フリーランスが加入すべき健康保険(社会保険)は?種類と保険料を抑える方法 | ITフリーランスエンジニアの案件・求人はPE-BANK

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フリーランスとして働き始める際に必要になるのが、健康保険への加入です。多くの人が選ぶ国民健康保険のほかにも、任意継続保険や国民健康保険組合に加入するという選択肢もあります。特に会社員からフリーランスに転職する場合には、複数の選択肢があります。

本記事では、それぞれの健康保険の特徴を比較し、加入の仕方についても紹介します。フリーランスになった際にどの健康保険を選べばいいのか、最適な保険選びの参考にしてください。

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国民皆保険とはすべての国民が公的医療保険に加入することを義務付ける制度

国民皆保険とは、すべての国民が公的医療保険に加入することを義務付ける制度です。この目的は、全員が保険料を支払うことで病気や事故に遭った際の高額な医療費の負担を分散して軽減することにあります。

この制度により、国民は大きく分けて以下の3つの公的医療保険に加入します。

<日本の公的医療保険の種類>
・国民健康保険(自営業者、フリーランス、年金受給者など)
・被用者保険(会社員、公務員など)
・後期高齢者医療制度(75歳の高齢者向け)

国民皆保険制度の特徴は、国民全員が医療機関を自由に選べる「フリーアクセス」があり、加入者は比較的低額の自己負担で高度な医療を受けられることです。また、社会保険方式を基本とし、公費を投入して制度を維持しています。この制度により、すべての国民が適切な医療サービスを受けられるようになっているのです。

狭義と広義の「社会保険」の意味

社会保険と聞くと、会社勤めをしている人が加入する保険を思い浮かべるかもしれませんが、実は社会保険には2つの異なる意味があります。フリーランスの人は、まずそれをはっきりと理解しておきましょう。

狭義と広義の「社会保険」の意味

社会保険と聞くと、会社勤めをしている人が加入する保険を思い浮かべるかもしれませんが、実は社会保険には2つの異なる意味があります。フリーランスの人は、まずそれをはっきりと理解しておきましょう。

狭義の「社会保険」

社会保険という言葉を狭い意味で使う場合は、会社で加入する保険のことを指します。この場合の「社会保険」は、国民健康保険と対比される用語であり、例えば「社保か国保どちらにするか」といった比較の文脈で使われます。

一般的には、この狭義の意味での社会保険がなじみ深いかもしれません。例えば福利厚生において「社保完備」と明記されている場合も、こちらの意味と考えられます。

しかし、実際には狭義の意味で使われている社会保険の正式名称は、「被用者保険」です。従って、社会保険と呼ぶことは俗称に過ぎず、これが混乱の原因となっているのかもしれません。

広義の「社会保険」

広義の「社会保険」とは、健康保険、介護保険、雇用保険、年金保険、労災保険の総称です。この健康保険の中には、国民健康保険や被用者保険が含まれています。

つまり、広義の社会保険には、国民健康保険も含まれるため、所得を計算する際の社会保険控除は、国民健康保険も該当するということです。また、この記事においても、広義の社会保険、特に健康保険という意味で社会保険という言葉を使用します。

フリーランスが選べる健康保険

フリーランスとして働く際に、加入できる健康保険には次のような選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルや経済状況に見合った保険を選ぶことが重要です。

国民健康保険に加入する

フリーランスとして働く人の多くが加入するのは、国民健康保険です。市区町村が運営しており、前年の所得にもとづいて保険料が決まります。所得に応じた保険料になるため、収入が低い場合は保険料も安く、収入が高いと保険料も高くなります。

会社の保険を任意継続する

会社に勤務していた場合は、退職後も会社員時代に加入していた健康保険を任意で継続することが可能です。退職後20日以内に申請すれば、最長2年間、会社員のときと同様の保険を利用できます。ただし、保険料は全額自己負担となり、会社員時代の約2倍になる点に注意が必要です。

国民健康保険組合に加入する

国民健康保険組合は、特定の職業や業種に従事する人々が加入できる医療保険制度です。例えば文芸美術国民健康保険組合など、特定の職業団体が運営しています。特定業種に従事するフリーランスには、国民健康保険よりも保険料が安くなる場合があります。また、組合によっては独自の福利厚生も利用できますが、加入資格が限定されているため、条件を確認することが重要です。

家族が加入している健康保険の被扶養者になる

家族が加入している健康保険の被扶養者となることも可能です。条件としては年収が130万円未満で被保険者の年収の2分の1未満であることや、被扶養者が被保険者の三親等以内の親族であり、被保険者と生計を共にしていることなどが挙げられます。保険料の負担がなくなるというメリットがありますが、収入が増えると扶養から外れることになります。

各健康保険のメリット

フリーランスとして働く際に選べる健康保険には、どのようなメリットがあるのでしょうか。これらを理解したうえで、自分の状況に合わせて最適な保険を選びましょう。

国民健康保険のメリット

国民健康保険のメリットは、加入手続きが比較的簡単であり、加入期間に制限がない点です。所得が基準値を下回ると自動的に保険料が減額される仕組みになっているため、フリーランスとして仕事を始めた当初など収入が少ないときの負担が軽くなります。

任意継続保険のメリット

任意継続保険は、手続きが簡単で、退職後も会社員時代と同様の内容の保険を継続できるのがメリットです。退職後も安心して医療サービスを利用できるほか、福利厚生も継続して利用できます。また、任意継続では世帯主のみが保険料を支払うため、扶養家族の保険料が発生しません。扶養家族が多い場合はお得になります。

国民健康保険組合のメリット

国民健康保険組合は、同じ業種の人々が集まって組織されているため、業種に特化したサービスや割引を受けられるメリットがあります。保険料が固定されていることが多く、前年の所得に左右されにくいというのも特徴です。さらに、組合によっては、法定給付に加えて独自の給付制度が設けられていることもあり、より充実したサービスを受けられます。

扶養家族として加入するメリット

被扶養者として加入すれば、保険料の負担がなくなるため、経済的に大きなメリットがあります。家族の保険の扶養に入ることによって、生活費を抑えられ、経済的な負担が軽減されます。

各健康保険のデメリット

一方で、フリーランスとして働く際に選択できる健康保険には、それぞれデメリットもあります。以下の情報を参考に、自分に合った保険を選ぶ際の検討材料としてください。

国民健康保険のデメリット

国民健康保険は、所得が高くなると保険料も高額になるのがデメリットです。保険料は前年の所得にもとづいて計算されるため、急激に収入が増えると翌年の保険料が大幅に高くなる可能性があります。また、扶養家族がいる場合は、その分保険料が高くなることもあるでしょう。

任意継続保険のデメリット

任意継続保険のデメリットとして、会社員時代は会社と折半していた保険料が、任意継続では全額自己負担となることが挙げられます。そのため、保険料が会社員時代のおよそ2倍になります。収入額によっては国民健康保険より保険料が高くなる場合もあるため、事前にしっかりと負担額を見極めることが必要です。また、任意継続保険は最大2年間の継続が可能ですが、保険料を滞納すると加入資格を喪失してしまうリスクがあるため、注意も必要です。

国民健康保険組合のデメリット

国民健康保険組合には、加入条件が厳しいというデメリットがあります。特定の業種に限定されるため、すべてのフリーランスが利用できるわけではありません。また、一部の組合は地域が限定されていて、引っ越しなどによって条件を満たさなくなる可能性があります。

扶養家族として加入するデメリット

扶養家族として加入する場合のデメリットとして、年収制限が挙げられます。具体的には、130万円以上の収入になると扶養から外れるため、条件を満たさない場合は、ほかの健康保険に加入しなければなりません。

健康保険の加入手続き

退職後などにフリーランスとなって働く際には、各種健康保険に加入するための手続きが必要です。以下で、各健康保険の加入手続きについて説明します。

国民健康保険への加入手続き

国民健康保険に加入するには、退職日またはほかの健康保険を喪失した日の翌日から14日以内に手続きを行う必要があります。手続きが遅れると、未加入期間の医療費は全額自己負担となり、保険料もさかのぼって支払うことになるので注意しましょう。

手続きは、住んでいる市区町村役場の窓口で行います。社会保険(健康保険)を脱退して国民健康保険に加入する場合など、特定の手続きは郵送での手続きも可能な場合があります。

手続きに必要な主な書類などは以下のとおりです。

<国民健康保険の加入手続きに必要な書類など>
・本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)
・加入していた健康保険の資格喪失証明書(加入者全員が記載されており、組合員や社判などが押印されているもの)
・国民健康保険の保険証(同じ世帯にすでに国民健康保険に加入している人がいる場合)
・世帯主と加入する人全員分のマイナンバー(個人番号)を確認できる書類(マイナンバーカードや個人番号通知カードなど)
・支払いを口座振替にするためのキャッシュカード、預貯金通帳、銀行届出印

任意継続保険への加入手続き

任意継続保険に加入するには、資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に以前所属していた健康保険組合に申請を行う必要があります。期限を過ぎると加入できなくなるため、迅速な手続きを心掛けましょう。

手続きに必要な主な書類は以下のとおりです。

<任意継続保険の加入手続きに必要な書類>
・任意継続被保険者資格取得申出書
・退職日を確認できる書類(退職証明書や雇用保険被保険者離職証明書など)
・収入を証明する書類(在職時から引き続き家族を扶養に入れる場合に必要)

健康保険組合への加入手続き

健康保険組合に加入するには、各組合の規定に従って必要書類を提出します。組合によっては、オンラインでの手続きが可能な場合もあります。なお、各組合には特定の加入条件があり、事前に確認することが重要です。例えば、特定の職業団体への所属や一定の収入基準が必要な場合があります。

手続きに必要な主な書類(例)は以下のとおりです。

<健康保険組合の加入手続きに必要な書類>
・加入申込書
・所属を証明する書類(業務に関する契約書など)
・本人確認書類
・所得証明書(必要な場合)

扶養家族としての加入手続き

扶養家族として加入する場合は、家族が加入している健康保険組合に問い合わせ、必要書類を提出します。扶養に入るための条件を満たしているか確認することが必要です。

手続きに必要な主な書類は以下のとおりです。

<扶養家族としての加入手続きに必要な書類>
・扶養認定申請書
・収入証明書(給与明細や源泉徴収票など)
・続柄を証明する書類(住民票や戸籍謄本など)
・本人確認書類

健康保険料を安く抑える方法

フリーランスや自営業者にとって、健康保険料は大きな負担になることがあります。最後に、健康保険料を少しでも安く抑えるための方法を紹介しましょう。

青色申告の活用

青色申告で確定申告すると、青色申告特別控除を適用して所得を減らすことができます。国民健康保険料は所得にもとづいて計算されるため、青色申告により間接的に保険料を抑えることが可能です。

青色申告特別控除を適用すると、最大65万円の控除が受けられます。この控除を受けるには、複式簿記での記帳や、貸借対照表と損益計算書の作成が必要です。また、青色事業専従者給与制度を利用することで、家族に支払った給与を必要経費として計上することで、所得を減じることができ、税負担の軽減ができます。

免除・減免制度を利用する

国民健康保険料には、所得が低い場合や特別な事情がある場合に保険料の負担を軽減するための免除・減免制度があります。

・法定軽減制度

法定軽減制度は、所得が国の定める基準を下回る世帯に対して、保険料の均等割額および平等割額を7割、5割、2割のいずれかで軽減する制度です。

・非自発的失業者に対する軽減

リストラや倒産などで職を失った場合、在職中と同程度の保険料負担で国民健康保険に加入できるよう、保険料の軽減措置があります。

・災害やそのほかの事情による減免

災害や失業、倒産などの事情で保険料の納付が困難な場合、申請により減免を受けられることがあります。届け出が必要なので、住所地の市区町村役場の国保年金課にご相談ください。

国民健康保険組合の加入や被扶養者制度を活用する

特定の業種に従事する場合は、国民健康保険組合に加入することで、通常の国民健康保険よりも保険料が安くなる場合があります。また、年収が一定額以下であるなら、新たに健康保険に加入するのではなく家族が加入している健康保険の被扶養者として加入することで、保険料の負担をなくすことができるでしょう。

マイクロ法人を作って健康保険料を削減する

マイクロ法人とは、従業員を雇わずに、会社の代表者が1人で事業を行う小規模な会社です。フリーランスや個人事業主が、税金や社会保険料の節減を目的に設立することが多いといわれています。

マイクロ法人を設立し、法人の代表として社会保険に加入すれば、健康保険料を削減することが可能です。法人化することで社会保険料を法人の経費として処理できるため、節税効果も期待できます。収入が増加し節税対策をしたい人や、社会的信用を向上させたい人に適した方法です。

フリーランスも自分に合った健康保険を選択できる

フリーランスが加入できる健康保険には、国民健康保険、任意継続保険、国民健康保険組合などがあります。最も一般的で手続きが簡単なのは国民健康保険ですが、所得が増えるほど保険料も高くなるため、コストが気になる人もいるかもしれません。その場合は、自分が任意継続保険や国民健康保険組合を利用できるか検討してみてください。

これからフリーランスとして独立して働くことを考えている方は、健康保険への加入だけでなく、どのように自分に合った案件を獲得するかなどの課題にも取り組むことになります。「PE-BANK」は、フリーランスエンジニアをサポートするエージェントです。フリーランスのエンジニアが、本来の仕事に注力できるよう、案件の提案から事務作業まで一括して請け負うことを特徴としています。フリーランスとして働くことに興味があるエンジニアの方は、ぜひPE-BANKにご相談ください。

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