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新型コロナウイルスの影響で、売上や収入が下がった方は多くいるでしょう。特にフリーランスの方は、収入がゼロの時期もあるかもしれません。
事業を継続するためにも、改めて持続化給付金などフリーランス向けの給付金について知識を整理しておきましょう。なかには、税金や社会保険料に関するものもあります。
事業継続に向けてより良い対策を模索中の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
新型コロナでフリーランスが使える支援策には給付金以外の種類もある
新型コロナウイルスの影響を受けた、フリーランスのITエンジニアなどが使える支援策には、給付金を中心にいくつかの種類が用意されています。
・給付:公の機関などから支援金や給付金をもらえるもの
・融資:金融機関などからお金を借りられるもの
・減免:支払う義務のある税金や料金の負担が軽くなったり、支払いが免除されたりするもの
・猶予:税金や料金などの支払いを先送りしてもらえるもの
フリーランスが利用可能な支援策のなかには、コロナ禍によって新設されたものの他に、従来から存在していた制度もあります。また、利用可能な要件や主催機関もさまざまです。したがって、新型コロナウイルスの影響を受けたフリーランスの皆さんは、自分に合ったものを上手に組み合わせながら、仕事や収入の減少に対応すると良いでしょう。
【給付金】新型コロナでフリーランスが使える支援策
フリーランスが使える可能性の高い給付金・補助金には、新型コロナウイルスの影響を鑑みて新設されたものが多い傾向にあります。また、これらの支援策では、政府による予算追加や追加募集も続いているのが現状です。
したがって、ここでは、2020年11月5日時点の調査情報として3つの給付金を紹介していきます。これから給付金の申請手続きをする方は、主催機関の公式ホームページで詳細を確認してください。
持続化給付金
持続化給付金とは、中小法人の他に、フリーランスを含む個人事業主も広く対象とする新設の給付金です。給付対象者の基本要件は、大きく分けて以下の2つになります。
1.2019年以前から事業収入(売上)を得ていて、今後も事業継続する意思がある
2.フリーランスなどの個人事業主で、雇用契約によらない業務委託契約などに基づく事業活動の収入を、主たる収入として給与所得または雑所得で確定申告をしている
持続化給付金の申請をするには、上記のいずれかに該当していて、2020年1月以降に新型コロナウイルスの影響で前年同月比の収入が50%以上減少した月がある、という条件を満たす必要があります。
持続化給付金では、この他にも2019年に設立した法人や、季節性の収入を得ている事業者などへの特例も設けています。 新型コロナウイルスによって大幅な収入減となったフリーランスの方は、まずは中小企業庁のサイトを確認して、自分が給付対象者に該当するかどうかを確認してみましょう。
持続化給付金の申請が承認されると、最大100万円が支給されます。ただし、持続化給付金は課税対象となりますので、確定申告時には雑収入として記載するようにしてください。
家賃支援給付金
家賃支援給付金とは、新型コロナウイルスの影響を受けた法人、個人事業主、フリーランスの地代や家賃の負担軽減を目的とした給付金です。個人事業主やフリーランスの場合、最大300万円の給付を受けられます。
家賃支援給付金の給付申請をするときには、まず2020年5月~12月の間に以下のいずれかに該当する売上減少月がある、という条件をクリアする必要があります。
1.1ヵ月間の売上が、別途同月比と比べて50%以上減少
2.連続する3ヵ月間の売上が、別途同時期と比べて30%以上減少
この他にも、2019年12月31日以前から事業収入を得ていて今後も継続の意思がある、自分で営む事業のために他人の土地や建物を直接専有している、など事業収入や土地占有に関しての条件もあります。
詳しくは、中小企業庁が開設する専用サイトを確認してみてください。
住宅確保給付金
住宅確保給付金は、コロナ禍の前からある制度です。具体的には、以下のようなケースに該当する場合に、市区町村が定める額を上限に家賃額の原則3ヵ月分を支給する制度になります。
1.主たる生計維持者であるフリーランスや事業主が離職・廃業後2年以内である場合
2.フリーランス個人の都合や責任とは関係なく、給与などを得る機会が廃業や離職と同程度まで減少した場合
この「市区町村ごとに定める額」とは、生活保護制度の住宅扶助額のことです。支給された給付金は、不動産会社や賃貸人に自治体から直接支払われます。延長は2回まで可能となっており、最大9ヵ月の支払いが可能です。
詳しくは、厚生労働省ホームページ内の制度概要を確認してください。
【減免・猶予制度】新型コロナでフリーランスが使える支援策
新型コロナウイルスが原因で収入が減少した場合、税金や年金の減免・猶予制度も利用できる可能性があります。
国民健康保険
厚生労働省では、国民健康保険の加入世帯のうち、新型コロナウイルスの影響で主たる生計維持者に以下が該当した場合に、国保税の全部もしくは一部が減免になる支援策を発表しています。
1.新型コロナウイルスの影響で、主たる生計維持者が重篤な傷病もしくは死亡したとき
2.新型コロナウイルスの影響で、主たる生計維持者の事業収入の減少が見込まれ、所得の合計金額や減少割合に関する以下すべての要件に該当するとき
・主たる生計維持者の事業収入等のいずれかの減少額が、前年の事業収入等の30%以上であること。
・主たる生計維持者の前年の所得の合計額が1,000万円以下であること。
・主たる生計維持者の減少することが見込まれる事業収入等に係る所得以外の前年の所得の合計額が400万円以下であること。
この制度の対象期間は、令和2年2月1日~令和3年3月31日までを納期限とする平成31年度分および令和2年度分です。
指定書類ともに、2019年分の確定申告書の控えと、2020年の売上台帳や帳簿の写しなども必要になります。
詳しい手続きの流れや要件などは、各自治体のホームページを確認してください。
国民年金
国民年金保険料についても、令和2年5月1日から臨時特例免除申請の受付を開始しています。対象となるのは、以下に該当する方です。
1.新型コロナウイルスの影響で2020年2月以降の収入減
2.2020年2月以降の所得が、国民年金の減免・猶予制度に該当しそうな場合
この免除申請は、すでに通常の減免申請をしている人でも受付可能です。詳細は、日本年金機構のホームページを確認してください。
【融資制度】新型コロナでフリーランスが使える支援策
持続化給付金などの要件に該当しないフリーランスの方は、無利子や低金利でお金を貸し付けてもらえる制度の利用も検討してみてください。
生活福祉資金の特例貸付
生活福祉資金の特例貸付は、各都道府県の社会福祉協議会が主催しているものです。本来の生活福祉資金は、低所得世帯向けの制度になります。新型コロナウイルスの影響を受けた世帯や個人の多い2020年は、償還免除の特例を設けた貸付というように少し制度内容を変えて実施しています。
この制度には、休業した人向けの緊急小口資金と、失業した人向けの総合支援資金があります。
緊急小口資金は、新型コロナウイルスの影響で収入減少した世帯を対象とするものです。貸付上限は20万円以内となっており、据置期間は1年以内、償還期限は2年以内です。保証人不要の無利子でお金を貸し付けてもらえます。
一方で総合支援資金は、新型コロナウイルスの影響で収入減少や失業、生活困窮状態になった世帯を対象とするものです。貸付金額は、2人以上で月20万円、単身世帯の場合は月15万円以内になります。貸付期間は原則3ヵ月となっており、据置期間は1年以内、償還期限は10年以内です。こちらも保証人不要の無利子で貸し付けてもらえます。
この貸付制度の詳細は、厚生労働省で公開しているこちらの資料を確認してください。
日本政策金融公庫による融資
最後に紹介するのは、日本政策金融公庫が一時的に業績悪化した方を対象に行なっている新型コロナウイルス感染症特別貸付です。こちらの貸付上限金額は8,000万円となっています。据置期間は5年で、設備資金の場合は20年以内、運転資金は15年以内に返済する仕組みです。
利用条件は、以下のいずれかに該当するとともに、中長期的な業績回復や発展が見込める人になります。
1. 最近1ヵ月の売上高が、前年もしくは前々年の同期と比べて5%以上減少している
2.業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が以下のいずれかと比較して5%以上減少している
・過去3ヵ月(直近1ヵ月を含む)の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月~12月の平均売上高
貸し付けられたお金には、日本政策金融公庫の基準利率が適用されます。申し込み後は、日本政策金融公庫による審査が行なわれる流れです。
詳しくは、日本政策金融公庫のサイトを確認してください。
まとめ
フリーランスや個人事業主には、新型コロナウイルスによる売上減少時に利用できる多くの支援金や給付金が用意されています。こうした制度を上手に活用することで、コロナ禍でも事業の継続がしやすくなるでしょう。
ただし、持続化給付金などの場合は、2021年1月15日までといった申請期限が設定されています。そのため、すでに売上減少によって支給要件をクリアしているフリーランスの方は、なるべく早めに申請手続きを進めたほうがよいでしょう。
また給付金については、課税対象となり確定申告が必要となる場合がございますのでご留意下さい。