システムエンジニア(SE)の平均年収は?年齢・企業規模別に解説

システムエンジニア(SE)の平均年収はどれくらいなのでしょうか。また、同じシステムエンジニアとして働いていても、年収が平均よりも少ない人もいれば、1,000万円を超える人もいるのはなぜなのでしょうか。
本記事では、システムエンジニアの最新の平均年収や年収アップを目指す方法、キャリアパスについても紹介します。
システムエンジニアはシステムの設計を行う専門家
システムエンジニアとはどのような職種なのか、まずは仕事内容や役割について整理しておきます。
システムエンジニアとは、情報システムやソフトウェアの開発において、システムの設計を行う専門家です。また、場合によってはシステムの構築、導入後の運用・保守などに携わることもあるでしょう。
設計をメインに行うシステムエンジニアは、システムやソフトウェア開発のプロセスにおいて、主に「上流工程」と呼ばれる領域を担当します。具体的には、クライアントからの要望をヒアリングし、システム企画、要件定義、基本設計、詳細設計などを行います。これらは後続する「下流工程」の基礎となり、開発プロセス全体の効率性・効果性を高め、最終的なプロダクトの品質を担保するために欠かせない重要な役割です。
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システムエンジニアの平均年収
令和5年(2023年)の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、システムエンジニア(Webサイト開発・業務用システム)の年収は、全国平均で約557万6,000円で、年齢の平均は38.6歳です。
一方、国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、2023年の日本の全職種の平均年収は約460万円でした。これと比較すると、システムエンジニアの給与水準は平均よりも高いことがわかります。
参考元:
厚生労働省「システムエンジニア(Webサイト開発)職業詳細」
厚生労働省「システムエンジニア(業務用システム)職業詳細」
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
年収は企業規模や会社の業績などで変わる
システムエンジニアの年収は、企業規模や業績によって大きく変動します。例えば、大手企業ではプロジェクトが大規模で複雑になるため、高度なスキルが求められ、報酬も高くなる傾向があります。一方、中小企業では少人数で多くの業務をこなす必要があり、スキル次第で高い評価を得ることも可能です。
また、業績が良い企業では賞与や昇給が期待できる一方、不安定な企業では給与水準が低下するリスクもあります。
ほかにも、システムエンジニアの年収は、年齢や勤務地による地域差、性別、職種・業種、スキルレベルも影響し、特に都市部では給与水準が高い傾向にあります。これらの要素を踏まえ、さらに詳しくデータを見ていきましょう。
年齢別システムエンジニアの平均年収
システムエンジニアの給与は幅広く、平均年収の約557万円を大きく超える人もいれば、初任給レベルの方もいます。
以下は、システムエンジニアの年齢別の平均年収を示した表です。
■年齢別のシステムエンジニアの平均年収
年齢 | 平均年収 |
---|---|
~19歳 | 256万8,300円 |
20~24歳 | 341万4,800円 |
25~29歳 | 453万9,100円 |
30~34歳 | 512万6,300円 |
35~39歳 | 597万6,400円 |
40~44歳 | 646万900円 |
45~49歳 | 674万6,200円 |
50~54歳 | 679万5,700円 |
55~59歳 | 732万1,700円 |
60~64歳 | 539万4,100円 |
65~69歳 | 459万1,300円 |
70歳~ | 406万900円 |
参考元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、システムエンジニアの年収は、年齢とともに上昇し、55~59歳でピークの732万1,700円に達します。
若手の20~24歳では341万4,800円ですが、30代で500万円を超え、40代には平均600万円以上となり、キャリアの積み重ねが収入に反映されます。60歳以降は年収が減少し、70歳以上では約400万円まで下がる傾向があり、定年や勤務形態の変化が影響していると考えられるでしょう。
なお、システムエンジニアのキャリアパスは、最初からシステムエンジニアとして働いて経験を積んでいくケースと、プログラマーから始めて、システムエンジニアへとキャリアアップするケースがあります。
このうちプログラマーから始める場合は、元々システムエンジニアより年収が低いことも多いため、システムエンジニアにキャリアアップしたときに年収が一気に増える可能性もあるでしょう。
地域別システムエンジニアの平均年収
システムエンジニアの年収は地域によっても差があります。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」では、東京都や千葉県、栃木県などの関東、大阪府、京都府などの関西と愛知県は、約570万~600万円と高い水準です。一方、北海道・東北、九州といった地方の一部では400万円台など、やや低い傾向があります。
高収入の上位3県は、京都府の608万4,000円、愛知県の596万5,000円、栃木県の586万7,000円でした。大都市圏や工業地帯を含む地域は、年収が高い傾向にあるようです。反対に年収が低かったのは、沖縄県の402万6,000円、奈良県の407万7,000円、宮崎県の422万円という結果でした。
■都道府県別のシステムエンジニアの平均年収
地域 | 平均年収 |
---|---|
京都府 | 608万4,000円 |
愛知県 | 596万5,000円 |
栃木県 | 586万7,000円 |
大阪府 | 584万5,000円 |
岐阜県 | 579万9,000円 |
東京都 | 571万7,000円 |
埼玉県 | 568万9,000円 |
千葉県 | 567万7,000円 |
愛媛県 | 562万7,000円 |
兵庫県 | 557万9,000円 |
参考元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
男性・女性ごとの平均年収
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、システムエンジニア(システムコンサルタント・設計者、企業規模10人以上)の平均年収は、男女間で差が見られます。
この顕著な男女間の年収差は、平均的な経験年数や勤続年数、さらには管理職や上級職への登用の違いがあると考えられます。
■性別別のシステムエンジニアの平均年収
性別 | 平均年収 |
---|---|
男性 | 約706万1,600円 |
女性 | 約560万7,500円 |
※平均年収算出方法:きまって支給する現金給与額×12ヵ月+年間賞与そのほか特別給与額
参考元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
職種別・業種別システムエンジニアの平均年収
社内システムエンジニアは、主に自社内のITシステムやインフラの設計・運用・保守を担当するシステムエンジニアで、社員からの問い合わせ対応やヘルプデスク業務を行うこともあります。平均年収は460万円~580万円程度です。
それに対し、SIer(システムインテグレーター)のシステムエンジニアは、顧客企業向けにシステムの設計・開発・運用を請け負います。要件定義や設計など上流工程から保守まで幅広く対応し、複数の顧客プロジェクトを並行して進めることもあります。平均年収は約400万~650万円程度ですが、大手SIerでは700万円以上や1,000万円超えも可能です。プロジェクト規模や専門性によって、報酬が変動します。
企業規模別システムエンジニアの平均年収
企業の規模によっても、システムエンジニアの年収は異なります。大企業(1,000人以上)の場合、平均年収は約748万300円と、全体の中でも最も高い水準です。これは、プロジェクトの規模が大きく、業務の専門性が高いため、高い報酬が支払われることが要因と考えられます。
一方、中堅企業(100~999人)では646万5,200円、中小企業(10~99人)では678万3,500円と、大企業よりやや低めの水準となっています。ただし、企業の規模が小さいからといって必ずしも収入が低いわけではなく、専門性の高い業務を任されることで高収入を得るエンジニアも少なくありません。
■企業規模別システムエンジニアの平均年収
企業規模 | 年収 |
---|---|
10~99人の企業 | 678万3,500円 |
100~999人の企業 | 646万5,200円 |
1,000人以上の企業 | 748万300円 |
参考元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
スキルレベル別システムエンジニアの平均年収
システムエンジニアの年収は、ITスキル標準(ITSS)のレベルによって大きく異なります。厚生労働省が2023年度に実施した「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」によると、スキルレベルが上がるほど年収も上昇する傾向があることがわかりました。
■設計・構築エンジニアの年収(ITSSレベル別)
ITSSレベル | 平均年収 |
---|---|
レベル1~2 | 420万~620万円 |
レベル3 | 450万~700万円 |
レベル4 | 500万780万円 |
レベル5以上 | 600万~950万円 |
■ソフトウェア開発スペシャリストの年収(ITSSレベル別)
ITSSレベル | 平均年収 |
---|---|
レベル1~2 | 435万~600万円 |
レベル3 | 450万~695万円 |
レベル4 | 500万~750万円 |
レベル5以上 | 550万~866万円 |
参考元:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」
この表から、レベル1~2のエンジニアは年収420万円程度ですが、レベル5以上になると950万円近くに達することがわかります。スキルレベルの向上が収入アップに直結するため、特定の技術を深めたり、資格を取得したりすることが有効です。
特に、クラウド技術、AI・データサイエンス、プロジェクトマネジメントなどのスキルを身につけると、市場価値が上がり、高収入が狙える傾向にあります。スキル習得を重ねることで、キャリアの選択肢を広げ、より高い年収を目指すことができるでしょう。
システムエンジニアの年収に影響する要因
システムエンジニアの年収は、どのような要因に影響を受けやすいのでしょうか。次に年収アップにつながるポイントを見ていきます。
プログラミング言語
システムエンジニアの年収は、扱うプログラミング言語によって変動することがあります。特定の言語は最新の技術トレンドや市場のニーズと直結しているため、それらのスキルを持つエンジニアの市場価値が高まり、高単価の案件や求人が増える傾向があります。
ここ数年で特に需要が高まっているのが、Go・Scala・Pythonなどの言語です。転職市場においても、これらの言語を得意とするシステムエンジニアは、Web系やデータ分析、AI関連分野などの先端技術を扱うプロジェクトにおいて高く評価され、平均より高い年収を得やすい傾向にあります。
ただし、多くのシステムエンジニアやSIerは、業務系システムの開発や保守などの業務に携わり、Java、C#、COBOLなどの言語を使用しています。そのため、特定の言語スキルだけでなく、幅広い知識と経験を積むことも、長期的なキャリア形成に不可欠です。
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企業規模と開発規模
システムエンジニアの年収は、企業の規模や開発プロジェクトの規模によっても大きく変動します。
最も高い年収が期待できるのは、1,000人以上の大規模企業です。大手企業では開発プロジェクトの規模が大きく、システムの設計や運用に高度なスキルと責任が求められるため、それに見合った報酬が支払われる傾向があります。特に、上流工程を担当するアーキテクトやプロジェクトマネージャーのようなポジションは、年収800万円以上も珍しくありません。
一方で、興味深いのは100人未満の小規模企業が、100~999人の中堅企業よりも平均年収が高いという点です。これは、小規模企業では個々のスキルが企業の成果に直結しやすいため、高度な技術を持つエンジニアがより高く評価されやすいことが要因と考えられます。また、人数が少ないぶん、個々の裁量が大きく、直接企業の成長に貢献できることが多いため、スキルと経験次第では高年収を得るチャンスが広がります。
正社員からフリーランスまでの雇用形態
システムエンジニアの働き方には、正社員・契約社員・派遣社員・フリーランスなど、さまざまな雇用形態があります。以下で、それぞれの雇用形態の特徴と年収について解説します。
正社員の場合
正社員として働くシステムエンジニアの平均年収は420万~800万円程度とされており、安定した収入を期待できる雇用形態です。長期的なキャリアパスを築きやすく、企業内で経験を積むことで順次昇給していくのが一般的です。
反面、企業によっては長時間労働や残業が求められ、ワークライフバランスに課題が生じるケースもあります。また、ひとつの企業に長くとどまることでキャリアの停滞が生じ、一定の年齢に達すると年収が上がらなくなるケースも少なくありません。
契約社員の場合
契約社員の平均年収は350万~750万円程度で、一般的に正社員より低い傾向があります。賞与が支払われないケースも多く、年間の総収入は他の雇用形態と比べると不安定になりやすい一方で、短期間でスキルを磨きやすく、転職やフリーランスへのキャリアチェンジがしやすいというメリットもあります。
ただし、登録型派遣と常用型派遣では状況が異なり、登録型派遣の場合は契約が切れると無収入となるため、安定性に欠ける点がデメリットです。
フリーランスの場合
フリーランスの年収は500万~1,000万円を超えることもあり、プロジェクトの数や種類、契約条件によって大きく変動します。高度に専門的なスキルを持つフリーランスのシステムエンジニアは、高い時給やプロジェクトの単価を提示することで、高収入を得られる可能性があります。
ただし、高額案件に携わるには、それだけ高いスキルと実績が求められるでしょう。フリーランスは、最も能力による収入差が大きい雇用形態といえます。
システムエンジニアが年収1,000万を目指す方法
システムエンジニアとして年収1,000万円を達成するには、スキルの向上、キャリアの選択、働き方の工夫が必要です。以下のポイントを押さえることで、高収入を実現しやすくなります。
スキルセットを拡充する
高度な技術スキルを習得、あるいは資格を取得することで、より高い給与を提示される可能性があります。特に需要の高い最新の技術トレンドやプログラミング言語、特定の専門分野を極めることが有効です。
ただし、トレンドは徐々に移り変わっていくため、システムエンジニアは常に新しい知識を学び、新たなスキルセットの拡充を図ることが求められます。
業績の実証と交渉スキルを向上させる
プロジェクトでの成功を定量的に示すことができれば、報酬アップの交渉材料となります。また、会社であれば給与交渉、フリーランスであればギャランティ交渉をするためにスキルを磨くことで、より良い条件を勝ち取ることができるでしょう。
キャリアを重ねて実績を積んでいるのであれば、適切なタイミングと方法で正当な報酬を得るための交渉は、システムエンジニアの仕事の一部といえます。
高い年収が見込める企業への転職する
システムエンジニアとしての自身の市場価値を正確に把握すれば、より高い給与を提示してくれる企業を見つけることができます。
比較的年収が高い企業としては、大手企業や外資系企業、成功した自社製品やサービスを持つ企業などが挙げられるでしょう。また、大手企業から少数精鋭の開発会社に転職することで年収がアップするケースもあります。
プロジェクトマネージャーなど別職種への転身する
ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーへの転身を図るというキャリアパスを目指す方法も、有効です。システムエンジニアとしての経験を活かしつつ、プロジェクト全体の管理やチームリーダーとしての役割を担うことで、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなど責任の大きなポジションを目指すことができます。これらの職種に転身することで、システムエンジニアより高い年収が期待できるでしょう。
フリーランスとして活動する
高度なスキルや知識、実績を持つシステムエンジニアは需要が高く、フリーランスとしても多くの企業からオファーを得ることが可能です。
フリーランスのシステムエンジニアは、クライアントとなる企業と「業務委託契約」を結び、特定のプロジェクトに参加するという形で仕事を受注するのが一般的です。仕事内容や担当範囲、期間、報酬額などはクライアントと交渉して決めます。
報酬はスキルや実績、具体的な業務内容を踏まえて決められます。特に要件定義などの上流工程を担当する場合は、月単価70万円程度が相場とされます。中には高額案件を継続的に受けることで、1,000万円を超える年収を得ているシステムエンジニアもいます。
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資格を取得する
システムエンジニアのスキルと知識を客観的に証明するのが、資格取得です。雇用主や顧客に対して自身の能力を明確に示すことができ、より高度な業務や責任ある立場を任される可能性が高くなります。市場価値の向上にもつながり、年収アップが期待できます。
年収1,000万円を狙うために、次のような資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
・基本情報技術者試験、応用情報技術者試験
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験は、経済産業省が認定し、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。特に応用情報技術者試験を取得すれば上流工程の仕事に携わる機会が増え、年収アップにつながる可能性が高まります。さらに高度な知識・技能を示す高度情報処理技術者試験もあります。
・システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験も、同じく国家資格のひとつです。高度なITスキルと専門知識を持つエンジニアを認定します。上級エンジニア向けで、取得することで高度な技術力を認められ、キャリアアップにも大きく貢献します。
・ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークシステムの設計・構築・運用に関する高度な知識とスキルを認定する国家資格です。多くの企業で、資格保有者に対して資格手当を支給していている資格といわれています。
・ORACLE MASTER(オラクルマスター)、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)、Cisco(シスコ)認定などのベンダー資格
ORACLE MASTER(オラクルマスター)、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)、Cisco(シスコ)認定などのベンダーが提供・認定する資格も有効です。特定の製品や技術に関する操作・管理スキルを証明するもので、難度の高い上位資格を取得するほど実務に直結する即戦力としての評価を得やすく、年収アップに結びつく可能性が高くなります。
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システムエンジニアとしてのキャリアをどう進めるか
実績に加えて、トレンドに即した知識やスキルを持つシステムエンジニアであれば、現状よりもさらに高い年収を得ることが可能です。ただし、そのためには今後のキャリアパスについて戦略的に捉え、自身の市場価値を高めるためのルートを歩んでいく必要があります。企業内でのキャリアアップだけでなく、フリーランスとして活躍するという選択肢も視野に入れることをおすすめします。
「PE-BANK」は、フリーランスをサポートするエージェントとして、システムエンジニアが本来の仕事に注力できるよう、案件の提案から事務作業まで一括して請け負います。フリーランスエンジニアという働き方に興味がある方は、PE-BANKにご相談ください。

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