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フリーランスエンジニアは、時間や場所に拘束されない自由な働き方ができ、さらに自分のスキル次第で幅広い仕事に携わることができるという大きな魅力がある職業です。一方で、収入について不安に思う方も少なくありません。では、フリーランスエンジニアの実際の手取り額はどれくらいなのでしょうか。
本記事では、フリーランスエンジニアの具体的な手取り額の計算方法や会社員との違い、また手取り額を増やしていくための方法について解説していきます。
フリーランスエンジニアの手取り額の計算方法
フリーランスエンジニアの場合、手取り額は以下のように計算できます。
手取り額の計算方法
フリーランスエンジニアの手取り額=売上-必要経費-税金-保険料
会社員との大きな違いは、会社員は税金や社会保険料が差し引かれた状態で給与が支払われる点です。フリーランスエンジニアの場合、売上から税金と保険料を自分で支払う必要があります。ここでいう保険料とは、フリーランスが加入できる国民健康保険か、任意継続保険のいずれかです。また年に1度の確定申告などの事務処理も必要です。
ただし、フリーランスエンジニアは必要経費の金額を柔軟に調整できるため、計上する経費を見直して税金や保険料の支払いを減らすことで、手取り額を増やす工夫が可能となります。
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フリーランスエンジニアの年収別手取り額
次に、年収に応じた実際の手取りはいくらになるのか、シミュレーションしてみましょう。年収はそれぞれ、300万円、500万円、800万円に分けて計算すると、以下のような金額になります。
手取り額は、税金、保険料などによって変わるため、今回は、東京都大田区在住の単身世帯の39歳、青色申告で確定申告すると仮定します。実際には、この手取り額から必要経費や消費税を支払う必要がありますので、ご注意ください。
年収300万円、500万円、800万円の税金や手取り額
年収 | 300万円 | 500万円 | 800万円 |
---|---|---|---|
国民年金保険料 | 19万8,240円 | 19万8,240円 | 19万8,240円 |
国民健康保険料 | 14万8,328円 | 34万128 円 | 62万7,828円 |
所得税 | 5万2,343円 | 46万6,326円 | 116万104円 |
復興特別所得税 | 1,099円 | 9,793円 | 2万4,362円 |
住民税 | 5万7,343円 | 23万8,163円 | 50万9,393円 |
手取り | 234万546円 | 344万3,150円 | 514万5,242円 |
※東京都大田区在住の単身世帯の39歳、確定申告で青色申告すると仮定した場合
※2023年12月現在の情報です。
国民年金保険料の計算
国民年金保険料は、年収にかかわらず、一律ひと月あたり1万6,520円のため、12ヵ月分の合計が年間の支払額です。
国民健康保険料の計算
国民健康保険料の金額は、国民健康保険に加入している世帯の人数、年齢と前年の所得金額をもとに世帯単位で計算します。具体的な計算方法は、自治体によって異なります。今回は東京都大田区の計算方法を利用して、計算しました。
参照元:東京都大田区「令和5年度 国民健康保険料の試算」
所得税と復興特別所得税の計算
所得税の金額は、課税所得金額×税率-控除額で計算できます。
課税所得金額は、収入から費用や所得控除額を差し引いたものです。今回の所得税控除には、青色申告特別控除分と基礎控除、保険料が含まれます。また納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下のため、基礎控除額は48万円です。
基礎控除の控除額
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
所得税率は、以下のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円から329万9,000円まで | 10% | 9万7,500円 |
330万円から694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
695万円から899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
900万円から1,799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円から3,999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
参照元:国税庁「所得税の税率」(2013年4月1日発表)
また、復興特別所得税は、所得税額の2.1%相当です。ここでは簡易的な算出方法として、所得税額に2.1%を掛けて計算しています。
住民税の計算
住民税は、所得によって変わる「所得割」と、一律に課税される「均等割」で構成されています。
所得割の税率
税金 | 標準税率 |
---|---|
市町村民税 | 6% |
都道府県税 | 4% |
合計 | 10% |
※指定都市に住所を有する者は、道府県民税2%、市民税8%となる。
均等割の税率
税金 | 標準税率(年額) |
---|---|
市町村民税(特別区民税) | 3,500円 |
道府県民税(都民税) | 1,500円 |
※東日本大震災の教訓として、各地方団体が実施する防災施策に関わる財源を確保するため、平成26年度から令和5年度分までの間、標準税率が年1,000円(市町村民税500円、道府県民税500円)引き上げられている。
大田区の場合、所得割は「(所得金額-所得控除額)×10%(特別区民税6%+都民税4%)」、均等割は特別区民税3,500円、都民税1,500円で合計5,000円です。
所得控除額は所得税と同様に、収入から費用や青色申告特別控除分、基礎控除や保険料控除を差し引いたものです。
フリーランスエンジニアと正社員のエンジニアの手取り額の違い
フリーランスエンジニア向けのエージェントに寄せられる求人情報によると、2020年時点の平均年収は792万円です。なお、フリーランスの案件・求人を紹介する「PE-BANK」に所属するフリーランスエンジニアの平均年収は847万円と全国平均よりも高くなっています。
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フリーランスエンジニアの平均年収はどのくらい?必要なスキルも紹介
これに対して、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、正社員のITエンジニアの平均年収は、522万9,700円です。
それでは、正社員とフリーランスでは、手取り額はどれくらい違うのでしょうか。年収500万円の場合の、正社員とフリーランスエンジニアの手取り額を比較してみましょう。
正社員はフリーランスエンジニアと異なり、給与所得控除が適用されます。給与所得控除は、個人事業主でいうところの経費なようなものといえます。控除額は所得によって異なりますが、年収500万円の場合は、「収入金額×20%+440,000円」です。さらに大きな違いとして、正社員は社会保険料の半分を会社が負担してくれます。これらの条件を加味して計算した際の正社員の手取り額は、392万7,569円となります。
一方、年収500万円のフリーランスエンジニアの手取り額は、前述のとおり344万3,150円です。
正社員は給与所得控除と社会保険料の半分を会社が負担する利点があるため、手取り額が多くなります。しかし、フリーランスエンジニアは平均的に高い年収を得る傾向にあり、適切な経費計上や控除により手取り額を増やすことが可能となります。
参照元:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
フリーランスエンジニアが手取り額をアップする方法
フリーランスエンジニアにとって大切なのは、手取り額をアップする方法なのではないでしょうか。そこで最後に、手取り額をアップするために取り組めることをご紹介します。
控除を活用する
フリーランスエンジニアの手取り額を増やすには、控除の活用が効果的です。売上から引かれる費用の中で、多くを占めるのが税金や保険料です。税金や保険料は収入に比例するため、売上が上がれば費用も高くなります。所得税や住民税は、収入から経費や控除額を引いた金額に基づいて計算されるため、控除が増えるほど税金の負担を減らすことができます。
例えば、青色申告特別控除を利用すると、確定申告により最大65万円の控除が可能です。また国民年金基金に加入することで、支払った上乗せ分の年金を受け取りつつ、保険料控除として処理できます。ほかにも小規模企業共済、経営セーフティ共済など、フリーランスエンジニアが控除できる制度が多くあるので、必要に応じて活用しましょう。
必要経費を計上する
フリーランスエンジニアが手取り額をアップするには、必要経費の計上を積極的に行うことも必要です。控除と同じように、収入から必要経費を差し引いた金額が所得税や保険料の計算基準となるため、適切に必要経費を計上することで、これらの支出を削減できます。
必要経費とは、事業を行うために使用した費用のことで、通勤にかかる交通費、仕事で使うスマホの通信費やパソコンの購入費、作業するときに使用したカフェ代など、さまざまなものが含まれます。見落としがちですが、リモートワーク等で自宅をオフィスとして使っている場合は、家賃や光熱費も一定割合を経費に計上することも可能です。何が必要経費になるかをあらかじめ把握し積極的に計上することで、税金や保険料を減らし、結果として手取り額を増やすことができるでしょう。
クライアントに向けて単価交渉をする
フリーランスエンジニアの手取り額を増やす方法のひとつとして、現在受注しているクライアントへの単価交渉が挙げられます。単価アップを実現するには、これまでの実績はもちろんエンジニアとしての高いスキルを証明する必要があります。そのためには、エンジニアとしての専門技術や知識を証明する資格の取得が役立つでしょう。
クライアントに単価を上げても引き続き仕事を任せたいと思わせるために、自分の価値をしっかりとアピールすることが大切です。効果的な理由を提示して、自信を持って単価交渉に臨むとよいでしょう。
単価の高い案件を受注する
フリーランスエンジニアが手取り額を増やすには、実力や実績を活かして高単価の案件を受注することも重要です。もし営業力に自信があれば、より高い単価の仕事を獲得するチャンスが広がります。
しかし、たとえ実力があっても、営業が得意でない場合、単価を上げるのは難しいかもしれません。そのようなときには、案件を紹介してくれるエージェントの利用が有効です。 エージェントにもさまざまな種類があり、同じ仕事でもエージェントによって単価が異なることがあります。フリーランスエンジニアに特化したエージェントを選ぶことで、よりきめ細かいサービスを受けることが可能になり、結果として手取り額のアップにつながることが期待できるでしょう。
フリーランスエンジニアの手取り額をアップする方法を考えよう
手取り額は売上から必要経費や税金、保険料などの費用を差し引いた金額です。そのため、手取り額をアップするためには、売上を増やすか、費用を抑えるかのどちらかの対応が求められます。 費用を抑える場合、控除を活用したり、必要経費を計上したりすることが大切です。一方で、売上を増やしていく場合は作業単価を上げていく必要があります。その際には、一度エージェントの活用も検討してみてはいかがでしょうか。
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