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フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリケーションにおいて「ユーザーがデバイスを通じて目にする部分」の設計、構築を担当する仕事です。近年、Webサイトやアプリケーションの重要性が高まるにつれて、フロントエンドエンジニアの需要も増加しています。フロントエンドエンジニアに必要な資格は何か、気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、フロントエンドエンジニアのキャリアアップのために必要な資格やスキルを紹介します。
フロントエンドエンジニアに役立つ資格9選
フロントエンドエンジニアとして活躍するためには、プログラミング言語の習得や最新の技術動向の把握が必要です。資格取得は、単に技術力の証明となるだけではなく、専門分野を体系的に学ぶ機会にもなります。これからフロントエンドエンジニアとしてキャリアを積む上で役立つ資格を9つ紹介します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITに関する基本的な知識と技術があることを証明できる国家試験です。資格取得をすることで、情報処理全体の基礎知識だけでなく実践的な活用能力を証明できます。
年間で10万人以上が受験する人気の資格で、業界を越えて汎用性の高い資格として知られています。フロントエンドエンジニアとしてキャリアをスタートするには、まず基本情報技術者試験をクリアすることが最初の関門となるでしょう。
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML Standard (HTML5)・CSS3・JavaScriptのマークアップに関する知識量・技術力が証明できる試験です。ユーザー体験を考慮したWebコンテンツの設計・制作ができ、マルチデバイスに対応したコンテンツを制作できることを証明します。
なお、2021年からHTML5はHTML Standardに呼称が変更されました。試験の名称はHTML5プロフェッショナル認定試験のままですが、エンジニアのスキル認定として変わらず有効です。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は、HTML・CSSの基本的な知識やWebページ制作能力から、フォーム・オブジェクトの配置といった応用的なWebページデザイン能力が問われる試験です。認定基準はスタンダードとエキスパートの2つがあり、どちらも受験資格に制限はありません。
スタンダードはHTML・CSSを用いてWebページのデザインやレイアウトの表現力が、エキスパートはレイアウト手法や色彩設計など、ユーザビリティやアクセシビリティ、動的サイトやマルチデバイス対応といった能力が身につきます。フロントエンドエンジニアとして実践的なスキルを有していると証明できる認定試験といえるでしょう。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、Webデザインの専門的な知識・技能、実務能力が問われる検定です。1級から3級までの学科と実技試験があり、受験両方の合格をもって「ウェブデザイン技能士」と認定されます。資格取得することで、Webデザインの知識・技能、実務能力が証明できます。
フロントエンドエンジニアはWebデザイナーと連携してプロジェクトを進める機会も多いため、資格を取得しておくとよいでしょう。なお、ウェブデザイン技能検定の1級と2級には一定以上の学歴や実務経験が必要ですが、3級には受験資格の条件はありません。
CIW JavaScript Specialist
CIW JavaScript Specialist は、JavaScriptの実務に関する高度な知識と技術が問われる国際資格です。JavaScriptはWebのフロントエンドでは最も使われる言語のひとつといわれています。数あるプログラミング言語の中でも初心者が学習しやすい言語とされ、フリーランスエンジニアの採用募集案件数が多いことも特徴です。
資格取得をすることで、JavaScriptを扱うエンジニアとして業務に対応できることができるスキルや知識を証明することができます。なお、CIW JavaScript Specialistの出題はすべて英語で、合格するためには英語の読解力も養っておく必要があります。
人間中心設計(HCD)スペシャリスト・専門家認定試験
人間中心設計(HCD)専門家認定試験は、ユーザーエクスペリエンス(UX)設計に関する資格です。ユーザー視点を重視するフロントエンドエンジニアにとって、業務に役立つ資格のひとつといえるでしょう。Web上で実装するサービスや製品を、人間がより快適かつ安全に利用できるようにする課題解決能力が問われます。資格取得することで、人間中心設計に関するスキルや、UI・UX設計に必要なスキルを証明できます。
人間中心設計(HCD)スペシャリスト・専門家認定試験には、人間中心設計スペシャリストと人間中心設計専門家の2つの認定試験があり、人間中心設計専門家認定試験のほうが難関です。どちらの受験資格にも実務経験が必要となります。
PHP 技術者認定試験
PHP技術者認定試験は、サーバーサイドのプログラミング言語であるPHPのスキルを証明する試験です。資格取得を通じて、サーバーサイドの知識やスキルが身につきます。エンジニアの人材は慢性的に不足しており、フロントエンドとバックエンドの開発がどちらも行えるような複数の役割を担えるフルスタックエンジニアは、市場価値が高い人材です。また、フロントエンドエンジニアにサーバーサイドの知識やスキルが求められることもあり、PHP技術者認定試験は市場価値を高めることに役立ちます。
試験の難易度は初級、上級・準上級、ウィザードに分けられており、まずは初級から挑戦するのがおすすめです。
Ruby 技術者認定試験
Ruby技術者認定試験は、Rubyのプログラミング知識が問われる試験です。フロントエンドエンジニアはRubyのフレームワークを使ってシステムを構築する機会があります。資格取得をすることで、Rubyベースのシステム開発における基礎的な知識と応用力が証明できます。Rubyを使った案件やプロジェクトに参加しやすくなるため、フロントエンドエンジニアのステップアップに役立つでしょう。Ruby 技術者認定試験にはSilverとGoldの資格区分があり、いずれも受験資格に条件はありません。
Linux 技術者認定資格(LinuC)
Linux 技術者認定資格は、Linuxに関するあらゆる知識が問われる資格です。Webサーバーによく採用されているLinuxの知識があれば、フロントエンドエンジニアとしても活躍の場が広がります。資格取得することで、Linux技術だけでなく、サーバー構築や管理、セキュリティ、クラウドに関する知識や技術が証明できます。レベル1からレベル3まで資格区分があり、上位のレベルを取得するためには下位のレベルを取得していることが条件です。
フロントエンドエンジニアが資格取得するメリット
フロントエンドエンジニアが資格取得することで、技術力や知識力の向上だけでなく、給与アップなどの待遇改善や有利な転職につながるメリットがあります。以下でメリットを説明します。
体系的に得られる技術や知識が役立つ
フロントエンドエンジニアが資格取得するメリットは、体系的に得られる技術や知識が役立つことです。資格試験では、体系的にプログラミング言語の文法や技術を学ぶことが可能です。コードを単に暗記するのではなく、背景にある原理原則を理解できます。学んだ知識は、フロントエンドエンジニアとして活躍するうえで大きく役立つでしょう。
就職活動時にアピールできる
就職活動時にアピールできることも、フロントエンドエンジニアが資格取得するメリットのひとつです。多くの企業では、資格取得者を歓迎しています。経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」でも、ITスキルを測る基準として「保有資格」が重要であるという結果が出ています。IT企業全体で、「非常に重視している」「ある程度重視している」と答えた企業が、全体の7割を超えました。
ITスキルを測る基準として重要視していること
※経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」
資格は、転職活動の際に自身の知識量や技術力をアピールする有力な手段となります。また、資格を持っていることは学習意欲があり、モチベーションが高いことの証明にもなります。ほかの求職者と差をつけるためにも、ぜひ資格取得を検討しましょう。
キャリアアップに有利になる
フロントエンドエンジニアの資格取得は、自身のキャリアにプラスに働くこともメリットでしょう。先述した経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」には、スキル標準レベル別の年収平均も掲載されています。レベル1「新人・初級者レベル」と、独立して仕事ができる「中堅人材レベル」では約140万円、さらに「中堅人材レベル」と部下を指導できる「チームリーダーレベル」では約150万円の年収差があることが明らかになっています。
スキル標準レベル別の年収の平均
※経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」
以上のことから、レベルが高く有力な資格を保有し、ITスキルの証明をすることで年収が上がる可能性は大いにあるといえるでしょう。自身のキャリアを長期的な視点で見据えて、必要な資格取得を進めることをおすすめします。
フロントエンドエンジニアに求められるスキルセット
フロントエンドエンジニアに求められるのは、資格だけではありません。ここでは、資格にかかわらず習熟していると今後のキャリアに有利に働くスキルセットを8つ紹介します。
言語スキル
HTML・CSS・JavaScriptといった言語は、フロントエンドエンジニアの基礎となるスキルです。文法や構文を理解することで、WEBデザイナーから引き受けたデザインを効率的に構築することができます。また、最新の仕様の把握に努め、常に追従していく姿勢が求められます。
UI・UXの設計、スマートフォンへの対応
フロントエンドエンジニアにはWebサイトのユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)を設計する力が必要です。ユーザーにとって満足度の高いWebサイトとなるかどうかは、UI・UXの設計能力が関係します。また、近年ではWebサイトの利用傾向が変化しており、スマートフォンを通じたアクセスが増加していることから、スマートフォンに最適化されたUIを作成できるようにスキルアップしておく必要があります。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、フロントエンドエンジニアだけでなく、Web制作に関わるすべての人材に求められる能力です。Webサイトやアプリの要件定義や仕様策定の場面では、デザイナーやバックエンドエンジニア、クライアントとのコミュニケーション能力が重要となります。円滑なコミュニケーションを図ることで、質の高い製品を生み出すことができます。
実務で有利に働くスキル
GitHubなどのバージョン管理システムやタスク管理ツールの利用経験など、実務で有利に働くスキルがあると実務で有利です。Slackやチャットワークなどのチャットアプリにも慣れておくとよいでしょう。また、英語力は必須ではありませんが、身につけておくと他のエンジニアに先んじて、最新の情報収集ができ、キャリアの幅が広がる可能性があります。特に外資系企業へのキャリアチェンジも視野に入れているのであれば、英語の習得によりキャリアの選択肢が広がります。
バックエンドに関する知識
フロントエンドエンジニアは、サーバーサイドの言語やデータベースの基本を理解しておく必要があります。フロントエンドだけでなくバックエンドの理解を深めていくと、より高度なWebアプリケーション開発ができるようになります。PHP技術者認定試験のように、メジャーな資格取得を通じてバックエンドの知識を体系的に習得することがよいでしょう。
デザインに関する知識
Webサイトやアプリケーションの設計、UI構築において、デザインリテラシーが求められます。色彩学やタイポグラフィ、レイアウトの法則などを身につけた上で、ユーザビリティの高いデザインを実現する力が必要となります。
フレームワークを活用するスキル
フレームワークとは、Web開発やアプリ開発するために必要な機能があらかじめ用意された枠組みのことです。フレームワークを活用するスキルは、Web開発やアプリ開発の基礎です。ユーザーが利用しやすいサイトやアプリの開発を可能とし、作業の効率も上がります。各フレームワークの仕様を熟知し、状況に合わせて使い分けられるスキルが求められます。
SEOの知識
Webサイトのアクセスを最大化するためには、検索エンジン最適化(SEO)の知識が重要です。大手検索サイトであるGoogleは、ユーザビリティが高いサイトを評価します。SEOを意識し、閲覧のしやすさと検索エンジン評価の両立を目指したコーディングが期待されます。
フロントエンドエンジニアになるために重要なこと
これからフロントエンドエンジニアを目指すにあたって、何から手をつけていいかわからない方もいるはずです。最後に、フロントエンドエンジニアになるために重要なことを紹介します。
小規模からでも実務に挑戦する
フロントエンドエンジニアの実力は、実務経験によって磨かれます。制作に携わることで、課題解決力や開発ノウハウなどさまざまなスキルが身につくでしょう。実務経験を積むには、フリーランスとして小規模な案件に挑戦したり、オープンソースプロジェクトへ貢献したりするなど、さまざまな方法があります。将来のキャリアアップのためにも、まずはチャレンジすることからはじめてはいかがでしょうか。
ポートフォリオでアピールする
ポートフォリオは、エンジニアとしての実力を、的確に相手に伝えるためのものです。企業の選考にとっても、大きな評価材料となります。ポートフォリオを通じて、エンジニアとしてのスキル、プロジェクトへの貢献、そして学ぶ意欲を示すことができれば、フロントエンドエンジニアとしてのキャリア形成につながるかもしれません。特に、フロントエンドエンジニアリングに関連する資格を持っている場合は、実践スキルを証明するものとして、ポートフォリオ内でアピールするとよいでしょう。
資格取得をしてフロントエンドエンジニアとして活躍しよう
フロントエンドエンジニアは、UI・UXに関する設計スキルと高度なプログラミングスキルの両方を求められる職種です。資格を取得することでスキルを客観的に証明でき、フロントエンドエンジニアとして活躍するために役立ちます。
ただし、資格取得だけで就職や転職が成功するわけではありません。フリーランスとして小規模案件に関わるなどして、フロントエンジニアとしての実務経験を重ねていくことも重要です。
フリーランスとして成功するには、人脈やみずから営業して案件を獲得するスキルも必要となります。案件が見つからず収入に影響するリスクを避けるためにも、業界のエージェントなどを活用するとよいでしょう。
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