更新日:
データベースを扱う多くの現場で必要となるSQLは、ITエンジニアなら習得しておいて損はないスキルです。ただ、初心者のなかには、その概要やプログラミング言語との違いなどがよくわからない方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、SQLとは何か、どのようなことが実現できるかについて、データベース初心者の方にもわかりやすく解説します。知識習得のための学習方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
SQLとは
SQLとは、データベースを操作するための言語として、最も普及しているデータベース言語のことです。
データベースとは、さまざまなデータを効率的に格納し、検索・更新・削除などのデータ管理ができるように整理された、情報の集合体を指します。データベースの構造には階層型やネットワーク型などいくつかの種類がありますが、一般的にはリレーショナルデータベース(RDB)がよく使われています。RDBは、表形式イメージでデータを管理するデータベースで、SQLはこのRDBを操作する言語にあたります。
SQLによる具体的な操作としては、データベースへのデータの格納や更新、削除などがあります。SQLは世界的に普及しており、SQLの知識さえあれば多くの現場でデータベースの操作が可能となるので、ITエンジニアとしてはぜひ習得しておきたいスキルの一つです。
SQLとプログラミング言語の違い
SQLはデータベース言語であり、JavaやPHP、Cなどのプログラミング言語とは明確に異なります。SQLとプログラミング言語の違いのポイントを以下の表にまとめました。
言語 | 言語のタイプ | 用途 | 特徴 |
---|---|---|---|
SQL(データベース言語) | 非手続き型言語 | データベースの操作 |
・データベースに対して処理を命令する ・プログラミング言語のように処理の流れを記述することはない |
プログラミング言語 | 手続き型言語 | ソフトウェアの開発 |
・プログラムを作成して、どのような処理を行なうのか一連の流れを記述する ・データベース言語に比べて複雑であり、言語の種類はJavaやPHPなど数千種類 にもおよぶ |
SQLを利用してできること
次に、SQLを利用してできることについて紹介します。
データの検索
データベース内のデータを検索し、条件に合うものを抽出・参照できます。検索の際、検索条件の詳細な指定も可能です。
例えば、「指定した日付に登録されたデータ」のように値を指定して抽出できるほか、「特定の金額内で購入されたデータ」のように範囲指定の条件でも絞り込みが行なえます。
データの取得・登録・更新・削除
データベースに存在する、データの取得や登録・更新および削除などの操作を行なえます。取得・更新・削除対象とするデータは前述のように検索条件で指定できるため、特定のデータのみをピンポイントで操作することが可能です。
テーブルの作成・更新・削除
RDBではデータの種類やまとまりごとに「テーブル」と呼ばれるデータ格納領域を作って管理します。テーブルは表形式で、Excelのシートのようなイメージでデータを管理しています。
例えば、商品販売に関するデータベースの場合、商品情報を管理するテーブルや、注文情報を管理するテーブル、顧客名簿を管理するテーブルなど、データの属性によって複数のテーブルで管理するのが一般的です。
SQLは、このテーブル自体の作成や削除、テーブルに列を追加するなどの更新を行なえます。
SQLの種類
SQLは、大きく分類すると3つの種類の命令文から形成されています。以下では、それぞれの違いを解説します。
データ定義言語(DDL)
DDLは、データベースの定義に関わる命令文です。テーブルの作成・更新・削除や、複数のテーブルを格納しているデータベースそのものを作成・更新・削除する際などに使われます。
CREATE | データベース・テーブルの作成 |
---|---|
TRUNCATE | テーブル内の全データ削除 |
ALTER | データベース・テーブルの変更 |
DROP | データベース・テーブルの削除 |
データ制御言語(DCL)
DCLは、データベースへのアクセス権限の制御や、トランザクションの管理を行なうための命令文です。
トランザクションとは、データ検索や更新などの複数処理をまとめた単位で、ユーザーが始まりと終わりを任意に指定できます。トランザクションが終わったタイミングで確定すればそれまでのデータ更新などが確定され、取り消されればデータはトランザクション開始前の状態に戻ります。
GRANT | アクセス権限の付与 |
---|---|
REVOKE | アクセス権限の取り消し |
COMMIT | トランザクションの確定 |
ROLLBACK | トランザクションの取り消し |
データ操作言語(DML)
DMLは、データの取得・登録・削除・更新など、データ操作に関する命令文です。テーブル名と検索条件を指定することで、特定のデータについて削除・更新などの操作を行なえます。
SELECT | データの取得 |
---|---|
UPDATE | データの更新 |
DELETE | データの削除 |
INSERT | データの追加 |
SQLの基本用語
ここでは、SQLを扱ううえで絶対に欠かせない基本用語について解説します。
レコード
レコードとは、テーブルの横1行を構成するデータのことです。「テーブル」や後述する「カラム」がそれぞれ名前の付けられた「場所」を指すのに対し、レコードはデータそのものを指す用語です。
カラム
カラムは、テーブルに格納されたデータを縦方向にまとめて指す言葉で、表における列にあたります。例えば、商品情報に関するテーブルを例にすると、商品ID、商品名、価格などのカラムが考えられます。
フィールド
データベースに格納されたデータの最小単位のことをフィールドと呼びます。Excelでいうと「セル」と呼ばれる単位がフィールドです。フィールドの集まりがカラムやレコードになります。
プライマリーキー
プライマリーキーは「主キー」とも呼ばれ、レコードを一意に識別するためのカラムのことを指します。テーブル作成においては、どのカラムを主キーとするか設定する必要があります。なお、テーブル内で主キーに格納されている値の重複は許されません。
例えば、会員情報を管理するテーブルを作成する場合、会員IDなどを主キーに設定するとよいでしょう。もし同姓同名の会員がいたとしても、プライマリーキー(主キー)を利用することで、参照や更新したいレコードを一意に指定できます。
SQLでよく利用されるデータベース
SQLが利用できるRDB型のデータベースソフトには、いくつか種類があります。ここではよく利用されているデータベースを紹介します。
MySQL
MySQLは、最も利用者数が多いデータベースであり、商用でなければ無料で利用できる点や初心者でも導入がしやすい点がメリットです。
Oracle社が開発した製品で、同社による保守があるため、Twitterなどの大企業でも利用されています。
PostgreSQL
PostgreSQLは、オープンソースのデータベースシステムです。WindowsとUNIX系のOSに対応しています。
Oracle Database
Oracle Databaseは、世界中で利用されているデータベースであり、日本国内で利用されているリレーショナルデータベースシステムのなかでも、圧倒的なシェアを誇ります。
データベースを遠隔地に複製する機能など、障害に対する機能が優れており、高い堅牢性を持つのが特長です。
SQLite
SQLiteは、簡易的に利用できるオープンソースのデータベースで、各ソフトウェアに組み込んで使用します。 設定が必要ない自己完結できるデータベースであり、外部のプラットフォームに依存しません。
SQLの重要性
近年話題のビッグデータ活用によるマーケティングにおいても、SQLは重要な役割を担っています。なぜなら、ビッグデータの処理を行なうためのインターフェースとして、SQLが提供されているのが一般的なためです。データ解析に必要なSQLの需要は、今後も増加していくでしょう。
以上のことから、データの活用がますます重要視される世のなかにおいて、SQLに関するスキルの重要性も一層増していくと考えられます。
SQLの学習方法
SQLの学習方法について解説します。
書籍
SQLに関する書籍はたくさん出版されているので、自分の知識レベルにあった書籍を手に入れて勉強するのがおすすめです。まったくの初心者の場合は、データベースの概要などを含む基礎知識や、基本的なSQL命令文を学べる書籍から手に取るとよいでしょう。初級者レベルでは物足りない場合は、より高度なSQL活用方法などに言及した書籍も販売されています。
オンライン学習フォーム
昨今はオンライン学習フォームが充実しており、受講者個人のレベルにあったカリキュラムを選べます。実際にSQL文を書きながら習得できる点、学習サポートを受けられる点などがメリットです。
オンライン学習は、隙間時間を効率的に活用して勉強したい方や、独学ではモチベーションの維持に不安がある方におすすめの方法です。
スクール
スクールに通ってSQLを学ぶ方法もあります。エンジニア経験のある講師にマンツーマンで教わることも可能なので、しっかり勉強したいと考えている方におすすめの学習方法です。
まとめ:
SQLは、リレーショナルデータベース(RDB)を扱うための必須スキルであり、世界中の多くの現場で利用されているデータベース言語です。ビッグデータ社会の到来もあり、SQLの重要性はさらに確固たるものとなっています。RDBにもいくつかの種類がありますが、SQLはそれらを扱う共通のインターフェースとして提供されているため、ITエンジニアなら習得しておきたい知識の一つです。
SQLを習得するには、市販の書籍をはじめとして、さまざまな学習プラットフォームが存在します。自身のレベルや学習スタイルに合わせて学習方法を選択し、知識を身に付けてみてはいかがでしょうか。