プログラミング言語の「Swift」とは？メリットやアプリ開発例も解説

Swiftが開発される以前は、Apple製品向けのアプリ開発はおもに「Objective-C」で行なわれていました。しかし、SwiftとObjective-Cにはいくつかの違いがあります。

まず、動作速度に関していえば、SwiftはObjective-Cと比較して高速です。実際に、Swiftは最大でObjective-Cより2.6倍速く動作する といわれています。

また、SwiftとObjective-Cは相互に利用できるため、既存のObjective-Cのコードを残しつつ、部分的にSwiftへ置き換えるといったことも可能です。ただし、Swiftは新しい言語なので、文法としてはObjective-Cとの互換性はありません。

Swiftのインタラクティブモードにも注目すべきでしょう。Swiftにはデフォルトで対話型実行環境が組み込まれており、プログラムを1行ずつ実行しながら結果を確認できるため、素早いテストやデバッグを可能としています。

Swiftは、将来性が高いプログラミング言語の一つです。その理由には、Apple製品の需要がある限り、Swiftエンジニアのニーズが見込める点が挙げられます。

AppleはiPhoneやMacなどの人気製品を提供し続けており、その需要は安定しています。そして、SwiftはAppleの公式言語で、Apple製品向けのアプリ開発に不可欠な存在です。したがって、Swiftのスキルを持つ人材は、需要のあるポジションを獲得できる見込みが高いといえるでしょう。

実際に、求人サイトを見てみても、Swiftを使ったアプリ開発案件は安定して募集がある傾向にあります。また、Swiftのスキル・知識を身に付けることで、エージェントサービスなどを活用して、フリーランスとして活動する道もあります。

Swiftは、プログラミングのしやすさに定評があります。RubyやPythonといったスクリプト言語のように書きやすさ・読みやすさを備えており、直感的なコーディングが可能です。

また、Swiftは文の終わりにセミコロンをつけなくても問題ありません。セミコロンはほかのプログラミング言語で頻繁に使用される記号ですが、Swiftでは自動的に文の終わりを認識します。

さらに、Swiftには型の推論機能も備わっています。変数や定数の型を明示的に指定しない場合に自動で推測してくれるため、初心者にとっては特に有益でしょう。

Swiftのおもな開発環境は、macOS上で動作する「Xcode」です。Macがあれば、比較的容易にアプリ開発を始められるメリットがあります。Xcodeは直感的に操作でき、ドラッグアンドドロップでテキストやボタン、ラベルなどの要素を追加できます。このような使いやすいインターフェースは、開発者を強力にサポートしてくれるでしょう。

WindowsでもApple製品向けの開発は可能ですが、一部制約もあります。Windowsでは開発環境に「Xamarin」がよく用いられますが、このときSwiftは使いません。ほかの言語でApple製品向けのアプリを開発する場合でも、ビルドの際にXcodeを使用します。

以上のことから、最終的にはMacが必要になる点に注意しましょう。

Swiftの魅力の一つに、リアルタイムで動作確認が可能な「Swift Playgrounds」というアプリがあります。

従来のObjective-Cでは、実際にアプリやシステムを実行しなければ動作チェックができませんでした。しかし、Swift Playgroundsの使用により、プログラムの途中経過や記述した動作をリアルタイムで確認できます。この機能は、開発効率を大幅に向上させています。

Swiftは、Appleが販売するiPhoneやiPadなどの製品に向けた、iOS・iPadOSアプリを開発できます。Swiftを扱ったプログラミング案件のなかでもiOSアプリ開発は多い傾向にあり、アプリのジャンルもSNSアプリや業務効率化ツール、ゲームなど多岐にわたっています。

アプリ開発方法には複数のアプローチが用意されており、開発ごとに適した方法を選択できます。多くのアプリ開発において効率化につながるのが、iOSの標準的な要素を使用してユーザーインターフェース（UI）を生成する方法です。ボタンやテキストラベルなどの基本的なUI要素が利用できるため、より短期間にアプリを構築できます。

もう一つのアプローチは、画面上の要素を自身で描画する方法です。より独自性の高いデザインや操作感、臨場感を持ったアプリ開発を目指す場合は、こちらの方法を選択するとよいでしょう。

MacBookやMacBook Airなどのパソコン上で動作する、Macアプリも作成できます。Macアプリ開発に取り組むことで、パソコンというプラットフォームを深く理解し、プログラミング技術の向上にもつながるでしょう。

Macアプリ開発におけるUI生成は、iOSアプリと同様のアプローチ（標準的な要素使用、独自の要素描画）が可能です。さらに、Macアプリ開発では、GUI不要のソフトウェア生成というアプローチもあります。一部のMacアプリでは、ターミナルやバックグラウンドで動作するアプリケーションも存在しますが、SwiftではこういったGUIを必要としないアプリ開発が可能です。

Swiftでは、iPhoneなどの通知を受け取れるスマートウォッチである「Apple Watch」に向けた、watchOSアプリも開発可能です。一般的にwatchOSアプリには、ヘルスケア向けのアプリや時間を記録するアプリなどがよく見られます。

watchOSアプリは、大きく2つのタイプに分類可能です。1つ目は、Apple Watch単独で動作するアプリで、Apple Watch自体の機能やディスプレイを活用してユーザーに情報を提供します。2つ目は、Apple WatchとiPhoneを連携させて動作するアプリで、iPhoneからのデータや通知をApple Watch上で表示・操作ができます。

特に後者のタイプのアプリでは、iOSアプリの利便性を最大限に引き出すことが重要です。ユーザーがスムーズにデータの同期や操作を行なうためには、効果的なデザインと使いやすいUIが必要とされるため、開発者の技術やデザインの腕が問われるでしょう。

Swiftでは、セットトップボックスであるApple TV向けのアプリ「tvOSアプリ」を開発できます。

tvOSアプリは、Apple TV本体をテレビと接続して利用します。これにより、大画面での動画配信サービスの視聴や、iOSデバイスのコンテンツ再生などが可能です。

Apple製品向けのイメージが強いSwiftですが、Web上のアプリ・サーバー開発が行なえるのも大きな特徴です。

Objective-Cでもサーバーサイド開発は可能ですが、実際にはJavaやRubyといったほかの言語がよく用いられてきました。これに対して、SwiftにはWebアプリやサーバーサイド開発に必要なフレームワークも豊富にあります。

Swift Playgroundsは、Appleが提供しているiPadとMac用の学習アプリです。基礎的なコマンドや関数、変数などを学びながら、自身の学習レベルに合わせてステップアップできます。

Swift Playgroundsは、直感的で使いやすいインターフェースを備えているのが特徴です。例えば、わかりにくいコードをタップすると、オプションメニューが表示されてヒントを得られるなどの仕組みがあり、初心者でも学習を進めやすいでしょう。

Swiftの入門書を利用すれば、低コストで学習可能です。さまざまなテキストがありますが、図解や表が多く使用されているものは、初心者の方でも内容を理解しやすいでしょう。

ただし、書籍を読むだけでは、Swiftを使うスキルは身に付きません。基礎知識をある程度学習したら、実際にコードを記述してみるのがおすすめです。

プログラミング言語の学習サイトは、無料や有料のものが存在します。Swiftを取り扱っているか確認したうえで、自身の学習スタイルや予算に合ったサイトを選びましょう。また、無料プランと有料プランで提供内容が違う場合もあるので、事前によくチェックしておくことも大切です。

ただし、個人が公開しているサイトは、古い情報のまま更新されていないケースもあります。最新のバージョンや機能を学ぶためには、信頼性のある学習サイトや公式のドキュメントを参照し、正確な情報を得るよう心がけましょう。

プログラミングスクールでは、熟練したスキルと知識を持つ講師から直接学ぶことができます。また、講師に疑問点や不明点を直接質問できるので、学習途中で挫折する可能性も減らせるでしょう。

プログラミングスクールは受講料がかかるため、Swiftに関するスキルを本格的に仕事で役立てたい人におすすめの選択肢です。