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Web系システムの見えない部分を担当することが多いバックエンドエンジニアの仕事は、エンドユーザーとしてシステムを使っているだけではイメージしづらい仕事かもしれません。しかしシステムの重要な部分を担うため、プロジェクトには欠かせない存在です。
当ガイドでは、バックエンドエンジニアとよく比較される他の仕事との差を紹介しながら、バックエンドエンジニアになるためのロードマップをご紹介します。
バックエンドエンジニアとは
バックエンドエンジニアとはデータベースやサーバー構築などの、システムの基盤となる部分を一手に担う仕事です。ユーザーが使う部分を担当するフロントエンドエンジニアに対して、バックエンドエンジニアはユーザーからは直接見えない部分を担当します。
Web系のシステムで画面系を司ることが多いフロントエンドエンジニアに対して、裏の処理を担当する人をバックエンドエンジニアと呼ぶことが多いです。
直接見えない部分であるため、システムを利用しているユーザーからはほとんど意識されませんが、バックエンドはシステムが正常に動作するために必須であり、プログラム処理の要となる部分です。システムの縁の下の力持ちというイメージを持つと、わかりやすいかもしれません。
サーバーサイド・フロントエンドエンジニアとの違い
バックエンドエンジニアと比較されることが多い職種である、サーバーサイドエンジニア、フロントサイドエンジニアとの違いは以下の表のとおりです。
エンジニアの種類 | 特徴 |
---|---|
バックエンドエンジニア | データベース、サーバー構築、システム開発を請け負います。画面から受け取ったデータの処理や、システム間のデータの受け渡しなども担当範囲になることがあります。 |
サーバーサイドエンジニア | サーバーにまつわるプログラムを担当します。システムの基盤となる部分を構築するのがメインで、システム開発まで携わることはあまりありません。 |
フロントエンドエンジニア | エンドユーザーが使う画面など、見える部分の開発を行ないます。見やすさや操作しやすさも検討の範囲であるため、デザインの知識も求められます。 |
バックエンドエンジニアの仕事内容
バックエンドエンジニアの仕事内容について、詳しく解説します。
データベース構築
データベースの構築はバックエンドエンジニアの非常に重要な仕事の一つです。
システムは膨大な数の人や物が利用するため、中に入るデータもさまざまな種類のものがあり、それが大量に蓄積されていきます。その箱となるデータベースを構築するために、必要な要素を検討し、設計・構築することがバックエンドエンジニアに求められます。
データベースの構築方法やデータの持ち方が処理速度に影響をおよぼすこともあります。一度データが溜まり始めてしまうと、箱の形を変えるのは容易ではないため初期の設計でしっかり検討しておくことが重要です。
サーバー構築
バックエンドエンジニアはインフラの整備を担当することも多いため、サーバーに関する知識も必須となります。サーバーエンジニアが作ってくれた構成をフロントシステムの仕様に合わせて変更していく橋渡しの仕事になることもあります。
最近はAWSなどの仮想環境が整ってきたことにより、設定もある程度自動化され簡単になりました。それでもサーバーを1から構築する案件はまだ存在しますし、トラブル対応になると仮想環境であっても設定内容を知らなければ原因究明ができません。現場で直接使わずとも、サーバー構築に関する一とおりの知識は持っていて損はありません。
システムの開発・運用保守
プロジェクトメンバーがそれほど多くないところでは、バックエンドエンジニアがフロントエンドエンジニアの領域まで手伝うこともあります。プログラミングを行なったあと、クライアントが要求したとおりの動作ができるかをテストするのは、フロントエンドもバックエンドも変わりません。
実際にシステムを納品し、サービス開始しても、作業は終わりではありません。想定されていなかった仕様への対応や思わぬバグの修正などは常に必要です。特に保守段階に入ったプロジェクトにはそれほど予算が割かれないため、フロントエンドもバックエンドも関係なく限られた人数のエンジニアで面倒を見ることも多くなっています。
また、新たな追加機能の実装があれば、初期開発のときと同様に、要件定義から詳細設計・プログラミング・テストと工程を踏んでいきます。今動いているものに悪影響を与えてはいけないため、構築時のシステムを知っている人が重宝されます。
顧客・社内とのやり取り
エンジニアは黙々と仕事をしているイメージがありますが、仕様の打ち合わせや質問など、顧客や社内のやり取りが必ず発生します。
可能な限り明確な仕様書を作ろうと努力はしますが、できあがるものが完璧とは限りません。顧客ときちんとコミュニケーションが取れていないと、仕様の勘違いを原因とするバグを作りこむことになりかねないため、丁寧に対応していくことが求められます。
社内でも進捗報告会などを通して、プロジェクト内でしっかり意思疎通を図って作業を進めていくことが一般的です。
バックエンドエンジニアの年収
求人サイト「求人ボックス」におけるバックエンドエンジニアの平均年収(東京都)は698万円となっています。同サイトのデータにおけるフロントエンドエンジニアの平均年収(東京都)は623万円で、バックエンドエンジニアのほうが高い傾向にあります。
出典:バックエンドエンジニアの転職・求人情報 – 東京都|求人ボックス
フロントエンドエンジニアの画面系の部分は難易度が低いため、年収がそれほど高くない経験の浅いエンジニアが担当していることも多くあります。これがフロントエンドエンジニアのほうが低い年収が出る原因の一つかもしれません。
なお、上記はあくまで全体的な平均です。勤務する企業の規模や本人の年齢、スキルなどによって年収は大きく変動するので、あくまで目安程度に留めておくとよいでしょう。
フリーランスの場合は年収を案件単価で示すのが一般的です。1件あたり45~80万円程度(PE-BANK内の案件データをもとに算出)とばらつきがあります。案件の難易度や規模、フリーランスの保有スキル・経験・年齢・就業エリアなどによって単価は変動するので、こちらも目安程度に認識しておきましょう。
バックエンドエンジニアの具体的な求人が気になる方は以下リンクをご参照ください。
年収を上げるためには実務経験を積み、より上のレイヤーでリーダーやプロジェクトマネージャーとして活躍するか、スキルの専門性を高めるかのどちらかが必要となります。
バックエンドエンジニアに必要な知識・スキル
バックエンドエンジニアに必要な知識とスキルについて解説します。
バックエンドに必要な言語の知識・開発スキル
バックエンドエンジニアにはさまざまな言語の知識と、開発スキルが求められます。
以下はバックエンドエンジニアが業務で必要とする言語の一部です。システムや業界によって使う言語が異なり、すべて列挙するとキリがないため、代表的なもののみ記載します。
【必要な言語一覧】
・SQL
・Java
・PHP
・C
・Ruby
なお、ここに挙げた言語は複数マスターしておくのがおすすめです。プロジェクトによって使う言語が異なるので、複数言語が使えると携われる可能性のある仕事が増えます。それぞれの言語で似ている部分もあるので、どれか一つを習得し、性質の近い言語から順番に習得していくと早く学習が進みます。
開発スキルは、自分でアプリを作ってみると効率的に身に付けられます。挙動は同じでも、分かりやすい・メンテナンスしやすい書き方ができることなどは、自分のエンジニアとしての価値を高めることにつながります。
フレームワークの知識や取り扱いのスキル
フレームワークとは、あらかじめシステム開発に必要なコードや機能を一通りそろえた仕組みのことを指します。どのようなシステムでも使う共通部分が用意されていることが多く、フレームワークを使うことで、効率的かつ高速なシステム開発が可能です。
大抵の現場でフレームワークが使われているので、使い方に関する知識や正しく取り扱えるスキルが必要となります。
コミュニケーションスキル
どのような仕事でもコミュニケーションスキルは必要であり、コーディング中心かと思われるエンジニアも例外ではありません。対顧客の折衝を担当すれば、当たり前に顧客へのヒアリングや報告を担うことになり、齟齬なくわかりやすく情報を伝達することが求められます。
直接顧客に接さないところでも、プロジェクト内での仕様の確認や報告は必須です。コミュニケーションスキルがないエンジニアは、手探りの状態で仕事を進めることとなり、大きな手戻りの原因になります。最悪の場合はプロジェクト失敗まで引き起こすので注意しましょう。
バックエンドエンジニアの将来性
社会のIT化が進み、システム化される業務が増えていくことが予想されるので、バックエンドエンジニアの将来性は非常に高いといえます。ただ単純なコーディングなどはフレームワークで短縮したりAIが担当したり、高速化する開発のなかで効率化されていき、仕事としてなくなる可能性があります。
バックエンドエンジニアとして活躍していくためには、今以上の高度なスキルが必要です。例えばフロントエンドの知識があったり、マネジメントスキルがあったりすると、マルチなスキルを持っているエンジニアとして重宝される可能性があります。
フルスタックエンジニアと呼ばれる、小規模なシステム開発を一人でこなせるエンジニアも需要が高まっているので、詳細が知りたい方は以下のページをチェックしてみてください。
フルスタックエンジニアとは?仕事内容や将来性、年収、必要スキルについて徹底解説!
バックエンドエンジニアを未経験から目指すためのロードマップ(勉強法)
未経験からバックエンドエンジニアとして就職・転職するための勉強法について解説します。
独学で勉強して転職活動
最近人気の言語は、開発環境に大がかりなソフトを必要とせず、パソコン一つで取り組めるものが増えています。そのため、プログラミングを取り扱っているサイトあるいは書籍で独学して、転職活動を行なうという方法が採れます。
例えばQiitaにはさまざまなレベル感の記事がそろっており、初心者がコーディングを始める際に読みたいものや、ある程度開発を進めた人が躓いた際の解決策などが載せられているため便利です。
独学でプログラミングの基礎を学びながら、自分でアプリケーションやシステム開発を行なうのが、未経験からIT企業へエンジニアとして転職する近道です。
作りたいサイトを模倣する形ではじめ、最終段階はオリジナルのアプリケーションを作りましょう。それがそのまま自分のスキルやセンスを証明するポートフォリオとして分かりやすく機能していきます。
プログラミングスクール・職業訓練校に通う
独学では学習を進められる自信がない方や独学に限界を感じている方は、プログラミングスクールや職業訓練校に通う手もあります。カリキュラムが体系化されており順を追って学べるうえに、一定期間で修了するように作られているため、自分で学習計画を立てるのが苦手な方にもおすすめです。
そういった学校に近いところは専門のメンターがおり、分からないところを質問して解決できます。もちろんインターネット上の投稿サイトなどで疑問を解決することも可能ですが、細かい条件や疑問点を明確に記載する必要があり、初心者には難しい所もあります。状況を確認しつつ、会話しながら質問できるメンターの存在は大変心強いです。
特に職業訓練校に関しては、条件を満たせば失業保険の延長や給付金を受け取ることができ、金銭的にもずいぶん助かるはずです。
まとめ
社会のIT化が進んでいる今、エンジニアの需要は高くなっています。
しっかりとスキルを身に付け、バックエンドエンジニアとして活躍できるようになれば安定した収入ややりがいのある仕事に就けるでしょう。
ITの世界は技術の進歩が速く、そこについていけるだけの情報を集められるかどうかもスキルアップのカギです。既存のスキルを磨き、幅を広げていくのはもちろん、最新技術に対してもアンテナを高く張り、トレンドも押さえられるエンジニアを目指せば、他の人とは違う価値を出せるはずです。