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Javaのフレームワークは何種類も開発されており、それぞれが異なる特徴を持っています。フレームワークごとに利用するメリットも変わるため、どのフレームワークを使うかは開発を始める前に慎重に選ばなければなりません。
ここではフレームワークを利用するメリットと選び方について解説します。
Javaフレームワークとは?
フレームワークとは、Javaを利用してシステム開発を行なうために導入する枠組みのことを指します。システム構築するときによく実装される機能や、開発に便利な機能など、中に含まれるものはフレームワークによって少しずつ異なります。
コーディングのルールもフレームワークによってだいたい決まるため、書かれるコードも共通化されます。大規模開発の現場において、開発の効率化や工期短縮を目指す場合に使われることが多くなっています。
Javaでフレームワークを利用するメリット
Javaフレームワークを利用するメリットについて解説します。
作業効率が上昇し開発期間が短縮される
フレームワークにはテンプレートが用意されていることが多く、マスタメンテナンス機能やエラー処理など、システムとして必ず必要になる機能はある程度できあがっています。画面もフレームワーク標準のものがあり、それほど実装に時間はかかりません。
他にもクラスの再利用が容易であったり、APIが統一されていたりと、作業効率を上げてくれる要素がたくさん詰まっているので、ゼロからコーディングしていく量も減り、開発期間短縮にも一役買っています。
また、機能のカスタマイズも容易に行なえるため、開発するプロジェクトの方針に合わせてコードを書き変えていくこともできます。
バグが減少する
複数のエンジニアで開発する際、コードの書き方をそろえるにはコーディング規約やバリデーションを決めて徹底することになります。
フレームワークに合わせてコーディングしていけばコードに統一性が出るため、厳密にコーディングルールを決める必要がありません。各エンジニアが書き方の異なるコードを書かないので、バグの発生も抑えられます。
対応できる案件の幅が広がる
新規開発案件でも、既存システムの改修案件でも、フレームワークが使われているケースはたくさんあります。
Java開発の求人では、必須の経験として「フレームワークの利用」を挙げているところも少なくありません。フレームワークの利用経験がなければ入れない案件もあるので、獲得できる案件を増やすにはフレームワークを積極的に利用して、勉強していきましょう。
特にフリーランスエンジニアとして独立したいのであれば、関われる案件が多いに越したことはありません。フレームワーク開発の経験があるだけで、応募できる案件の幅がぐっと広がります。
Javaでフレームワークを利用するデメリット
Javaフレームワークを利用するデメリットについて解説します。
フレームワークに関する学習コストがかかる
開発作業に取りかかる前に、フレームワークに関する知識を勉強する必要があります。使い方はもちろん、独特の癖や注意すべき点なども押さえながら知識を身に付けていくため、どうしても学習コストは必要です。あまり使われていないフレームワークの場合は情報を集めるだけでも苦労するでしょう。
しかし一度概念を理解すれば応用が利くものでもあります。一つフレームワークが使えれば、後は差分を認識しながら使っていけます。
新規システム開発の際に、フレームワークを選ぶ基準にもなっていくため、複数のフレームワークの違いを理解し、それぞれを学んでおいて損はありません。
フレームワークに依存するリスクがある
フレームワークを利用することで、プログラミングの知識が十分になくてもコーディングを進めていけます。不慣れな人でも質の高いコードが書けるという意味ではメリットなのですが、反対にプログラミング言語の本質が理解できなくなる危険性があります。
万が一フレームワーク自体にバグがあった場合の対処や、部分的なカスタマイズが必要になる場合などは、フレームワークの中身を読み解き、適切にコードを追加、修正していかなければなりません。
フレームワークを使う開発は便利ですが、頼りすぎると諸刃の剣となります。初心者の方はまずはフレームワークなしで開発を覚えるのがよいでしょう。基本的なコードの書き方がわかったあと、フレームワークがどこを効率化してくれるのかという目線を持つと、フレームワークの理解も早くなります。
Javaフレームワークの選び方
フレームワークにも特徴があり、作りたいシステムによって選ぶものが変わります。以下では、適切なJavaフレームワークの選び方について解説します。
開発目的と一致したフレームワークを選ぶ
開発を効率化するためにフレームワークを導入するのに、フレームワークが開発の足を引っ張っては意味がありません。大規模システム向けか、中小規模システム向けか、カスタマイズを前提としたシンプルなものか、そのまま使える機能の充実したものかなど、フレームワークは使用目的が異なります。
新規開発するシステムで、どのフレームワークを使っていいかわからない場合は、類似システムがどうやって開発されているかの情報を集めましょう。
よく使われているフレームワークを選ぶ
フレームワークはつぎつぎと新しいものが生まれ、どんどん便利になっています。
ただし、知名度が低いものや、実績があまりないフレームワークを選ぶと情報がインターネット上にほとんどありません。詳しい技術者も少なく、フォーラムなどで質問してもなかなか返答は得られません。バグが取り切れておらず、潜在バグに引っかかる可能性もあります。学習コストも導入コストも相応に必要になるので注意しましょう。
自分が新しくフレームワークを学ぶのであれば、一般的に知名度が高くよく使われているフレームワークを選ぶのが得策です。参考となる情報が多く、基本的な使い方は容易にわかることがほとんどです。万が一行き詰まっても、解決するための情報を入手しやすい傾向にあります。
参画できるプロジェクトも増えるため、よく使われているフレームワークの知識を身に付けたあと、必要に応じて他のフレームワークを学んでいくのが得策です。
【2022年最新版】おすすめのJavaフレームワーク7選
よく使われている、学んでおいて損はないおすすめのJavaフレームワーク7選について解説します。
Spring Framework
縮めてSpringとも呼ばれるSpring Frameworkはオープンソースのフレームワークです。プログラムをシンプルにまとめられるAOPや、クラスごとの依存関係を解消するDIなど、Javaシステムのメンテナンス性を上げてくれる機能を多く搭載しています。
関連ドキュメントやチュートリアルも充実しているため、初めての方でも学びやすいフレームワークです。
またWebアプリケーションは当然ながら、Javaのプラットフォームで動作するアプリケーションに適用でき、汎用性が高いのも特徴の一つです。Springを採用しているシステムも多いため、覚えておくと便利なフレームワークです。
Apache Struts
Javaシステムの開発でよく使われる概念であるMVCをベースとしたフレームワークがApache Strutsです。
古くから使われている分だけ、セキュリティーホールも多数見つかっており、脆弱性パッチも出ています。新しいシステムを開発する際の選択肢になることは稀ですが、既存のシステムはApache Strutsベースで動いているものも多く、実際の現場で出会うことは多いフレームワークでしょう。
2017年に脆弱性の問題が発生してからは、別のフレームワークを使う流れもあるため、その点は情報を集めて気を付けておきましょう。後から開発されたStruts2とは互換性がない点も注意が必要です。
Play Framework
JavaとScalaを使って作られたフレームワークがPlay Frameworkです。Ruby on RailsやDjangoの影響を強く受けており、とにかく速く開発して、少ないリソースでプログラムを動かすのが得意なフレームワークです。
開発フェーズによって規模が大きく変化するWebアプリの場合、動作させるたびに必要なリソースの確保から始めていては時間がかかりすぎ、効率も悪くなります。システム規模が大きくなってもはじめに確保したリソースの中で動かし続けられれば、リソースの調整工数を節約できます。
開発の速さをメリットとするこのフレームワークは、小規模な開発を繰り返すアジャイル型開発にも向いているものです。
JSF(JavaServer Faces)
デザインと処理を分けて記述したいシステムに向いているフレームワークがJSFです。
JSFにはUIコンポ―ネントが多く搭載されており、おもに入力フォームに必要となる、ボタンやチェックボックス、日付選択のためのカレンダーなどが含まれます。もちろんパラメーターを変更することでデザインの変更も可能です。エンドユーザーに何かを入力させることが多いシステムを開発する際はしっかりと強みを発揮してくれるフレームワークです。
Spark Framework
単にSparkとも呼ばれるこのフレームワークは、少ない労力で素早くWebアプリを作るためのものであり、小規模開発に向いています。
よく使われるフレームワークは機能が充実してはいますが、小規模な開発の現場では使わないものもたくさんあります。環境を整えるためのプロセスを考えると、大げさすぎることもあり、マイクロフレームワークと呼ばれる最小限の機能を搭載したフレームワークが作られました。Spark Frameworkもその一つです。
コードの書き方が独特なこともあり、使いこなすのには慣れが必要です。ただ言語自体が直感的にわかるシンプルなものであるため、基本的な書き方さえ押さえれば、あとはどんどん開発を進めていけます。
Ninja web framework
フルスタックのマイクロJavaフレームワークであるNinjaは、手軽に軽量なWebアプリケーションを作るのに向いています。フルスタックのフレームワークのため、大規模システムにも十分対応できる仕組みです。
メモリの使用量が多い、カスタマイズの自由度が低いなどのデメリットはありますが、ユーザーが素早くシステムを起動させるための機能を提供しています。
ZK
ZKはシンプルなタグで効率よくGUIを作成できるところに強みがあります。GUIを作るのならAjaxでも同じことができますが、ZKはスクリプトをそのままレイアウトに記載できる点が大きな強みです。
Webアプリケーションの一般的な考え方である、クライアントとサーバーを分けて設計する形ではなく、スタンドアロンの開発とほとんど同じ感覚でコーディングを進めていけます。
まとめ
Javaの開発を効率よく行なうにはフレームワークの存在が不可欠です。ただしそれぞれのフレームワークに特徴があるため、開発したいシステムの性質や規模に応じて適切なものを選びましょう。フリーのエンジニアが応募したい求人案件もフレームワークの経験を求められることが増えました。
仕事の幅を増やすためにもフレームワークの知識は身に付けておいて損はありません。