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IoTモノ語り

スモールIoT

IoT スモールシステム故の制約

このコラムで取り扱おうとしているIoTモノは、非情報端末、その中でも温度計、照明装置といった比較的機器サイズが小さいモノを対象とします。サイズが小さいことに加えて、移動をともなったり、移動をともなわないまでも屋外での使用も考えられます。(もちろん屋外利用+移動もアリですね)

本コラムでは、機器サイズが小さいIoTモノをスモールIoTデバイス、さらに略して「スモールIoT」と称することにします。 (スモールIoTは認知された用語ではありません)

スモールIoTモノには、情報端末にはない H/W上、S/W上の制約が発生します。

IoTモノは、サイズは小さくともコンピュータシステムであることには変わりありません。CPU本体やメモリはもちろんのこと、機器外部とのインタフェース装置(A/D, D/A, GPIO)やタイマ等、システムに必要なデバイスが占める空間をできるだけ小さくする必要があります。

コンピュータシステムですので電源も必要です。必ずしもコンセントや発電機から電源が供給される訳でないので、小型電池(バッテリー)で駆動できる必要があります。バッテリー駆動とした場合、頻繁に電池交換を行うことはしたくない、もしくは 物理的に難しいという場面も想定する必要があります。ですので、電池1つでできるだけ長く動作して欲しいという要望が出てきます。

移動や屋外利用を想定する場合、有線通信ではなく、無線通信を前提とした方が便利です。移動がない場合でも、沢山の機器を使用して、通信線に囲まれたくない場合、やはり無線通信の方が雑然さが減少できて有利です。

ただ、無線通信は思った以上に電力を使います。また、システムの資源(メモリ)も使います。ですから、情報端末で多く使用されているWi-Fi方式がスモールIoTモノに採用されるとは限りません。(※ スモールIoTでの無線通信方式に関しては次回コラムで触れる予定です)

さらに、無線方式の場合、四方八方に電波を飛ばしますので、制限を設けなければ誰とでも通信出来てしまいます。従って、接続相手を限定する仕組み(認証)や、通信内容の盗聴を防ぐための仕組み(暗号化)も用意する必要があります。ですが、こうした機能を追加すると、省スペース的にも、省エネ面でも不利になります。
(こうしたところも、スモールIoTモノでWi-Fi以外が採用される背景となっています。)

以上とまとめますと、スモールIoTモノに求められる要件は

・H/W的にも、S/W的にも省スペースであること。(フットプリントが小さいこと)
・省電力であること
・その上で、セキュアであること

となります。

SoC

コンピュータシステムというモノは、規模の大小に関わらず、CPUコア、メモリ(ROM/RAM)に加えて、入出力装置(Input/Output、I/O)や、タイマ等の周辺機器が必要となります。
スモールIoTでは、キーボードやディスプレイを接続することは、まずありません。代わりにGPIO, I2C, SPI, UART, PWM, A/D, D/Aと言ったインタフェースが接続対象のデバイスの特性に合わせて選択され、データのやり取りを行うことが多いです。※ 各I/Fの概要もしくは仔細は別回で触れます。

はるか昔は、これらを個別部品として用意して、必要な機能のみを搭載してシステムとして組み上げていました。1機能を実現する半導体チップは小さくとも、複数のチップを搭載するとなると、チップ間接続が発生するので、それなりにスペースを使います。しかしながら、半導体チップの集積度が向上した今日では、CPU+メモリ+周辺機能(複数)を1つのチップで実現できる様になりました。1つの半導体チップにコンピュータシステムを実現することから、これを SoC (System on a Chip)と称します。

コンピュータシステムが1つのチップで実現できるSoCを採用することで省スペースが実現できます。そのため、スモールIoTモノはもちろん、電子炊飯器、エアコンといったマイコンが搭載された機器(組み込み機器とも言います)では、家電・産業問わずSoCが採用される事が多いです。もちろん、あえて個別に組み上げるシステムも存在するとは思いますが…。

実は、SoCを採用することで、スモールIoTモノの必要要件の他の1つも実現できるのです。それは「省エネ」です。
SoC化することで、外部接続を少なくすることができ、不必要な経路が削減できます。また、経路距離の短縮化も図れ、不要なエネルギーロスが防げます。結果、省エネですね。
そんなこともあって、スモールIoTではSoCが採用されることになります。

スモールIoTにとって、究極の電力供給方式は、太陽光です。省スペース化、省エネ化が進んだ今日では、太陽光エネルギーで駆動するスモールIoTも存在します。エナジーハーベスティングという技術ジャンルも存在します。機会があれば、このコラムの中で紹介したいと思います。

SoC<SoC内部における概念(例)>

ARMコア

コンピュータシステムの中心機能、言い換えれば SoCの中心機能はCPUです。
かつて組み込み用途のCPU分野では、ほぼ一社独占のパソコンCPUとは事情が異なり、複数のメーカが独自色をもつCPUを生産していました。が、近年は、1社が設計するCPUに集約されつつある様です。少なくとも スモールIoTで採用されるSoCではその傾向が強いです。

そう、ソフトバンクの孫さんが、近年グループ化したARM社のCPUです。
ただ、ARM社は、SoC自体を製造していません。CPUの設計のみを行い、その製造ライセンスをSoC製造メーカに提供しているのです。SoCそのものは、メーカごとに味付けが異なるのですが、コアであるCPUはどのSoCもARM社色に染まりつつあります。

ARMコアも大きく分けて 3つのカテゴリに分けられます。
Cortex-Aシリーズ、Cortex-Rシリーズ、Cortex-Mシリーズの3つです。
(上記のハイフン以降を並べると A・R・M。覚えやすいですね。)

SoftBank×ARM-768x300

本コラムでは、その中でも Cortex-Mシリーズを中心に触れて行きたいと思います。
コラム1回目で紹介した機材は、すべてCortex-Mを搭載しています。(厳密には1機種だけ、Cortex-M以外のCPUが利用可能ですが、それはまたの機会に)

スモールIoTに必要なテクノロジの紹介はまだまだ続きがありますが、紙面の関係で今回はここまでとします。次回は、通信方式について触れます。

飯田 幸孝

飯田 幸孝

ソフトウエアエンジニア。名古屋出身。
計測機器開発メーカ、JAVA VMプロバイダの2社を経て2007年独立。
組込機器用F/W開発に多く従事。2015年より新人技術者育成にも講師として関わる。
モノづくりが好きと宇宙から地球を眺めてみたいという思いが高じて、2009年より宇宙エレベータ開発に手弁当にて加わる。その実現に今後の人生を掛ける。
宇宙エレベータ開発のご縁で静岡大学の衛星プロジェクトStars-Cに参画。2016年秋、担当ユニットが、自身の分身として、一足先に宇宙に行き地球を眺める。