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さまざまな分野に活用され、いまや身近な生活のなかにもあふれている「IoT」。このIoTを専門分野とする「IoTエンジニア」に興味があるという方も多いと思います。

その一方で、あらためてIoTとは何か、どのような事例があるのかと聞かれると、説明しづらいという方も多いのではないでしょうか。

そこでこのガイドでは、今後ますます注目される技術であるIoTの基本的な説明と、その専門エンジニアであるIoTエンジニアとはどのような仕事なのかについて解説します。

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IoTとは


「IoT」とは“Internet of Things”の略で、日本語に直訳すると「モノのインターネット」という意味になります。これは、モノとモノとをインターネットでつなげることで、世の中をより便利にしようという考え方・概念を指しています。

これまでのインターネットではパソコンとパソコンや、パソコンとサーバーなど、コンピューター同士をつなぐものでした。それに対してIoTは、これまでインターネットとは無関係だったジャンルのモノとインターネットとの接続を可能にしました。この技術によって、家電製品や自動車などモノ同士が通信しあい、我々の生活を直接サポートしてくれるようになっています。

IoT化の潮流は今後ますます大きくなり、2020年代には約450億台ものIoT機器がインターネットに接続されるといわれています(総務省「令和元年版 情報通信白書」より)。さらに将来的には、あらゆるモノがインターネットにつながる社会が到来するともいわれており、すべての業界においてIoTの技術は無視できないものになるでしょう。

IoTの事例一覧

IoTは大きく以下の4つの機能に分けられます。

1. モノを操作する
2. モノの動きを検知する
3. モノの状態を検知する
4. モノ同士で通信する

それぞれの機能の具体的な事例をいくつか紹介します。

まず「モノを離れた場所から操作する」機能は、IoTと聞いて多くの人がイメージしやすい機能だと思います。自宅のさまざまな家電や設備をインターネットに接続させて、自宅外からスマートフォンなどによって操作するのは、この機能のわかりやすい例です。

【事例】
・ エアコンの電源を切り忘れて外出したとき、外出先からスマートフォン操作でスイッチを切る
・ 帰宅時間に合わせて、スマートフォン操作でお風呂のお湯を入れる
・ 玄関の施錠状態を外出先から確認し、自宅のドアロックを操作する

「モノの動きを察知」するのも、IoT技術の一つです。察知したモノや人の動きから、状況把握や危機回避につなげることが可能になります。

【事例】
・ スマートフォンを使ってバスの運行状況をリアルタイムで確認する
・ 人の飛び出しを察知して自動で機械の動きを止める

さらに以下の事例のような、「モノや人の状態を検知したり監視したりする」技術も、IoTにより実現されています。

【事例】
・ ベッド内に搭載したセンサーで患者の心拍数などを監視し、異常があればアラートを出す
・ 道路の混雑状況を把握し、最適なルートを提案する
・ ビニールハウス内のセンサーで日射量や室温を測定し、水や肥料の量・タイミングの調整に役立てる

4つめの「モノ同士が通信する」は上記3つの技術を組み合わせることで実現しています。人間が操作することなく、モノ同士で自動的に判断・動作する技術で、自動車の「自動運転」など、モノの自動化はこのIoT技術によって実現されています。また、家中の多くの設備や家電をインターネットに接続させ、自動的に暮らしをサポートしてくれる「スマートホーム」も事例の一つです。

【事例】
・ 赤信号からの情報を検知して、車が自動的に停止する
・ 夜になったら家のカーテンを自動で閉める
・ 家電が故障したとき、サポートスタッフに自動で情報を伝える

このように、IoTは我々の身近な生活のなかから、医療や経済の発展・効率化にまで、大きな役割を果たしています。

IoTエンジニアとは?仕事内容を解説

IoTエンジニアとは、モノとモノをつなげるIoTシステムを構築するエンジニアです。
IoTは今後ますます社会に浸透し、必要不可欠なものとなっていきます。同時にIoTエンジニアも社会にとって必要不可欠な存在となりますが、この職種には実に多様なスキルや能力が求められます。

IoTエンジニアは、IoT製品の新規企画や要件定義、設計、開発、テスト、運用保守、アップデートなどの管理に至るまで、全般的に関わります。そのため、システム開発工程における幅広い知識やスキルが必須となります。

また、IoTは今後まだまだ新しく活用されていく分野であり、日々新しい技術も生まれます。そのため、IoTを専門とするエンジニアは常に最新のトレンドを追い続け、学び続ける意欲が必要といえるでしょう。

組み込み系・システムエンジニアとの違い

データベースの構築はバックエンドエンジニアの非常に重要な仕事の一つです。

IoTエンジニアと混同されやすい職種として、組み込み系エンジニアやシステムエンジニアという職種があります。組み込み系エンジニアやシステムエンジニアとIoTエンジニアとの違いは「業務範囲の違い」が挙げられます。

「組み込み系」とは、家電などの中に組み込まれたコンピューターを制御するシステムのことを指します。組み込み系エンジニアは、この「組み込み系」を専門にするエンジニアで、ソフトウェアの開発から、システムを組み込むデバイスや基盤などのハード面までを扱います。

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これに対してIoTエンジニアは、IoTデバイスをネットワークにつなげる部分や、IoTデバイスを操作するスマートフォンアプリやAIなども扱うため、担当範囲は組み込み系エンジニアより幅広くなります。

システムエンジニアは、おもにソフトウェアを開発するエンジニアを指すことが多い言葉です。システムを開発するという広い意味では、IoTエンジニアもシステムエンジニアの一種といえます。ただしIoTエンジニアはソフトウェアだけでなくハードウェアの知識も必要となり、実際の担当業務としては、一般的なシステムエンジニアより幅広くなります。

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このように、IoTエンジニアはシステムエンジニアや組み込み系エンジニアと比較して、ハードウェア・ソフトウェアを問わず幅広い知識が必要で、必要なスキルの種類も多い職種といえるでしょう。

IoTエンジニアに必要なスキルセット・知識一覧


次に、IoTエンジニアに必要なスキルや知識について解説します。

組み込み系言語・開発環境の知識・実装スキル

IoTエンジニアは組み込み系のシステム開発も行なうため、組み込み言語であるC#などの知識・実装スキルが必須となります。IoT機器の開発はソフトウェア開発と違い、デバイスや基盤、センサーなどのハードウェア全般の知識が必要です。通常のソフトウェア開発とは異なる、独自の開発環境や実装スキルなども併せて持っておく必要があります。

ネットワークの知識・構築スキル

IoTの技術はIoT機器をネットワークにつなげてモノを操作するため、ネットワークに関する知識も必要です。データを送受信するシステムの構築方法や、Wi-Fi・Bluetoothなどの通信方式の違いによっても開発内容が変わってきますので、この辺りの知識も頭に入れておく必要があるでしょう。

セキュリティの知識・構築スキル

安全にデータをやりとりするためには、セキュリティに関する知識や、セキュリティを考慮したシステム構築スキルも必要です。ハッキング技術はさまざまな種類があるため、それらに対する対策や知見を備えておくことはもちろん、日々更新されるハッキング技術に対するアンテナの高さも必要です。

スマホアプリケーションの知識・実装スキル

IoTエンジニアはスマホアプリケーションに関する知識や実装スキルも必要となります。 IoTとスマートフォンは密接に関わっており、今後のIoT開発はますますスマートフォン中心になっていくことは間違いないでしょう。このため、スマホアプリケーション開発技術は、今後IoTエンジニアの必須スキルとなる可能性が高いといえます。

コミュニケーションスキル

これはIoTエンジニアに限らないのですが、すべてのITエンジニアにとってコミュニケーションスキルというのは必須です。特にIoTエンジニアは、その開発内容から、さまざまな業種の人間や部署と連携しながら開発を進めることになります。多くの人間と連携しながらシステム構築を成功させるには、コミュニケーションスキルは必要不可欠といえるでしょう。

IoTエンジニアの年収の目安

IoTエンジニアの平均年収は、求人ボックスのデータによると543万円となっています。
またフリーランスの場合、案件単価は40~85万円程度が目安です(PE-BANK内の案件データ参照)。もちろんこの案件単価は、エンジニアのスキルや経験、案件の難易度などにより幅があります。

IoTエンジニアにおすすめの資格一覧

ここではIoTエンジニアにおすすめの資格を紹介します。
IoTエンジニアとして働くために、必ず取得しないといけない資格というのはありません。
しかし、こちらで紹介する資格を持っていることで、専門性の高いスキルを持つことの証明になるでしょう。

IoTシステム技術検定

IoTシステム技術検定はMCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)が主催する、IoT技術を体系化した検定制度です。難易度によって、基礎検定・中級検定・上級検定に分かれており、中級合格者などの一定の資格がある人のみが、上級検定を受験できるようになっています。

IoTシステム技術検定に合格することによって、基礎検定であればIoTの基本的な知識、中級検定であれば知識に加えて、応用実践的なスキルを保持していることを証明できます。最上位である上級検定に合格できれば、高度なIoTビジネスモデルの企画から設計構築、運用に至るまで、リーダーとして携わることができる人材といえるでしょう。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験

「エンベデッド」とは「組み込み系」を指す言葉です。エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、その名のとおり組み込み系システムの開発に関する知識や技能が試される試験です。情報処理推進機構(IPA)が実施しており、組み込み系エンジニアやIoTエンジニアを目指す方が受験しています。

この資格では、IoTを含む、組み込み系システムに関して要求される機能、性能、品質、信頼性を実現する能力が問われます。例えば、ソフトウェアとハードウェアの適切な組み合わせを決定する能力や、組み込み系システム開発の各工程を主導的立場で推進できるスキルが試されます。

開発対象システムがかなり広範囲で、専門的な知識が必要な資格であるため、難易度はかなり高くなっています。その分、取得することで組み込み系やIoTへの知見が十分にあることを証明できるでしょう。

情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士試験は情報処理推進機構(IPA)が実施する試験の一つで、情報セキュリティに関するスペシャリストとして認定される資格です。

試験合格者は所定の登録手続きを行なうことで、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」の資格保持者になることができます。それだけ高難易度の試験で、IoTエンジニアはもちろん、セキュリティを専門にするセキュリティエンジニアや、セキュリティコンサルタントが目指す資格の一つでもあります。

IoT技術は身の回りの多くのモノをインターネットに接続し、必要に応じてデータの収集や蓄積、AIによる分析・活用もします。データを安全に扱うため、IoTエンジニアとしてセキュリティ関連の知見の有無は極めて重要です。セキュリティに関する上級資格である情報処理安全確保支援士を保持していることは、エンジニアとして大きな信頼につながるといえるでしょう。

まとめ

我々の生活を支える技術として、IoTは今後ますます欠かせないものになっていきます。これまでITとはまったく無関係だった分野にも活用される可能性があり、そのための技術も進化していくことでしょう。

IoTの分野におけるスペシャリストであるIoTエンジニアは、多くの業界から注目され需要が高まる職種といえます。IoTエンジニアに求められるスキルは多く難易度も高いですが、活躍の幅も広い仕事です。身近な生活にも大きく貢献できる仕事なので、気になる方は資格試験なども活用しつつ目指してみてはいかがでしょうか。

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