フリーランスにおける経費とは?経費にできる・できないの境目や注意点について解説

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フリーランスは会社員とは異なり、さまざまなことを自分でこなさなければなりません。会計処理もその一つです。フリーランスでも仕事で使ったお金は経費として計上できますが、経費のことを正しく理解しておかないと、確定申告で損をしてしまうかもしれません。

そこで今回は、フリーランスでよく扱われる経費について、勘定科目と具体例をわかりやすく紹介します。経費を扱う際の注意点もお伝えするので、参考にしてください。

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フリーランスにおける経費とは


フリーランスにおける経費とは、仕事で使ったお金のことです。仕事でパソコンを使っている人であれば、パソコンの購入費用やExcel、Wordの利用料金などが該当します。ほかにも自宅兼事務所の場合は、仕事に使用している割合であれば家賃も経費として認められるほか、仕事で必要なセミナー受講料なども経費となる場合があります。

このように、多くの費用が経費として認められているため、何が経費になるのか把握しておくことが大切です。

経費がなぜ大切なのか

経費の理解がなぜ大切なのかというと、正しく理解することで翌年支払う税金を減らせる場合があるためです。フリーランスをしていると、確定申告が必要になります。確定申告とは、納税しなければならない税額を確定するために毎年2~3月に行なう手続きのことです。

収入から税金を算出する仕組みを簡単に説明すると、次のようになります。

収入-経費=所得
所得-所得控除=課税所得

上の式を見ると、収入から経費を差し引いたものが所得であることがわかります。“控除”とは、税金を支払う能力に応じて損益から一定額を差し引く制度です。所得の高低や家族構成などによって控除額は変わります。

税金は所得金額によって決まり、経費や控除が多ければ多いほど、税金の額も少なくなるため、何が経費に該当するか理解することが大切なのです。

フリーランスが経費にできるもの一覧


経費が多いほど税金が少なくなることがわかりましたが、具体的にどのようなものが経費にできるのでしょうか。ここでは、フリーランスが経費にできる代表的な例をいくつか表にまとめて紹介します。

勘定科目 内容
開業準備費 開業にかかった費用 Webサイトの制作費用、広告費用、業者との打ち合わせ費用など
消耗品費 短期間で消耗する物品の費用 パソコンや周辺機器(10万円未満)、文房具など
減価償却費 10万円以上の固定資産について、耐用年数に応じて経費処理を行なうためのもの パソコンや周辺機器(10万円以上)、車など
地代家賃 事務所の家賃など(自宅と兼用の場合は家事按分が必要) 家賃、駐車場代など
水道光熱費 電気代など(自宅と兼用の場合は家事按分が必要) 水道代、ガス代、電気代など
新聞図書費 書籍などの費用 書籍代、新聞代など
旅費交通費 交通費や宿泊費 乗車券代、ホテル代など
通信費 電話やインターネットなど通信で発生した費用(プライベートでも使用している場合は家事按分が必要) スマートフォン料金やインターネット接続料金など
接待交際費 事業関係者の接待や贈答の費用 取引先との会食、お土産など
損害保険料 損害保険料(生命保険や国民健康保険は対象外) 火災保険料、自動車保険料など
広告宣伝費 広告の制作や掲載などに使った費用 インターネット広告への掲載費など
採用教育費 仕事で必要な研修の費用など セミナー受講費用など
支払手数料 各種サービスを利用した際の手数料 振込手数料、販売手数料、仲介手数料など
租税公課 国や地方公共団体に支払う税金や手数料 自動車税、各種証明書の発行費用など
車両費 車両にかかった諸経費(プライベートでも使用している場合は家事按分が必要) ガソリン代、車検費用など

「車両費」などで記載されている“家事按分”とは、自宅兼事務所の家賃のように仕事とプライベートが混在している場合に、それぞれを合理的な基準で分けるための考え方です。例えば家賃の場合は、事務所として使用している面積分だけ経費にできます。半分を事務所として使用している場合は、家賃のうち50%が経費として認められる仕組みです。

勘定科目は、必ずこれにしなければならないという絶対的なルールはありません。例えば、クラウドサービスの利用料は支払手数料・通信費のどちらにも当てはまりますし、既存の勘定科目に当てはまらない場合は自分で作ることもできます。ただし混乱しないように、どの勘定科目を使うのか整理しておくことが必要です。

フリーランスが経費計上するメリット

フリーランスが経費を計上するメリットは、大きく以下の2点があります。

節税が可能

まず、冒頭でも説明したように節税が可能なことです。税金は収入に対してかけられるのではなく、収入から経費と所得控除を引いた課税所得に対してかけられます。税金は所得税だけではなく、住民税にも影響します。そのため、経費として計上できるものはできるだけ計上することで、節税効果を高めることができます。

還付金が返ってくる可能性がある

フリーランスをしていると、クライアントや案件によっては報酬を受け取る際に所得税を源泉徴収されるケースもあります。フリーランスにおける源泉徴収とは、個人に対する特定の報酬について所得税をあらかじめ徴収する制度です。確定申告で納めなければならない税金額よりも、源泉徴収により支払った所得税が多い場合は、超過分が還付されます。

フリーランスが経費計上する際の注意すべきポイント

フリーランスが経費計上する際に、注意しなければならないポイントを6つ紹介します。

経費は業務上利用したものだけに適用される

経費は何にでも適用されるわけではありません。業務に直接関係のない生活用品などは経費として適用されないため注意が必要です。また、先ほど説明した家賃や光熱費のように業務とプライベートの両方に関わりがあるものは、家事按分を行なう必要があります。経費にできるものとできないものをしっかりと区別して、税務調査があった場合でも、きちんと説明できるようにしておきましょう。

経費は確定申告までに計算しておく

経費は毎年2~3月に行なう確定申告に必要です。確定申告では前年の収入や経費などの総額を記載しなければならないため、それまでに経費をすべて計算しておく必要があります。1年分をまとめて計算しようとすると大変なばかりでなく、どのような出費だったか忘れてしまう可能性もあるため、経費はこまめに帳簿付けしておくことがおすすめです。

領収書は7年間保存する必要がある

経費として取り扱った領収書は、確定申告で提出する必要はありません。ただし、一定年数は保存する必要があります。青色申告の場合は、一部を除いて帳簿、領収書ともに7年間の保存が必要です。白色申告の場合は領収書の保存は5年ですが、帳簿は7年保存のため、領収書も7年間保存しておいたほうがよいでしょう。また、保存期間は領収書の発行日ではなく、確定申告の期限日が起算日となるため、誤りのないようにしてください。

税務調査の際に説明できるようにする

フリーランスの経費は、プライベートと曖昧なケースも多くあるでしょう。そのため、もしも税務調査が行なわれることになった際には、なぜ経費として扱ったのか領収書をもとにきちんと説明できるようにしておく必要があります。

税務調査とは確定申告が正しいかチェックを行ない、間違っていれば是正を求めるものです。フリーランスでも突然税務調査の対象となる可能性はあるため、準備はしておきましょう。

不正に経費を増やした場合は脱税とみなされる

経費を増やせばその分税金は安くなります。しかし、プライベートのものまで経費に計上したり、架空の領収書などで経費をでっち上げたりした場合には、脱税とみなされます。

不正や誤りにより脱税とみなされた分は、追徴課税として支払わなければならないだけでなく、加算税や延滞税が課されることもあります。さらに、場合によっては懲役や罰金などの刑事罰を受ける可能性も出てきます。くれぐれも不正は行なわないようにしましょう。

浪費と節税を履き違えないようにする

節税のために無駄な経費を使うこともやってしまいがちです。しかし、いくら経費とはいっても手元のお金が少なくなることには変わりがなく、無駄な経費は浪費と同じです。節税のための経費であれば、必要なものを前倒しで購入したり、将来の投資として使ったりして、浪費との境目をはっきり分けておきましょう。

領収書の保存方法

先ほど説明したとおり、領収書は一定期間の保存が必要です。紙による方法とクラウドによる方法をそれぞれ説明します。

紙で領収書を保存する

紙で領収書を保存する場合、レシートも領収書代わりになります。ただし、日付、支払先、金額の記載が必要です。また、インターネットで支払手続きをした場合は領収書がないこともあるでしょう。そうした場合はクレジットカードの利用明細を使う方法もあります。

ほかにも、自動販売機での購入などでレシートがない場合もあるでしょう。この場合は出金伝票を使うことをおすすめします。出金伝票はレシートを紛失した場合にも有効です。ただし、むやみに出金伝票を使うと税務調査で不審に思われる可能性があるため、やむを得ない場合に限定しておきましょう。

クラウド上で領収書を保存する

紙ではなくクラウドで領収書を保存することもおすすめです。クラウド会計ソフトを使えば、紙のレシートや領収書を簡単に取り込んでデジタルデータとして保存ができます。

2022年の電子帳簿保存法改正により、電子取引データは印刷ではなく電子データとして保存しなければならなくなりました(ただし、一定の条件を満たす場合には2023年12月31日まで紙での保存が認められています)。そのため、今後はクラウド上で領収書を保存するようにしたほうがよいでしょう。

まとめ

フリーランスにとって、正しく経費を計上することは納税額を抑えるための重要な手段です。しかし、経費は自分で計算して確定申告をしなければならないため、正しい知識がなければ経費になるものを見過ごすこともあります。また逆に、経費にならないものを経費として計上してしまうこともあるかもしれません。経費に対して正しい知識を学び、賢く節税していきましょう。

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