレッシャー
チームや同僚がいない環境で働くことは、フリーランスにとっての大きな課題です。
オフィスでの雑談や相談がないことで、孤独を感じやすく、時にはメンタル面での不調にもつながります。
さらに、働く時間も休む時間もすべて自分で管理する必要があるため、自己管理能力が非常に重要になります。生活リズムが崩れやすく、体調やモチベーションを保つのが難しいと感じることもあるでしょう。日々のタスク管理や目標設定ができるかどうかが、安定して働くためのカギとなります。
税務・保険・経理など事務作業の煩雑さ
会社員時代には意識しなかった事務業務も、フリーランスになるとすべて自分の責任になります。
確定申告や請求書の作成、経費の記録、保険や年金の手続きなど、やるべきことは多岐にわたるでしょう。
特に税務はミスが許されず、罰則や追加納税といったリスクも伴います。これらの課題に対応するには、基本的な会計知識を身につけたり、必要に応じて税理士のサポートを受けたりするといった工夫が重要です。事務作業の負担をどう効率化するかも、長くフリーランスとして活躍するためのポイントです。
フリーランスエンジニアの年収や案件の実態とは?
フリーランスエンジニアとして独立を考える際に、多くの人が気になるのが「実際にどれくらい稼げるのか」「どんな案件があるのか」といった収入や仕事の内容に関する実態です。
ここでは、フリーランスエンジニアの年収の相場や、案件の種類・契約形態、受注の現状について具体的に紹介します。
平均年収
フリーランスエンジニアの年収は、600万~800万円程度が目安です。
これは正社員のエンジニアと比較して高水準ですが、スキル・経験・地域・担当領域によって大きく異なります。例えば、都心で高単価案件を複数抱えるエンジニアは年収1,000万円を超える一方、駆け出しや地方在住の場合は300万円台にとどまることもあります。
上記で紹介したリランスの調査によると、フリーランスエンジニアの平均年収は632万円でしたが、PE-BANKのデータでは、関東エリアの平均年収847万円です。これらの数字から、一定のスキルと稼働実績があるエンジニアであれば、フリーランスとして十分な収入を得られる可能性があります。
ただし、会社員と違ってボーナスや定期昇給がないため、継続的なスキルアップと市場価値の維持が欠かせません。収入を安定・向上させるには、技術力に加えて単価交渉力や営業力といった総合的なビジネススキルが求められます。
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案件の種類・難易度・契約形態の傾向
フリーランスエンジニアが関わる案件は非常に多岐にわたります。
Webサービスのフロントエンド・バックエンド開発、モバイルアプリ、クラウド・インフラ構築、さらにはAI・IoT関連まで、そのジャンルは広がり続けています。
契約形態としては、業務委託(準委任契約や請負契約)が一般的で、中でも準委任契約は一定期間稼働する形式のため、リモート案件との相性も良好です。
ただし、難易度の高い案件や高単価の仕事には、実績や専門性が求められることも多く、初心者にはややハードルが高いケースもある点は留意しておきましょう。
受注経路と案件獲得方法の現実
案件を獲得する方法は複数ありますが、主な方法は次の3つです。
<フリーランスエンジニアが案件獲得する主な方法>
・フリーランスエージェントの利用
・クラウドソーシングサービス
・SNSやブログなどを活用した直接営業
中でもフリーランスエージェントは営業代行をしてくれるため、初心者に人気があります。ただし、報酬の一部が手数料として差し引かれる点には注意が必要です。
一方、クラウドソーシングは比較的始めやすい反面、単価は低めな傾向があります。反対に、信頼関係を築いたクライアントと直接契約すれば、安定かつ高単価な案件を継続して受けられるケースもあります。
フリーランスエンジニアが安定的に案件を獲得する方法
フリーランスエンジニアとして長期的に活躍するためには、継続的に案件を獲得できる基盤づくりが欠かせません。ここでは、代表的な3つの案件獲得手段と、それぞれの特徴・活用ポイントについて紹介します。
フリーランスエージェントの活用
営業に時間をかけたくない人や、交渉が苦手な人にはフリーランスエージェントの利用が有効です。
エージェントは、希望条件に合った案件の紹介から、面談日程の調整、契約サポートまで対応してくれます。特に初心者にとっては、サポート体制の手厚さが安心材料になります。
ただし、報酬の一部は手数料として引かれるため、手取り額が減少する点には注意しましょう。複数のエージェントで手数料率やサポート内容を比較検討することが大切です。
クラウドソーシングと直接契約の活用
クラウドソーシングは手軽に案件応募できる点が魅力です。ただし、競争が激しく低単価案件も多いため、プロフィールや提案文の工夫と実績積み重ねによる信頼構築が欠かせません。
企業や知人からの直接契約は高単価で長期関係を築きやすく、営業や交渉は必要ですが、継続案件や安定収入につながりやすい重要な獲得ルートです。
SNS・ブログによる自己PRとブランド構築
近年では、SNSやブログでの発信による自己ブランディングも案件獲得の有効な手段として注目されています。ポートフォリオや実績、技術記事を継続発信することで専門性や強みを可視化でき、企業からのスカウトやコラボ依頼の機会も増えるでしょう。
継続的な発信により自分の名前や活動がブランドとして認知されれば、営業をしなくても、案件の相談や依頼が届くようになります。大切なのは、誠実で一貫性のある発信を続けることです。
フリーランスエンジニアの不安を減らすには頼れるサポートを活用しよう
フリーランスエンジニアは自由な働き方や高収入の魅力がある一方で、自己責任と不安定さがつきまとう職業です。時間管理・収入管理・事務作業・メンタルケアなど、すべてを自分でコントロールする必要があります。ただし自身のスキルで案件を選び、主体的にキャリアを築ける点は会社員にはない大きな強みでしょう。
これから独立を検討している方は、理想と現実のギャップを理解した上で、自分にとって最適な働き方を見極めてください。情報収集と準備を丁寧に進めることで、フリーランスとしてのキャリアを安心してスタートできるはずです。
「PE-BANK」は、フリーランスエンジニアをサポートするエージェントです。フリーランスエンジニアが本来の仕事に注力できるよう、案件の提案から事務作業まで一括して請け負うことを特徴としており、スキルアップのためのサポートにも力を入れています。フリーランスエンジニアとして働くことに興味がある方は、ぜひPE-BANKにご相談ください。

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