Javaのフレームワークとは?おすすめ10種類やメリット、選び方解説

Javaは、Webアプリケーション、業務システム、モバイルアプリ、IoTデバイスなど、あらゆる開発領域で活用されている汎用性の高いプログラミング言語です。Java開発において、フレームワークはもはや不可欠な存在となっています。
Javaのフレームワークを使えば、開発の土台となる処理や設計があらかじめ用意されており、効率的に高品質なコードを構築することが可能です。しかし、Javaのフレームワークは種類が多く、それぞれに向き・不向きがあるため、適切な選定ができないと逆効果になることもあります。
本記事では、Javaのフレームワークの基本知識、用途別のおすすめフレームワーク10種類のほか、メリット・デメリット、選び方を解説します。
JavaのフレームワークとはJavaを利用してシステム開発を行うために導入する枠組み
Javaのフレームワークとは、Javaを利用してシステム開発を行うために導入する枠組みです。システム構築するときによく実装される機能や、開発に便利な機能など、中に含まれるものはフレームワークによって少しずつ異なります。
ログイン認証やエラーハンドリング、画面表示といったよくある処理があらかじめ用意されているため、導入することで開発の生産性を大幅に高めることが可能です。
特にJavaはWebシステムや大規模な業務アプリケーションの開発で利用されるケースが多く、設計の標準化や作業の効率化が求められる分野です。こうした現場では、フレームワークの導入がもはや常識となっており、コーディングルールの統一や保守性の向上にもつながります。
Javaのフレームワークの主な機能
Javaのフレームワークが提供する機能は、多岐にわたります。単に開発を補助するだけではなく、プロジェクト全体の品質や保守性に直接影響を及ぼす、重要な役割を担う存在といえるでしょう。
データベース連携の自動化
Javaでのデータベース操作は、従来JDBCを用いた手動のSQL記述が主流でしたが、現在ではORM(Object-Relational Mapping)フレームワークの登場により、Javaオブジェクトとデータベーステーブルをマッピングして自動的に操作できるようになりました。Hibernateなどはその代表格です。
HTTPリクエスト処理とルーティング
Webアプリケーションでは、URLやHTTPリクエストのルーティング処理が欠かせません。Javaのフレームワークでは、URLに応じて適切な処理をコントローラにマッピングする機能が標準搭載されているため、ルーティングの実装が簡単になります。
DI(依存性注入)
複雑なシステム開発においては、各コンポーネントが互いに依存し合う場面が多くなりがちです。DIを活用すれば、オブジェクトの生成と依存関係の管理をフレームワーク側に任せることができ、モジュールの再利用性やテスト容易性が向上します。
MVCモデルの実装支援
多くのJavaのフレームワークは、MVC(Model-View-Controller)アーキテクチャに準拠しており、アプリケーションの構造を明確に分離します。これにより、デザイナーと開発者の役割を分けたり、保守性を高めたりすることが可能です。
セキュリティ機能の標準搭載
認証・認可、セッション管理、CSRF対策、入力バリデーションなど、セキュアなWebアプリケーションに必要な機能が初めから組み込まれているフレームワークも多く、開発者はセキュリティに関する知識が少なくても、ある程度安全なシステムを構築できます。
【2025年最新版】おすすめのJavaのフレームワーク
ここからは、おすすめのJavaのフレームワークを10種類紹介します。各フレームワークの特徴や用途を把握し、自分の開発目的に合ったものを選びましょう。
Spring Framework
Spring Frameworkは、エンタープライズ領域で圧倒的なシェアを誇る定番フレームワークです。プログラムをシンプルにまとめられるAOPや、クラスごとの依存関係を解消するDIなど、Javaシステムのメンテナンス性を上げてくれる機能を多く搭載しています。スケーラブルな設計に向いており、大規模開発に最適です。
関連ドキュメントやチュートリアルも充実しているため、初めての方でも学びやすいフレームワークです。
Spring Boot
Spring Bootは、Spring Frameworkをベースに構築された、設定不要でアプリケーションをすぐに立ち上げられるフレームワークです。
従来のSpringは高機能である一方、設定ファイルが複雑で導入のハードルが高いという課題がありました。Spring Bootはこの問題を解決し、「最小限の記述ですぐに動く」ことをコンセプトに、初期構築や設定を大幅に簡略化しています。
組み込みのTomcatサーバーや自動構成機能により、ローカル環境での立ち上げも容易です。マイクロサービス開発やREST API開発といった、迅速な立ち上げと拡張性が求められる現場で特に活躍しています。
Spark Framework
Spark Frameworkは、少ない労力で素早くWebアプリを作るための、小規模開発に向いているフレームワークです。
よく使われるフレームワークは機能が充実してはいますが、小規模な開発の現場では使わないものもたくさんあります。環境を整えるためのプロセスを考えると、大げさすぎることもあり、マイクロフレームワークと呼ばれる最小限の機能を搭載したフレームワークが作られました。Spark Frameworkもそのひとつです。
コードの書き方が独特なこともあり、使いこなすのには慣れが必要です。ただ言語自体が直感的にわかるシンプルなものであるため、基本的な書き方さえ押さえれば、あとはどんどん開発を進めていけます。
Play Framework
Play Frameworkは、ScalaおよびJavaをサポートする高性能なWebアプリケーションフレームワークです。Ruby on RailsやDjangoの影響を強く受けており、とにかく速く開発して、少ないリソースでプログラムを動かすのが得意なフレームワークです。
開発の進行に伴って機能が拡張されていくWebアプリでは、動作させるたびに必要なリソースの確保から始めていては、時間がかかりすぎてしまい効率も良くありません。システム規模が大きくなってもはじめに確保したリソースの中で動かし続けられれば、リソースの調整工数を節約できます。
開発の速さをメリットとするこのフレームワークは、小規模な開発を繰り返すアジャイル型開発にも向いています。
Apache Struts
Javaシステムの開発でよく使われる概念であるMVCをベースとしたフレームワークが、Apache Strutsです。
古くから使われている分だけ、セキュリティホールも多数見つかっており、脆弱性パッチも出ています。新しいシステムを開発する際の選択肢になることは稀ですが、既存のシステムはApache Strutsベースで動いているものも多く、実際の現場で出会うことは多いフレームワークでしょう。
2017年に脆弱性の問題が発生してからは、別のフレームワークを使う流れもあるため、その点は情報を集めて気を付けておきましょう。後から開発されたStruts2とは互換性がない点も注意が必要です。
JSF(Java Server Faces)
JSFは、デザインと処理を分けて記述したいシステムに向いているフレームワークです。
JSFにはUIコンポーネントが多く搭載されており、主に入力フォームに必要となる、ボタンやチェックボックス、日付選択のためのカレンダーなどが含まれます。もちろんパラメーターを変更することでデザインの変更も可能です。エンドユーザーに何かを入力させることが多いシステムを開発する際はしっかりと強みを発揮してくれるフレームワークです。
Ninja Web Framework
フルスタックのマイクロJavaフレームワークであるNinja Web Frameworkは、手軽に軽量なWebアプリケーションを作るのに向いています。フルスタックのフレームワークのため、大規模システムにも十分対応できる仕組みです。
メモリの使用量が多い、カスタマイズの自由度が低いなどのデメリットはありますが、ユーザーが素早くシステムを起動させるための機能を提供しています。
Jakarta EE(旧 Java EE)
Jakarta EEは、Javaによる業務システムやエンタープライズアプリケーションの開発に用いられるプラットフォームです。ServletやJPA(Java Persistence API)、DI、JAX-RS(REST API開発)など、業務開発に欠かせない標準仕様が多数含まれています。
技術的にはフレームワークではなく「仕様のセット」ですが、業務システム開発の枠組みとして定着しており、実務ではフレームワークのように扱われることも少なくありません。また、「重量級フレームワークの元祖」ともいえる存在で、Spring Frameworkなど後発のフレームワークにも多大な影響を与えています。
Jakarta EEに準拠したアプリケーションサーバー(WildFly、Payara、GlassFishなど)上で動作するため、ベンダーに依存せず柔軟な開発が可能です。堅牢性や拡張性を重視する大規模システムの開発に適しており、長期運用を前提とした案件にも多く採用されています。
ZK
ZKは、マークアップ言語で直感的なUI開発が可能なフレームワークです。GUIを作るのならAjaxでも同じことができますが、ZKはスクリプトをそのままレイアウトに記載できる点が大きな強みです。
Webアプリケーションの一般的な考え方である、クライアントとサーバーを分けて設計する形ではなく、スタンドアロンの開発とほとんど同じ感覚でコーディングを進めていけます。
Hibernate
Hibernateは、Javaの代表的なORM(オブジェクト・リレーショナル・マッピング)フレームワークです。
通常、Javaアプリケーションでデータベースを扱う場合はSQL文を記述する必要がありますが、Hibernateを使えば、JavaオブジェクトとDBのテーブル構造を自動的にマッピングしてくれるため、SQLの記述を大幅に減らすことができます。
また、トランザクション管理やキャッシュ機能など、実運用を想定した機能も充実しており、パフォーマンスや保守性を重視するシステム開発において有効です。Spring Frameworkとの統合もスムーズであり、多くの企業システムで採用されています。
Javaのフレームワークの最新トレンド
近年のJava開発では、クラウドネイティブ開発やマイクロサービスアーキテクチャの普及により、フレームワークにも「軽量性」や「柔軟性」が強く求められています。その中でも特に注目されているのがSpring Bootです。
Oracleが実施した「Java開発者への過去最大の調査」によると、Java開発者の過半数がSpring Bootを使用しており、企業・個人問わず支持されています。

※参考元:Oracle「Java開発者への過去最大の調査」(2019年2月発行)
Javaでフレームワークを利用するメリット
Javaフレームワークを導入することで、以下のような数多くのメリットがあります。
作業効率が上昇し、開発期間が短縮される
多くのフレームワークでは、テンプレートや共通機能があらかじめ用意されており、ゼロからの実装は必要ありません。
例えば、マスターデータの管理機能や標準的な画面設計が整備されているため、繰り返し使われる機能を使い回すことで、開発スピードが格段にアップするでしょう。
また、コードの再利用やAPIの統一性によって保守性も高まり、長期運用に耐えうる設計が可能になります。
バグが減少する
複数のエンジニアで開発する際、コードの書き方をそろえるにはコーディング規約やバリデーションを決めて徹底することになります。
フレームワークに合わせてコーディングしていけばコードに統一性が出るため、厳密にコーディングルールを決める必要がありません。各エンジニアが書き方の異なるコードを書かないので、バグの発生も抑えられます。
対応できる案件の幅が広がる
Java開発の求人では、必須の経験として「フレームワークの利用」を挙げているところも少なくありません。フレームワークの利用経験がなければ入れない案件もあるので、獲得できる案件を増やすにはフレームワークを積極的に利用して、勉強していきましょう。
特にフリーランスエンジニアとして独立したいのであれば、関われる案件が多いに越したことはありません。フレームワーク開発の経験があるだけで、応募できる案件の幅がぐっと広がります。
Javaでフレームワークを利用するデメリット
便利なJavaのフレームワークにも、いくつかのデメリットがあります。開発効率が上がる一方で、注意すべきポイントも押さえておきましょう。
フレームワークに関する学習コストがかかる
開発作業に取りかかる前に、フレームワークに関する知識を勉強する必要があります。使い方はもちろん、独特の癖や注意すべき点なども押さえながら知識を身につけていくため、どうしても学習コストは必要です。あまり使われていないフレームワークの場合は情報を集めるだけでも苦労するでしょう。
しかし一度概念を理解すれば応用がきくものでもあります。1つフレームワークが使えれば、後は差分を認識しながら使っていけます。
新規システム開発の際に、フレームワークを選ぶ基準にもなっていくため、複数のフレームワークの違いを理解し、それぞれを学んでおいて損はありません。
フレームワークに依存するリスクがある
フレームワークを利用することで、プログラミングの知識が十分になくてもコーディングを進めていけます。不慣れな人でも質の高いコードが書けるという意味ではメリットなのですが、反対にプログラミング言語の本質が理解できなくなる危険性があります。
万が一フレームワーク自体にバグがあった場合の対処や、部分的なカスタマイズが必要になる場合などは、フレームワークの中身を読み解き、適切にコードを追加、修正していかなければなりません。
フレームワークを使う開発は便利ですが、頼りすぎると諸刃の剣となります。初心者の方はまずはフレームワークなしで開発を覚え、基本的なコードの書き方を習得したあとに、フレームワークがどの部分を効率化しているのかを意識することで、理解のスピードがぐっと上がるでしょう。
Javaのフレームワークの選び方
フレームワークにも特徴があり、作りたいシステムによって選ぶものが変わります。以下では、適切なJavaのフレームワークの選び方について解説します。
開発目的と一致したフレームワークを選ぶ
まず考えるべきは、「どんな種類のシステムを開発するか?」という点です。大規模システム向けか、中小規模システム向けか、カスタマイズを前提としたシンプルなものか、そのまま使える機能の充実したものかなど、フレームワークは使用目的が異なります。
新規開発するシステムで、どのフレームワークを使っていいかわからない場合は、類似システムがどうやって開発されているかの情報を集めましょう。
よく使われているフレームワークを選ぶ
実績が豊富でコミュニティが活発なフレームワークは、ドキュメントが充実しており、学習や問題解決がしやすいというメリットがあります。一方で、知名度の低いフレームワークを選んでしまうと、インターネット上の情報が少なく、質問しても回答が得られにくいこともあります。
フリーランスとして活動するなら、案件での採用実績が多いフレームワークを優先的に習得するのが賢明です。
セキュリティ対策と脆弱性リスクを考慮して選ぶ
フレームワークの更新頻度が低い、またはセキュリティの脆弱性が報告されているようなものは、実務での使用には注意が必要です。過去にはApache Strutsのように、脆弱性を突かれた大規模な情報漏洩事件も発生しています。
定期的にメンテナンスされているか、セキュリティパッチが迅速に提供されているかといった視点も、フレームワーク選定の重要な基準です。
Javaのフレームワークの効率的な学習方法
Javaのフレームワークを効率的に学習するには、以下のようなステップで段階的にスキルを積み上げていくことが大切です。
ステップ1:公式チュートリアルで全体像を把握する
まずは公式ドキュメントやチュートリアルを読み、フレームワークの全体構成や設計思想を理解しましょう。概要をつかんでから詳細に進むと、学習効率が高まります。
ステップ2:入門書・解説記事で基本を固める
初心者向けの書籍やブログ記事を参考に、簡単なCRUDアプリ(データの作成・読み取り・更新・削除)を作成してみましょう。おすすめは「Spring入門――Javaフレームワーク・より良い設計とアーキテクチャ」(技術評論社)などの実践的な書籍です。
ステップ3:オンライン学習プラットフォームを活用する
動画で実際の手順を見ながら学ぶと、環境構築やトラブル解決の方法も習得できます。UdemyやYouTubeなどの講座は、現役エンジニアが手順を丁寧に解説しており、初学者にもわかりやすい内容になっているものが多いので、積極的に活用しましょう。
ステップ4:小さなアプリを作ってみる
Todoアプリやブログなど、シンプルなWebアプリを実際に作ってみることで、理解が一気に深まります。
また、他人が実際に作ったプロジェクトを読んでみることも重要です。リポジトリの「issues」や「pull requests」を読むことで、実際の開発現場の雰囲気もつかめるでしょう。
ステップ5:実案件で経験を積む
フレームワークを習得したら、次は「実案件」での経験を積むのが最も効果的です。PE-BANKのようなエージェントサービスを利用すれば、フリーランスとしてJavaフレームワークを活かせる案件に参加するチャンスが広がります。学習と実務の両輪でスキルを磨いていきましょう。
Javaのフレームワークで信頼性の高い開発とキャリアの幅を広げよう
Javaの開発を効率よく行うにはフレームワークの存在が不可欠です。ただしそれぞれのフレームワークに特徴があるため、開発したいシステムの性質や規模に応じて適切なものを選びましょう。フリーランスエンジニアが応募したい求人案件もフレームワークの経験を求められることが増えました。
もちろん、便利な反面、学習コストや依存リスクもありますが、それを上回る価値があるのは間違いありません。
特にフリーランスを目指す方にとっては、Javaのフレームワークのスキルは高単価案件への登竜門です。ぜひ、PE-BANKを活用しながら、自分の理想とする働き方やプロジェクトにチャレンジしてみてください。
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